『裸足になって』。身体の自由と声を失った女性が、ろう者に出逢い希望を見出す映画。 

裸足になって 映画

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あなたがもし身体の自由と声を失ったら、どうしますか?やはり最初は打ちのめされ、元に近い自分に戻るためには、時間がかかるのではないでしょうかー?

今回ご紹介したい作品は、その様な状況に陥った女性が、ろう者に出逢い、希望を見出していく映画です。

2022年に[コーダ あいのうた]でアカデミー助演男優賞に選ばれたトロイ・コッツァー氏が製作総指揮を果たした【Houria】が、邦題『裸足になって』で、2023年7月21日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開が決定しました。

公開決定と同時に、本予告と本ポスタービジュアルも解禁されました。予告編のラストは「表現することの素晴らしさ、手話の美しさ。世界中の人々が観るべき映画となっています」とのトロイ氏からのコメントで終わります。

今回はこの映画に関してと、この映画にも関連するろう者のダンスについて、ご案内したいと思います。

あらすじ

北アフリカのイスラム国家、アルジェリア。内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中でバレエダンサーになることを夢見るフーリアは、貧しくもささやかな生活を送っていた。

しかしある夜、男に階段から突き落とされ大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。全てを失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリア。そんな失意の中、彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えた、ろう者の女性たちだった。

「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」。そのひと言から始まったダンス教室で、また再び“生きる”情熱を取り戻していく――。

画像・引用:『コーダ』トロイ・コッツァー製作総指揮、アルジェリアの少女の再生物語『裸足になって』7月公開へ cinemacafe.net(2023年)

予告編も公開中

 

ここからは、日本のろう者のダンス部についてご紹介したいと思います。

東京都にある、ろう者のダンス部《明晴WINGS》

“音が流れないダンス”と聞いた時に、具体的にはどんなものを想像しますか?

ろう学校のダンス部の5人の女の子たちが踊る“音のないダンス”が、大音量で流れるアップテンポの音楽に合わせて次々とチームがダンスする、チアリーディングの全国大会の会場に来場した観客は、一体感に包まれました。

このダンス部がダンスで表現したのは、最も大事な「誇りと自信」でした。

このチアリーディングの全国大会、最後のチームが出て来ると、会場にアナウンスが流れました。

私たち《明晴WINGS》は皆ろう者です。音に依存せずダンスを踊っているので、音楽は使用しません

静まり返った会場で、《明晴WINGS》の5人のダンスがスタートました。

耳が聴こえにくかったり、聴こえない生徒たちが通学する東京都内にあるろう学校、明晴学園中学部のダンス部、《明晴WINGS》です。

息のピッタリと合う5人のダンスが続くと、手拍子が起こり、会場全体に浸透しました。

規定の約2分のダンスが終了すると大きな拍手が湧き上がり、手をひらひらさせる手話の拍手も届きました。

チアリーディングの大会に参加して自分たちのダンスを披露したいー。その想いで本格的に《明晴WINGS》の活動は始動しました。

《明晴WINGS》の顧問になったのは、養護教諭の女性でした。顧問の女性は耳が聴こえます。顧問の女性はダンスをしたことがなく、ろう学校でのダンス部の顧問をすることは、始めは手探り状態でした。

顧問の女性は、「1人1人は踊ることが大好きでも、どうしたら全員のダンスが合うかなと考える日々でした」と語ります。

音が聴こえない部員は、日常生活から床を伝わる振動を感じ取りながら、周りの人の動きを観察していたりしていて、ダンスでも聴覚に依存しなくても、他の感覚を補って、お互いの息をピッタリ合わせることができました。

そうして築き上げた自分たちのダンスを沢山の人に見て欲しいと、ダンス大会への出場を申し出ました。

ですが、どの大会からも「前例がないから」との理由で、参加が許可されない毎日が続きました。音楽を流さない中で踊るダンスは『ダンスではない』と言われました。

顧問の女性の必死の大会への交渉は約半年間費やしました。その想いが届き、最初は大会の審査の対象外という条件付きを設け、会場で《明晴WINGS》がダンスを踊ることが許可されました。

そして、2022年は冒頭の大会と合わせて、2つのチアリーディングの大会に参加することが叶いました。

そうして活動できるステージを拡大させた《明晴WINGS》。2022年11月、さらなるチャレンジに挑みました。

神奈川県横浜市で開催されたイベントに招待されました。披露する4つの演目の中で、3つは音楽を流さない《明晴WINGS》だけのダンス。もう1つは、一般の中学生たちのダンスチームと音楽を流して共にダンスをしました。

《明晴WINGS》は、ダンスのスタートを知らせるタイミングやポーズを合わせる合図を予め決定しておき、お互いのダンスを目視で確認を行いながら、アイコンタクトをして、呼吸をピタッと合わせダンスをしました。

この様にして、《明晴WINGS》の5人は音楽を流すダンスと、音楽を流さない2パターンのダンスを披露しました。

《明晴WINGS》がチアリーディングの大会に参加することで、覚えた手話で話しかけてくるファンも増えています。

また、ステージでダンスを披露し終わった後には、他のダンスチームの人と写真撮影を行うといった交流も深まっています。

参考:WEB特集 ろう学校ダンス部の挑戦 誇りをかけた『音のないダンス』 NHK NEWS WEB(2022年)

《明晴WINGS》キャプテンの女の子は、「ダンスは、音楽を流してその音に合わせて踊ることが一般的だとされていて、ほとんどの人はダンスには音楽が絶対に必要なものだと感じるかもしれません。私たち“ろう者”は音が聴こえませんが、『音楽を聴けないからダンスができない』というわけではありません。全員の心が一致すれば、音楽を流さなくても、ダンスは可能です」と説明しています。

この記事を書く時に、

参考記事を選ぶ前に、改めて映画のあらすじと予告編を観ました。観終わって、「確かにこの映画には重いシーンがある。でもこの映画のテーマは、希望や夢ではないのだろうか?明るいテイストの方が、この読者の方にもより映画の魅力が伝わるのではないだろうか?」と考え、今回は明るいテイストの方にしました。

『裸足になって』は、[コーダ あいのうた]でアカデミー助演男優賞に選ばれたトロイ・コッツァー氏が総指揮を執っていることだけでも大きな話題性がありますし、映画も映像の色彩とか、ストーリーも良くて、予告編だけでもワクワクしました。バックで流れてる音楽も素敵だなと思います。

参考記事で選びました、《明晴WINGS》の皆さんにも、これからものびのびとダンスをして欲しいなと思いました。私は中学の時の体育でのダンスの授業の発表会で、あるダンスをして1人だけ尻もちをついて、凄く恥ずかしかったので、音が聴こえない中でも、キレキレのダンスをするところが、素直に凄いし、羨ましいなと思いました。

参考サイト

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。