ドラッグ・ラグ。小児がん・AYAがんの子ども達が国内未承認の薬を飲める様早急な整備をー。 

ドラッグ・ラグ 小児がん

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

「ドラッグ・ラグ」という言葉をご存知ですか?現在小児がん・AYAがんの子ども達にとっては、海外では承認されていて有効な治療薬なのに、日本では未承認なため飲むことができずにいる、がん患者さんにとって大きな社会問題です。

治療薬の使用と開発がアメリカやヨーロッパより遅れている小児がんの「ドラッグ・ラグ」の改善へと、国立がん研究センターが2023年度から新しい臨床研究をスタートしています。海外では承認されているものでも国内未承認となっている治療薬や、大人向けには安全性や有効性が確認されている治療薬に関して、子ども達への適切な使い方を確認し、小児がんの子ども達などに投与します。まずは10前後の治療薬を想定し、国立がん研究センター以外にも全国の拠点病院などで行います。

国立がん研究センターによりますと、小児がんは年間2000~2500人度が発症するといいます。がんの種類別に確認すると、患者数はさらに少なくなる計算となります。採算面などで、小児がん用は製薬企業の治療薬の開発が後回しになってしまいます。

世界からかなり遅れて薬事承認される「ドラッグ・ラグ」が社会問題となっていますが、日本では承認すらされない「ドラッグ・ロス」の懸念が、特に小児がんや希少疾病の分野で深刻な課題です。

アメリカは2017年、がんの治療薬を開発する製薬企業に対し、がんの「分子標的薬」を開発する時は小児がん用も同時に開発を進めることを法律で義務付けました。2017年以降、アメリカでは34種類の小児がんの治療薬が承認されましたが、この中で27種類が日本ではまだ薬事承認されていません。

日本には同種の法律の制度がないことで、アメリカとの「ドラッグ・ラグ」がさらに拡大しています。海外で承認済みの治療薬や治験中の治療薬を使えずに、亡くなる子ども達もいます。

今回はこの「ドラッグ・ラグ」という社会問題を危惧している専門家の話を交えて、この問題を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

2023年、「ドラッグ・ラグ」への解消へと国が重い腰を上げ始めるー。

国立がん研究センターなどの研究班は2023年1月に設置されました。鹿野真弓・東京理科大学教授などで構成された医薬品開発が専門の専門家が、小児がんの治療薬の開発を推し進めるアメリカやヨーロッパの法規制などを調査を始めました。アメリカの同様な法制度を日本でも導入する時の課題などを洗い出していきます。医師や製薬企業にも、小児がんの治療薬の開発の動機づけをする取り組みに関して意見を求めます。

2023年4月に開催されたシンポジウムで国立がん研究センター中央病院の小川千登世国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長は、2017年から2022年までに承認された小児がんの治療薬はアメリカでは34種類あるのに対し、日本で薬事承認されたの僅かは7種類で、治療薬の開発を目標とする治験などの数も2023年4月時点で、アメリカの338に対し、日本は44に留まっていると説明しました。

小川医師は、現時点でできることとして挙げられるのは「日本でも治療薬の治験を行う様に海外の製薬企業への働きかけを強めるべきです」と主張しました。

新しい臨床研究では、日本では未承認の治療薬や、大人のみの使うことが限られている治療薬などおよそ10種類を候補として準備していきます。主にがん細胞の増殖に関与する遺伝子変異をマークに作用する治療薬が想定されています。子ども達の体格に合った使い方や投与量を調査します。

対象は0~29歳で、小児以外にも、思春期・若年成人のAYA世代の患者さんも含めます。予め、がん細胞の遺伝子変異を調査する「がん遺伝子パネル検査」を受け、今回の研究で提供される治療薬を推奨された場合のみ参加可能です。

初年度は東京都にある国立がん研究センター中央病院から始め、その後、全国の小児がん拠点病院などに拡大していきます。研究で治療薬の安全性や有効性を示すデータが獲得できると、製薬企業に日本での薬事承認申請に向けた治験実施を促進させることなどを検討していきます。

厚生労働省は、製薬企業に小児がんの治療薬の開発を促すため、承認審査の期間を短縮させたり、薬価に加算を設置したりするなどの優遇制度を設けてきました。ですが、「ドラッグ・ラグ」は深刻なままです。厚生労働省の医薬品審査管理課の担当者は、「国立がん研究センターなどの研究班のアドバイスをベースに、実効性のある法律の制度を迅速に検討していきたいです」と語っています。

今回の研究には、子ども達への使うことが承認されていないものの、効果を持っているかもしれない治療薬を応急的に提供する意義もあります。研究代表者の小川・国立がんセンター研究中央病院小児腫瘍科長は「小児・AYAがんの患者さんに治療薬が届かず、治療に間に合わないケースがあります。必要な治療薬にアクセス可能な様に改善していきたいと思っています」と説明しています。

参考:小児がん・難病治療薬の「ドラッグラグ」解消へ、新制度検討…米の法制度を参考に 読売新聞(2023年)

また、別の小児科の医師はシンポジウムで新生児の医療や難病の治療薬についても同様の「ドラッグ・ラグ」の問題が発生していると訴え、治験を製薬企業だけでなく医師が主導して実施できる環境を整備すべきだなどと主張しています。

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「早く薬飲もうね」と言いたいけれど…|NHK|WEB特集(2023年)

小児がんの分野で“「ドラッグラグ」解消を” 医師が訴え NHK  NEWS WEB(2023年)

2023年8月、

「全国がん患者団体連合会」が大阪府高槻市で開催したシンポジウムには患者団体や医療従事者など約120人が参加しました。

この中で、小児がんが専門の国立がん研究センター中央病院の小川千登世・国立がんセンター研究中央病院小児腫瘍科長は、近年がん細胞の増殖に関与するたんぱく質などを攻撃する「分子標的薬」という治療薬の開発が加速し、海外で使用できる様にになっている反面、日本では未だに子ども達の治療に使用できないものがあるという現実を語りました。

そして、海外の製薬企業へ日本で治験を行える様に促したり、大人と小児・AYA世代で同時に治療薬を使用可能とする仕組みを整備していくことで、海外で使用できる治療薬が日本でも迅速に使用すべきだと話しました。

シンポジウムに参加した小児がんの患者や家族で構成された「小児脳腫瘍の会」の馬上祐子代表は「海外で使用可能な治療薬が子ども達に使用できない状況は親御さんにとってはとても心が苦しいです。時間を置かず速やかに使用できる様な法整備を期待したいと思います」と述べました。

参考:“小児がんの薬「ドラッグラグ」改善を”がん治療シンポジウム NHK NEWS WEB(2023年)

2023年11月、

厚生労働省は、日本で「ドラッグ・ロス」を解消するため、製薬会社が新しい治療薬の開発を複数の国で加速させる「国際共同治験」の実施条件を大幅に緩和する見込みです。日本人で安全性を確認する事前試験を求める独自ルールがハードルで、アメリカやヨーロッパと比較しても「国際共同治験」の実施数が低迷する一方です。このことで、2023年内にも事前試験を原則必要ないとし、日本でも治療薬を速やかに使用可能とします。

治療薬の承認を得るための臨床試験は、日本では一般的に3段階あって、少人数の患者さんなどに治療薬を投与してから、最終段階は大人数を対象に行います。

「国際共同治験」は、それぞれの国で承認を獲得するために必要なデータを収集するもので、主に最終段階の試験で実施されます。効果や副作用の人種差も調査します。アメリカやヨーロッパのメガファーマ(巨大製薬会社)をメーンに行われていますが、医薬産業政策研究所によりますと、2000~2021年の国別実施数で、首位のアメリカを始めに、ヨーロッパ各国が上位を占め、日本は23位に留まります。

このことには、日本の独自ルールがハードルになっているとの懸念があります。日本が「国際共同治験」に参加する時に、厚生労働省は製薬会社に対し、原則として、予め日本人で安全性などを確認する臨床試験を実施する様に要求して来ました。アメリカやヨーロッパではこの様な臨床試験が必要となる事例はなく、多大な時間や費用が要することで、アメリカやヨーロッパの製薬会社が「国際共同治験」の対象から日本を外すことに直結していると考えられています。

そのことを受けて、この独自ルールを見直し、患者さんが少ない難病や小児がんの治療薬、それ以外の投与データで日本人での安全性を確保可能と判断した時は、事前試験を要求しない様にします。

その上で、大人には使用できるのに子どもに使用することが認められていない「がん治療薬」を小児がんの患者さんに投与する臨床研究に、東京都にある国立がん研究センター中央病院が参入します。厚生労働省の専門家会議で研究計画が正式承認されると、2024年1月にも治療薬の投与をスタートします。治療薬の使用が海外より遅れている「ドラッグ・ラグ」の改善に期待が高まります。

研究は悪性軟部腫瘍や脳腫瘍などの標準的な治療法がない0歳からの小児がんの患者さんや、30歳未満のがんの患者さんを対象に実施します。これまでの抗がん剤と比べて有効性が高く副作用が少ない分子標的薬を使う予定で、「トラメチニブ」など5種類の治療薬が想定されています。がん細胞の遺伝子変異を解析する検査を実施し、候補薬の中に効果が見込める治療薬があった時などに小児がんの患者さんに投与します。

使用される治療薬は企業から無償で提供を受けることで、患者さんは検査や入院費のみを負担すれば参加できます。

参考サイト

海外承認薬が使えない「ドラッグロス」解消へ、国際共同治験の条件を大幅緩和…厚労省 読売新聞(2023年)

海外の薬を日本でも 小児がん患者らに未承認治療薬の臨床研究 NHK  NEWS WEB(2024年)

厚生労働省などによりますと、2020年時点で直近5年にアメリカやヨーロッパで承認された新薬の中で、日本では176品目と72%が未承認で、2016年時点の117品目と56%から増えました。例を挙げると、希少がんの「消化管間質腫瘍(GIST)」の治療薬「アバプリチニブ」は日本で使用できません。

従来の事前試験で日本人特有の有害な影響が発生したケースはほぼ確認されていません。ですが、抗がん剤など重い副作用が罹患しやすく、臨床試験の情報も少ない時は慎重に判断する様に促進しています。事前試験をしない時は安全性に十分配慮して、必要に応じて少量の投与から開始したり、投与後の検査の頻度を上げたりして患者さんの治療薬投与でのリスクを落としていきます。

もどかしい。

日本は何でも治験や審査を踏んでから、数年経って薬事承認から飲める場合もあります。そのことで安全性や有効性が確保されていることは評価できますが、そのタイムラグで飲めずに亡くなる患者さんもいらっしゃることはとても悲しいことです。

アメリカなど外国で正式承認されるのが、薬事承認をしてから数ヵ月足らずととても早く、早く飲めるという点では患者さんにとってはありがたいです。

その中で強いてデメリットを言えば、正式承認が早い分重要な使用データがそこまで簡単にすぐには集まらず、もしかしたらその薬の副作用で亡くなるなど重大な犠牲を払っているのかもしれません。

そして、その犠牲を払いながらも、飲んでいる患者さんのデータを集めていきながら、数年経ってから正しく安全性や有効性が証明され、良い薬だと認められる、日本とは違う意味で亡くなった方も多いかもしれません。

ですが、アメリカでは小児がん・AYAがんの治験の数が338あるのに、日本では44だけとは流石に少なすぎると思います。そのことで専門家が危惧しているのも分かります。

日本は慎重な国だと思います。でも、慎重すぎるが故に、希望する患者さんに薬が届かないのは、誤った慎重さかな、ともこの記事を通して、そう思いました。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。