ヤングケアラーの再生日記【私だけ年を取っているみたいだ。】と、孤立や負担を軽減する支援。 

ヤングケアラー 私だけ年を取っているみたいだ。

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

厚生労働省が2020年度に実施した“ヤングケアラー”に関する初の全国実態調査によると、身近に世話をする人がいると答えた中学2年生は5.7%、高校2年生は4.1%。この数字には表れていませんが、それぞれ0.6%と0.9%、「無回答」もいました。

ケアラーは18歳未満の人を「ヤングケアラー」、18歳から大体30代前半までの人を「若者ケアラー」と呼んでいます。国は2021年春、中高校生の約20人に1人が「世話をする家族がいる」と回答した実態調査を初公表し、ヤングケアラー”の支援の必要性を表しました。

この記事では“ヤングケアラー”当事者の人に焦点を当てて出版された書籍に関してと、“ヤングケアラー”当事者の支援の話をメーンに、お伝えしていきます。

漫画【私だけ年を取っているみたいだ。】

画像引用・参考:親に精神疾患が…ヤングケアラーのつらい日常と再生を描く漫画「私だけ年を取っているみたいだ」 丹念な取材で見えた”ひずみ” 東京すくすく(2022年)

家族の介護や世話に追われる“ヤングケアラー”の認知度が高まる中で、関連書籍の出版が続いています。そんな中、2022年10月に発売された、一際目を引くタイトルの漫画が幅広い読者層の支持を呼んでいます。そのタイトルは文藝春秋刊の【私だけ年を取っているみたいだ。】です。

サブタイトルは「ヤングケアラーの再生日記」。病気や介護などケアが必要な家族がいる時に家事や感情面のサポート、看病などを行っている18歳未満の子どものことを指します。

その実態や深刻さについて知れる機会がとても少ないのが現状です。“ヤングケアラー”が直面する過酷さや家族への感情の揺れ動きを繊細に描き、辛く感じるシーンも多いですが、作者の水谷緑さんは「“ヤングケアラー”のたくましさや希望も感じて欲しいです」と説明しています。

【私だけ年を取っているみたいだ。】は医療現場を漫画に描いてきた水谷さんが“ヤングケアラー”の当事者や病院、サポート団体など様々な取材から描き下ろした漫画となっています。主人公の女の子とその家庭に仮託し、色んなエピソードを詰め込んで困難や苦悩、再生までへの道のりを描き出します。

精神の病気を抱える両親に代わり兄弟の世話をし、暴言やいじめに耐えている主人公はわずか8歳でした。勉強や遊びをする時間を諦め、喜怒哀楽の感情を押し殺した状態で大人になり生きづらさを抱えて過ごします。

介護で失われた子どもの日常は重く心の傷は深いものです。親御さんに依存されるお子さんはどこに助けを求めたらいいのか分かりません。周りの人がその子の異変に気付くこと、そのことが孤立の回避とサポートに結び付き、その子は自分の生き方を選択可能となります。

ほんわかとしたイラストで涙も希望も全てを包み込むこの【私だけ年を取っているみたいだ。】。“ヤングケアラー”への理解を深め、一緒に考えてあげたい一冊となっています。

参考:『私だけ年を取っているみたいだ。』水谷緑著(文芸春秋) 1210円 読売新聞(2022年)

“ヤングケアラー”に無料で配食の支援in兵庫県

兵庫県は、病気や障害のある家族を若くして介護する「ヤングケアラー」らとその家族を対象に、無料の配食サービスを始めた。食事の用意や後片付けなど、日常的に追われる家事の負担軽減を目指す。県はモデル事業として、対象家庭ごとに週1回の配食を3カ月間実施してニーズを見極めるほか、県内に潜在化するケアラーの実態把握にもつなげたい考えだ。

「親の代わりに家事を担い、学校に行けない」などの声もあり、県は配食による負担軽減に乗り出した。対象は県の相談窓口か神戸市の専用窓口に申し出たヤングケアラー、若者ケアラーの家庭で、社会福祉士らが個別の事情を踏まえて必要と判断した場合に実施。提携する事業者が家族の人数分の弁当を置き配方式で届ける。弁当は冷凍で保存可能。食品などの値上げラッシュが続く中、家計を助けることにもつながる。

引用:ヤングケアラーらに無料の配食サービス、兵庫県がモデル事業開始 家事負担軽減、ニーズ把握も 神戸新聞NEXT(2022年)

配食支援の問い合わせは神戸市外の人は県の相談窓口(078・894・3989)、無料通信アプリ「LINE」で。神戸市民は市の相談窓口(078・361・7600)へ。

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ヤングケアラー宅に弁当 読売新聞(2022年)

“ヤングケアラー”、集いのカフェ

その昔“ヤングケアラー”の当事者同士だった親子が、自分たちと同様に家庭を介護で支える人たちが集まれるカフェ『ケアラーズカフェみちくさ亭』を千葉県柏市で運営しています。「一人で介護を抱え込み、孤立しないで」。そんな願いから2022年秋、全国の“ヤングケアラー”がそれぞれの心境を語り合うオンライン交流会もスタートさせました。

田畑が広がる柏市藤心の住宅街の一角のカフェの看板がかかる一軒家にお昼時、常連客が続々と足を運びました。

実家を改装して9年前に開店した女性が笑顔で常連客を出迎えます。管理栄養士の資格を持つ長男も2022年2月から運営に携わりました。

介護している“ヤングケアラー”だけでなく地域住民らも加わり、栄養がたっぷりあるランチを食べながら、おしゃべりをして介護の息抜きをしてもらうスペースとして、2021年度は延べ3000人余りの“ヤングケアラー”が『ケアラーズカフェみちくさ亭』に来ました。

『ケアラーズカフェみちくさ亭』の開店の経緯は、女性自身の経験にありました。東京都府中市で自営業を営んでいた25年以上前、認知症の母親の介護もしていました。自営業の仕事終わりの深夜、柏市の実家へと車で通い詰め、母親が寝静まる午前4時ごろに自宅に帰宅するという生活を何年も続けてきました。

疲労や不安を一人だけで抱え、女性はうつ病を発症しました。次第に府中市の自宅に柏市の実家から帰れなくなり、入院と実家での療養を繰り返すことになります。

それから今度は、当時小学校高学年だった息子さんが週末になると電車で柏市まで出向き、女性を支えました。まだ“ヤングケアラー”という言葉が浸透する前の時代でした。息子さんは「母に元気な姿に戻ってほしい一心でした」と共に生活した日々を振り返ります。

周りの人に理解する人はいなく、この時の心の傷は今でも胸の中に残っています。授業参観に来なかった女性のことを友達に聞かれ、状況を話した後から、いじめに遭いました。

「助けて下さい」。そんなサインを発信し続けたのに、先生や周りの大人たちは、家族の介護を続けている日々を正面から向き合ってくれません。中学受験を考えていましたが、通学しない日も次第に増えていきました。「人ってこんなに誰も助けてくれないんだと感じました。とても苦しかったですね」と胸の内を語ります。

その当時、女性は「私のためにここまでさせてごめんね」と繰り返し言いました。息子さんは「一時期、自分が実家に訪れることが母の精神的な負担になっているのではないかとも思い悩みました」と打ち明けました。そんな話がようやく女性に言えたのは、つい最近のことでした。「お互いが蓋を被せていた部分でした。介護を行う側と介護を受ける側の関係性は凄く繊細で、当事者同士だと話せないこともあります」と息子さんは言いました。

2022年9月、息子さんがメーンとなり、10〜30代の“ヤングケアラー”向けに「オンラインカフェ」をスタートしました。原則奇数月の開催となっています。今までに大阪、愛媛、愛知などから20人余りが参加し、それぞれの暮らしについて語り合います。「家族には話しにくいことも、似たような環境の人たちが集うので話しやすいです」と説明しました。

参考:ケアラーと住民 集いのカフェ 介護経験の親子が柏に開設 オンライン交流会も「話や悩み打ち明けて」 東京新聞(2022年)

“ヤングケアラー”の支援のための人材育成

“ヤングケアラー”をサポートしようと、北海道は2023年度から「ケアラーサポーター」制度を取り入れることを決定しました。北海道が行う研修の受講者を独自に「ケアラーサポーター」と認定するもので、各地域でサポートの支柱的な役割を任せる人材を養成します。

「ケアラーサポーター」制度の対象者は社会福祉士や自治体職員、学校関係者などを想定しています。“ヤングケアラー”への対応ケースなどを勉強する研修会を受講すれば、北海道が「ケアラーサポーター」の認定証を交付します。

日本ケアラー連盟によりますと、同様の制度を都道府県として取り入れるのは全国で初となります。同日本ケアラー連盟理事の男性は、「これまでは介護が必要な人が主人公で、支える“ヤングケアラー”への認知や支援は十分整っていませんでした。『ケアラーサポーター』が各地域で“ヤングケアラー”のサポートのキーパーソンになって発信していくことで、“ヤングケアラー”の周知やサポートの浸透に期待が持てます。全国的にもモデルケースとなります」と説明しています。

参考:ケアラー支援 人材養成 読売新聞(2022年)

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私は“ヤングケアラー”と呼ばれる年齢ではありませんが、

今まさにそういう感じになろうとしています。別の記事で書きましたが母が入院しまして、母が入院した初日は頑張らなきゃと思って、詰め込んで家事をやったのですが、私は家事が苦手です。出来ることの方が少なく、何回やっても覚えられない家事もあります。

母が入院する前に、「これはこうやるからね」というものは覚えて実践していますが、初日に一気にそれをやったので、次の日の公休でバテまして。

今は少し手を抜いてますが、毎日仕事をしながら家事をやっています。

家事をやっていると寝るのが遅くなり、遅くなると次の日まで疲れが残って仕事中キツいと、仕事をしながら家事もやるという大変さが身に染みています。

一緒に居る父も変わっている人で、その変わり者ゆえに最初は言動に振り回され、嫌になることが多かったですが、最近は慣れて来て、父がどうやったら上手く動いてくれるかを考えながら、家事をしています。

父の扱い方は分かりましたが、母が退院して帰って来たら、また家事の進め方が2人と3人とでは変わって来ると思います。今でも手一杯で、仕事が家事を合間にやりながらなので、上手く前の様に進まなくなっていますが、それもいずれは私が一人娘としてやらなくてはいけないことですし、その前の色々勉強かなと思っています。

この記事では“ヤングケアラー”はかなり大変だと思いますが、その大変さに希望を持たせたくて書きました。この記事が、今“ヤングケアラー”の人の光となってくれればー、と思います。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。