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こんにちは、翼祈(たすき)です。
着床不全とは、体外受精・胚移植を何回か行って、繰り返しカタチの良い胚を移植しても、一度も妊娠に至らない場合を指し、子宮内環境の何らかの異常が着床(胚、受精卵が子宮内膜と接着すること)を抑制されているものと想定されています。
着床不全は治療法や原因が十分解明されていないジャンルです。検査での明らかな異常が確認された場合には適切な治療を施すことで、着床しやすくなると考えられています。
そんな中、東京大学などは不妊症で受精卵が子宮に着床不全になる原因の一端を、2023年5月18日に、発見しました。特定の遺伝子「EZH2」の働きを抑制するたんぱく質が合成されないと、子宮に着床する条件が揃わないとします。
今回は、着床不全の主な原因、東京大学が発見した新しい原因について、特集します。
着床不全の原因
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受精卵の問題:着床前遺伝子診断
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子宮の問題:子宮内膜ポリープ、慢性子宮内膜炎、子宮内フローラ、着床の窓
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母体の問題:免疫異常、肥満・やせ
着床不全になっていた、新しい原因とは?東京大学の研究データ
ヒトの受精卵の着床においては、受精卵が子宮の内側の壁に到着した後に組織内に入り込みます。子宮の壁の中にある間質細胞という細胞が受精卵が到着した時に、一時的に消えて隙間ができることで入り込みができると言われています。子宮の壁の中で受精卵から胎児と胎盤ができて、成長していきます。
WHOの報告書によりますと、世界のおよそ6人に1人が不妊を経験していると推定されています。体外受精などの技術は進歩している反面、受精卵が子宮の壁の中に着床しない着床不全は原因不明の場合も多いといいます。
この研究データは、東京大学准教授の男性らの研究グループが行っている細胞の研究に関連する国際的な科学雑誌に掲載されました。
東京大学の研究グループは不妊治療を受けている女性38人の遺伝子の状態を詳細に調査し、妊娠した人と妊娠しなかった人の違いを比べました。
その研究の結果で、妊娠しなかった人では、子宮の内側にある受精卵が接する、子宮内膜で機能する、「EZH2」という遺伝子が働きづらくなっていることが明らかになりました。
この「EZH2」は遺伝子をOFFにするスイッチの役割を務めます。「EZH2」が存在しないと、細胞分裂に関与する特定の遺伝子の機能を抑制できず、子宮の壁の中で細胞が増殖していきます。受精卵が壁に到着した後、子宮の壁の中にある本来は一時的に消えるはずの間質細胞が増殖することで、隙間ができず、受精卵が潜り込めない原因になっていました。
さらに、この「EZH2」を子宮の組織で機能しなくしたマウスを使用した実証実験では、受精卵が着床する確率が正常に機能するマウスの4分の1程度に低下し、不妊状態となったマウスの子宮内膜では着床するのに必要である間質細胞の変化がほとんど見られず、受精卵が子宮内膜に潜り込まなかったということです。
参考:“着床不全の新メカニズム突き止めた” 東京大学 研究グループ NHK NEWS WEB(2023年)
研究データでは状態の良い受精卵を人工的に移植しても、子宮の壁の中に着床できずに妊娠しない、着床不全の原因である着床不全の治療法や治療法の開発に繋がるとされます。
研究グループの東京大学の准教授の男性は「体外受精を繰り返し行っても着床が上手くいかず悩んでいる人たちの原因の治療と診断に結び付きます。着床しにくい人を早期に診断可能な技術や、将来的には着床不全の新しい治療法の開発にも結び付けていきたいです」と期待を込めています。
私が思うこと。
私は妊娠したことがなく、不妊治療もしたことがないので、この記事を書く時に、“着床不全”という言葉を初めて知りました。
私の中で不妊というのは、女性に原因、男性に原因、他は違う病気などが原因という、主に一般的に言われている原因しか知りませんでしたが、不妊の原因には色々あるのですね。
不妊治療を何年もしている人もいらっしゃると思いますが、不妊治療は年齢が上がって来ると体力などの身体的な面、心の負担など精神的な面、体外授精などで多額のお金がかかる経済的な面など、様々な問題があると思います。
今回はなぜ、“着床不全”になるのか?という話でしたが、これがさらに解明され、お子さんを授かりたいと思っていらっしゃる方が、そうなれる様な糸口になれば良いなと思いました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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