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こんにちは、翼祈(たすき)です。
2021年OECDが発表した統計によると、2019年に大学などに入学した学生のうち、理系分野における女性の割合は、自然科学分野では女性の割合が平均で52%でしたが、日本は最低の27%で、65%でトップだったスロバキアの半分以下の水準でした。
さらに工学分野でも加盟国平均が26%だった一方、日本は最低の15.2%で、トップのアイスランドより23%少なくなりました。何故こんなに女性の割合が少ないのか、それは世の中の無意識の偏見(ジェンダーバイアス)にありました。
今回は理系に行く女性当事者の声と、大学でのジェンダーバイアスを無くす為の取り組みについてお話しします。
女性の理系への進学率の低さ
内閣府が2021年度入学の大学生について行った進路状況の分析調査で、工学分野の女子の比率は15・2%、理学分野でも30・2%にとどまった。経済協力開発機構(OECD)が昨年発表した高等教育機関入学者の女性割合も、日本は「工学・製造・建築」の分野で16%、「自然科学・数学・統計学」で27%と、比較可能な加盟36カ国中でいずれも最下位だった。
しかも、共同通信が各大学に行ったアンケートでは、理工系分野の女子入学者の割合はここ5年で目立った増加はなかった。大学進学率の男女差が縮小した現在、偏りは明らかだ。IT社会の進展などで理工系人材の育成が求められる中、現状は看過できない。研究開発の多様性や競争力確保の面でも懸念される。
主な要因と指摘されるのが「女子は理系が苦手」といったジェンダーバイアス(性別に基づく思い込み)の影響だ。多くの大学から「教師や親世代の強い思い込みがある」「固定観念を打破する必要がある」などの指摘が相次いだ。
関連記事
理工系進学者の女性割合、日本は最下位 OECD調査 日本経済新聞(2021年)
理系女子増えず先入観影響 全国大学アンケート 47NEWS(2022年)
女性研究者の少ない理由、当事者の声
理系の女性研究者203人に理系に女性が少ない理由を質問したアンケートで、「家庭(家事・育児・介護)との両立が困難」が73%と最も多く集まりました。
理系の職業は特に安定しない任期付き雇用が非常に多くを占め、出産や育児での家庭に入る事で研究中断がなされる女性が、大きな不利益を被っている現状も出て来ました。
調査では、
「育児・介護期間後の職場復帰が困難」が43%、
「男女間にある社会的職業の分業」が40%の回答もとても多かったです。
自由記述では「任期付き雇用中に出産に時間を割いてしまうと、次の引き継ぎが見つからない」「育休の条件に私が適用されず、育休が取れなかった」と、家庭と仕事との両立の厳しさが叫ばれる声がありました。2~3年などの任期付きは若手に多いです。
2番目に多かった回答は「無意識の偏見(ジェンダーバイアス)」で64%。子どもの時の「女の子は理科や数学が不得意」「そんなに勉強しなくてもいいよ」という周りの考えが理系への大学志望者を減少させ、大人になったら「家事・育児・介護は女性の仕事」という社会の認知の歪みが研究の壁になっているという結果も明らかとなりました。
参考:「リケジョ」なくなるか 朝日新聞デジタル(2021年)
無意識な思い込みですが、子どもの学力を測る国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)で、日本の小・中学生の算数・数学の学力に男女差はほぼなく、国際的にも優れています。「女子は理系が苦手」に科学的根拠はありません。
女性の理系進学率を増やす為には、
2022年1~2月にアンケートを集計し、実施対象は、2006~2021年度に文部科学省または科学技術振興機構によりますと、女子中高生の理系への進路選択を支援する事業に選択された52の大学。このうち、46の大学から返答がありました。
理系の女子学生を呼び込む指針を複数回答で質問すると、
「女性の働きやすい職場の完備とロールモデル(手本)の理系の女性の育成」(85%)、「学校教育や家族間でのジェンダーバイアス解消」(74%)、
「理系への職業選択について広い視野の情報提供やキャリアアップ支援」(70%)
の3点に返答が殺到しました。
ところで、理工系学部の学生の男女比率が今後も変化がないと、日本の社会にどのような影響をもたらすのでしょうか。この点もアンケートで大学側に質問を実施しました(複数回答)。
その結果、
「多様な理系研究開発の発展の遅れ」が67%で最多で、
「理系分野での女性の人材不足」が39%、
「民間企業の国際競争力の低下に滞る」が37%で返答が続きました。
こうした大学側の苦慮の意見には日本社会の男女間での構造の変化があります。理工系の知識を活かす仕事は、かつては製造業や建設業がほとんどでした。
ここ近年では、環境問題など成長分野が広がっていますし、デジタル化で経済構造を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が加速しています。
そのため、科学技術を発展させる人材の育成は大きな日本の急務となっています。注目すべきワードは、科学・技術・工学・数学のアルファベットの頭文字を取った「STEM」という分野。アメリカなど海外では、この「STEM」分野の女子中高生の教育が国をあげてとても重要視されています。
参考:「生徒の3分の2が理系」という女子校が崩す、親世代の“思い込み” 男子ばかりの理系、背景にあるジェンダーバイアス 47NEWS(2022年)
大阪大学は「低年齢ではSTEM分野に興味を持つ割合は男女で同じ。年齢が進むにつれて社会の偏見、ロールモデルが少ないなどの理由で女子の理系離れが進んでいる」と指摘。山梨大学も「中高生で能力的に男女差があるという意識は低い」と回答しました。
私は理系に進む同級生を凄いと思っていた。
私が高校の時は、1クラスに文系と理系でそれぞれ男女混合で分かれていて、理系にいた同じクラスの女子は6人位でした。同じ学年の理系に特化したクラスも、男子が大半で、女子はほとんどいませんでした。
私は理系科目は全く出来ませんでした。理科の科目だと物理は習っていませんが、化学は元素記号とか覚えるのが苦手で、何回覚えても出来なかったです。生物の方がまだマシでした。情報を可視化して、授業で習った内容をノートにまとめれば、後は覚えるだけでしたので。だから理系に行く人は、あの当時から進学率は低かったですが、素直に凄いなと思っていました。
ジェンダーバイアスが国内にひしめく中、日本が人口減少の中で技術革新を進め持続的に成長していくためには女性の理系人材を増やすことが急務になっていて、政府などが進める女性の活躍推進の対策で具体的な成果が問われています。
私も理系は「難しそう」って思うのは自分が学生の時そうだったので、やはりそう思ってしまいます。日本はなかなかジェンダー平等に移行していくのが遅れていますが、日本を発展させていく為に、今後も理系の女性の皆さんに支援をして頂きたいですね。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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