軟骨伝導という新たな音の聴き方で、銀行窓口や音楽ファンからの注目が集まるー。  

軟骨伝導

この記事は約 8 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

皆さんはどんな感じで音を聴いていますか?私は聴覚障害がある関係で、ヘッドホンやイヤホン禁止令を主治医から出されているので、イヤホンを使って聴くことができません。

そんな音にまつわる話で今、軟骨伝導という、新たな聴き方のトレンドがあります。

音を感じる仕組みは「気導」と「骨伝導」が昔から認知されています。気導は一般的な音の伝わり方を指します。空気の振動によって鼓膜が震え、それが中耳を通って蝸牛に伝わり、神経の電気信号へと変換され脳まで行き届いて音になります。

骨伝導は、頭蓋骨に振動を発生させることで蝸牛を直接揺らして音が行き届きます。「骨伝導」は第2の経路と呼ばれ、補聴器やイヤホンといったアイテムも広く浸透しています。

その上で、イヤホンで活躍しているのは、第3の経路「軟骨」の振動でした。軟骨伝導は耳の穴を取り巻く軟骨組織に振動を発生させます。すると軟骨がスピーカーの役割を果たして耳の穴内に音波が生じ、気導の時と同じく鼓膜を振動させて音を感じ取ります。

耳鼻咽喉科学が専門の奈良県立医科大学長の男性が、2004年に小さい振動装置を耳の周囲に当てていた時に、偶然発見しました。

今回は軟骨伝導について、発信したいと思います。

軟骨伝導の仕組み

イヤホンの新しい原理が注目されています。2004年、奈良県立医科大学長の男性が偶然見つけた「軟骨伝導」というツールです。スマホなどIT機器へのスピーカーの活用に期待が持たれる一方、眼鏡を身に着けるだけで手軽に聴覚を補完できるイヤホンや、レンズに画像や文字を表示するスマートグラスへの応用も想定され、高齢者にも優しいツールだとします。奈良中央信金の窓口などで実証試験がスタートしています。

小さな丸いカタチの軟骨伝導のイヤホンが耳の入り口に触れた瞬間に、軽快な音楽が耳に伝わってきました。音質の良いラジオを、耳の近くで聞いている感じの音です。音質は明るすぎたり、こもったりすることもなく、普通に聞きやすい音です。周囲で、話し声やテーブルに物が当たる音なども一緒に聞き取れました。

耳が密閉されないことで、外部の音も自然と一緒に聞き取れ、逆に周りへのイヤホンの音漏れもほとんどありません。外を歩いている時や、電車に乗っている時などの「ながら聴き」にぴったりなツールです。耳の後ろや下に当てても音が聞こえてきます。「軟骨伝導はこれまでにはなかった新しい聴覚の枠組みです」と奈良県立医科大学長の男性は語ります。

骨伝導では頭蓋骨で左右の振動体の振動が混ざり合いますが、軟骨伝導は左右の耳軟骨が独立して頭蓋骨を振動させ合うので、ステレオ感が損なわれません。

2023年2月には、同奈良県医科大学と一般社団法人「MBT(医学を基礎とするまちづくり)コンソーシアム」が、信金をメーンに地域創生を掲げる「よい仕事おこしフェア実行委員会」と連携協定を締結しました。信金の社員には優秀な技術を持つ企業も多くあって、「軟骨伝導の活用のアイデアが次々と生み出されていくのではないか」と奈良県立医科大学長の男性は期待を込めます。

参考:骨伝導とは違う「軟骨伝導」ヘッドホンとは? 昨秋から一気に脚光 「聞こえるメガネ」応用にも期待 東京新聞(2023年)

奈良中央信金と城南信金では2023年4月以降、トータル99支店の窓口に軟骨伝導のイヤホンを設置して実証試験しています。マイクが信金の職員の声を拾って、お客様が軟骨伝導のイヤホンを使い、声が聞こえてきます。

軟骨伝導のイヤホンは、音漏れが最小限で、周囲にプライバシーなどを聞かれる心配がほとんどないのが大きなメリットの1つです。

実証試験をする信用金庫によりますと、コロナ禍で職員はマスクを付けていることや、窓口がパーティションで仕切られていることで、高齢者とのやり取りがしにくい事例が増加しているということで、これから先、使いやすさや効果などを検証していきたいといいます。

軟骨伝導のイヤホンは丸いカタチで凹凸や穴がないため、清潔さを維持しやすいメリットもあります。奈良県立医科大学長の男性も「よく窓口に設置している老眼鏡と同じ感覚で軟骨伝導のイヤホンを使って頂きたいです。沢山の人に使って頂き役に立つかどうかを検証し、耳が聞こえにくい高齢者が安心して窓口に出向ける社会を構築したいです」と説明します。

軟骨伝導のイヤホンとマイクは聴覚を補完できる個人向けの集音器としても販売される予定とします。

関連記事

高齢者らのやり取りに 「軟骨伝導」イヤホン導入 城南信用金庫 NHK NEWS  WEB(2023年)

2022年10月より、「ATH-CC500BT」販売中

福井県越前市戸谷町にある「オーディオテクニカフクイ」が開発した軟骨伝導ワイヤレスヘッドホン「ATH-CC500BT」が2022年10月14日、販売がスタートしました。

東京都町田市にある音響機器メーカー「オーディオテクニカ」が、「ながら聴きの常識を変換させる」を目標に販売したアイテムです。「ATH-CC500BT」の企画、生産計画、設計などに携わったのがオーディオテクニカフクイです。

オーディオテクニカから同オーディオテクニカフクイに企画で声をかけられたのは2021年初めでした。オーディオテクニカの企画開発課の男性Bさんは「当初から軟骨伝導メーンで開発プロジェクトが始動したわけではありませんでした。「ATH-CC500BT」のコンセプトを実現する音づくりを実現していく上で、より効率よく音を届けられ、ステレオ感を体感しやすい軟骨伝導ツールの採用に辿り着きました」と開発当初を回顧します。

「ATH-CC500BT」の重さは35gです。最大連続再生時間は20時間となります。男性Bさんは「似た様なカタチを持つ骨伝導ヘッドホンに比較しても、音楽鑑賞の需要にも、低域の表現力が豊かで十分対応可能です。周りの環境音を低減しつつ、相手に声を伝えるハンズフリー通話機能も完備し、話す・聴くの両面で非常に使い勝手に優れたアイテムになりました」と主張します。

「ATH-CC500BT」を開発するに際し、オーディオテクニカの社内モニターおよそ30人の賛同を獲得し、色んな耳のカタチが合う様に装着感の調整を試行錯誤しました。試作品のイヤホンを耳にはめたオーディオテクニカの社員からは「ヘアバンドみたいなカタチなのに音が出るとは」「音の出方が面白い」という感想が届きました。

軟骨伝導という新しいアイデアが追い風となり、「ATH-CC500BT」は販売スタート以来、熱心なオーディオファンから注目が注がれています。「ATH-CC500BT」の開発に携わった男性Bさんは「オンタイム、オフタイム両方のシーンで使うことが可能なアイテムです。いつもはイヤホンを使う習慣がほとんどないという福井在住の方にも、新しい『ながら聴き体験』を発信したいと思います」と述べます。

参考:音響機器メーカーの「軟骨伝導」ヘッドホン 福井の技術が商品化に貢献 福井経済新聞(2022年)

オープン価格で、オーディオテクニカの公式通販、家電量販店などで販売します。

私とヘッドホン。

ヘッドホンも耳鼻科の主治医から禁止されているので買ったことはないですが、私の中でヘッドホンを1番使っていたのは、特に学生時代のCDショップでした。

10代の頃は特に1番音楽を聴いていました。その時に、新譜やCDショップオススメの曲を紹介するのに、そのCDの前には試し聴きのできるヘッドホンが置いてありました。

学生時代は特にお金がなく、そのヘッドホンで音楽を聴いて、「今はお金が無くて買えないけど、いつかこのCD絶対に買います」とヘッドホンを置いて、それから数年後にそのCDを購入するということが多かったです。

CDショップのヘッドホンは、気持ち良く音楽を聴いているといつも聴こえる右耳側だけヘッドホンがずり下がり、「聴こえない!あ、まただ!」ということがよくありました。

私は普通のイヤホンやヘッドホンが使えませんが、もしこの軟骨伝導のイヤホンが聴覚障害者の私でも使っていても支障がないなら、いつか使ってみたいですし、通常でも販売されているそうなので、なかなか音楽機器のある大型家電量販店に行くことはないですが、行くことがあればどんなものかこの記事を書いて、確認してみたいなと思いました。

関連記事

「軟骨伝導」の技術使った集音器が一般発売、高齢者ら会話・テレビの音が聞き取りやすく 読売新聞(2023年)

noteでも書いています。よければ読んでください。

→HOME

軟骨伝導

2 件のコメント

  • この記事を読むまで、audio-technicaがそんなもの開発しているなんて知りませんでした。
    ( ゚д゚)ポカーン
    audio-technicaのイヤホンをよく使う自分としては、すごく驚きでした。
    ラジオ動画にできるかは、正直わかんないですが、面白い情報を書いてくださりありがとうございます。
    m( _ _)m

    • 動画班の匿名M様。
      コメントありがとうございます。

      私も実物を観たことがないので何とも言えないのですが、とても優れものだなと思いました。どんな感じで音を聴くのか、私も気になります。

      いつもラジオ動画の投稿をありがとうございます。この記事は文章だけだと分かりにくいかもしれませんが、もし投稿して下さったら、楽しく視聴させて頂きます。ありがとうございます。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    ABOUTこの記事をかいた人

    左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。