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こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは日本にどれだけの外来種がいると思いますか?
WWFジャパンの調査によると、2004年に日本に輸入された生きている動物「侵略的外来種」の数は、財務省の貿易統計で6億4749万326だったと言われています。
外来種は動物だけではなく、アメリカオオアカウキクサといった植物にも外来種はいます。日本ではミドリガメとアメリカザリガニを「条件付特定外来生物」とし、販売や放流の規制をしています。
この記事ではミドリガメとアメリカザリガニの飼育販売や放流、殺処分についての法整備がどこまで進んでいるかについて、また、外来種の一例としてコブハクチョウ、神戸市の外来種展示センターなどを、様々な視点から外来種のことを考えていきたいと思います。
ミドリガメとアメリカザリガニ「条件付特定外来生物」に指定決定。
外来種のミドリガメやアメリカザリガニの飼育を許可しつつも、放流や販売に関しては認めない改正外来生物法が2022年5月11日に、参院本会議で可決成立しました。
政府は1年以内の施行を掲げていましたが、同年10月には「条件付特定外来生物」に指定決定しました。この措置を可能にする改正法の全面施行は2023年4月、完全施行は2023年6月1日です。違反した場合、ペットが自力で逃げ出したケースも含めて、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科されます。
従来「特定外来生物」に指定された動物は全て飼育も認められていませんでしたが、例外的に設置しました。これから政令において指定されるアメリカザリガニとアカミミガメは、野外への放流や販売を認めない一方で、飼育は許可します。
ただ、日本国内だけでも、環境省によりますと、アメリカザリガニの飼育数(推計)は、約65万世帯で約540万匹(2020年時点)、アカミミガメは約110万世帯で約160万匹(2019年時点)だと言われています。どちらも外来種で通称「ミドリガメ」と呼ばれているミシシッピアカミミガメやアメリカザリガニは北米原産で繁殖力が非常に強く、他の生物の生息場所にまで侵入したりと生態系に悪影響をもたらしています。
日本国内で多く飼育されているので、ペットとして人気も集め、従来の特定外来生物に指定すると、野外放出だけでなく飼育を認めなくすると、飼い主が特定外来生物への指定前に一気に放流させ、逆に自然界に大きな影響を及ぼす恐れも指摘されています。このため政府は外来生物法を改正し、飼育などができる「条件付特定外来生物」に指定可能としました。
環境省は「アメリカザリガニ・アカミミガメ相談ダイヤル(0570・013・110)」を設け、新たな規制の内容や飼育についての問い合わせに対応しています。
参考記事:
人気のアメリカザリガニとミドリガメ、放流や販売禁止…飼育は認める改正法成立 読売新聞(2022年)
アカミミガメとアメリカザリガニ、ペット飼育認める「条件付特定外来生物」指定へ 読売新聞(2022年)
アメリカザリガニとミドリガメの放出禁止、6月から 違反で懲役も 毎日新聞(2023年)
アメリカザリガニとミドリガメ、6月から野外放出禁止…ペットが逃げても懲役か罰金に 読売新聞(2023年)
「ミドリガメ」、殺処分も容認
ペットとしても飼われている外来種のいわゆるミドリガメについて、生態系への影響があるとして販売や自然に放つことを禁止するための法律が成立した場合に備え、環境省は、飼い主が最後まで責任を持って飼うことを基本としつつ、やむをえない場合は殺処分も必要だとする考えを周知する方向で検討していることが分かりました。
アメリカザリガニの寿命は4~5年、ミドリガメの寿命は20~40年程です。
外来種、ミドリガメとアメリカザリガニに関する啓発ポスター完成
画像引用・参考:外来種、捨てない、拡げない!「ラストカルテ」が特定外来生物の追加指定を周知 マイナビニュース(2023年)
外来種のミドリガメとアメリカザリガニが2023年6月1日から、輸入や販売、野外への放出を禁止される「条件付特定外来生物」に指定されるのを対し、警視庁と東京都、環境省は小学館とタイアップを組み、漫画のキャラクターを起用した規制啓発ポスターを制作しました。2023年5月1日から東京都庁舎などで掲示されています。
野外へ放出した人は罰金・罰則の対象となることを認知させるこのポスターは、「外来種、捨てない、拡げない!」のキャッチコピーに併せ、小学館の[週刊少年サンデー]で連載中の浅山わかび先生による人気漫画《ラストカルテ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―》のミドリガメとアメリカザリガニを飼って育てている当麻健匠と、その後方に茨戸爽介という2人のキャラクターが、改正外来生物法でこの度規制されるミドリガメとアメリカザリガニの2匹と一緒に描かれています。
警視庁生活環境課によりますと、本漫画が法獣医学をテーマとし、獣医師を目指す少年たちが野生動物の不審死などを追及するという内容であることから、ポスターの題材に選択しました。警視庁が5000部、東京都が1万部のトータル1万5000部を制作し、関係機関に配布して掲示しています。
また、[週刊少年サンデー]では浅山先生が描き下ろしたルポマンガの掲載が予定されています。
参考:人気漫画キャラで「捨てないで」 ミドリガメ、アメリカザリガニ 毎日新聞(2023年)
ここからは、外来種の一例として、コブハクチョウの被害や取り組みに関する内容を紹介していきます。
外来種、コブハクチョウの被害や対策に苦慮
千葉県北西部の柏、我孫子両市などにかかる手賀沼周辺では、外来種のコブハクチョウに水田の苗を食べられる被害が拡大しています。
同千葉県によれば、2020年度のコブハクチョウによる食害での農業被害は我孫子市の560アール、柏市の486アールなど、同千葉県の6市で計1078アールに及び、被害総額は1245万円超で、面積、被害額とも2021年度の1.5倍に倍増しました。
コブハクチョウの生息数が増加した原因に餌やりの問題が浮上していますが、繁殖を十分に抑制することが不可能な現状において、全面的に餌やりを禁止する対策では、むしろ逆効果でしかなく「コブハクチョウが農地へ侵入することや他県への分散を起こしかねない」と指摘する専門家もいます。
同千葉県では6市を含んだ8市町と連絡調整会議を設置し、コブハクチョウを追い払う手段や繁殖を抑制すること、餌やり禁止の啓発活動などを協議しています。
柏市では田植えが終わったばかりの水田を農政課の職員が毎日偵察し、コブハクチョウを発見すると、あぜ道の両側からロープで誘導して水田から追い払います。
我孫子市では、手賀沼のそばの水田に防鳥ネットを設置するなどし、2020年から同千葉県の指示の巣の卵の一部を擬卵に交換して、繁殖を抑制する対策に励んでいます。
が、その反面で白鳥の保護を求める愛鳥家もいます。
愛鳥家からは「命を大事に扱え」と抗議を受けることも多いといいますが、農政課職員は「コブハクチョウが憎いわけではなく、農家の食害を無くすべく致し方なくやっているだけです」と理解を求めています。
「コブハクチョウを野生化に導いた責任は人間にありますが、農家の被害も深刻さを増す一方で、非常にデリケートな課題です」と対応に苦慮しています。
参考:巨大で無敵 外来種「コブハクチョウ」じわり増加 被害懸念「日本にいてはいけない鳥」 TBS NEWS DIG(2023年)
兵庫県神戸市で外来種の常設の展示センター開設
兵庫県神戸市は、市内で確認されたアライグマや強毒なヒアリなど外来生物を紹介する「外来生物展示センター」を、神戸市の苅藻島クリーンセンター内に2022年8月21日より開設しました。
神戸市の担当者は「見学者に自分の身の周りにある問題として外来生物のことを考えてもらうきっかけに繋がれば」と期待を込めます。神戸市内では今までに、アライグマ以外にもヌートリア、ミドリガメなどが確認されました。
「外来生物展示センター」の開設に至った経緯は、市民などに神戸の生物の多様性を脅かす存在である外来生物について理解を深め、認知して欲しいと企画しました。
神戸市によると、外来生物のみを扱った常設の施設は日本各地の自治体でも初です。
アライグマの剥製やヒアリの標本、本物のアメリカザリガニ、ミドリガメなど20~30種類を展示しています。外来種に詳しい専門職員が人間が行動をしたことで、外来種を日本中に定着させてしまった歴史などの解説もします。
参考:アライグマや強毒ヒアリ…まちに潜む外来生物知って 全国初、常設の展示センター開設へ 神戸・長田 神戸新聞NEXT(2022年)
オープン後は、毎週土、日曜日午前11時~17時に開館。1日最大60人を予約で受け付けます。入館無料。
自宅にいた身近な外来種
私は観たことがないのですが、母が自宅の庭でハクビシンを観たことがあると言いました。この記事を書くまでハクビシンが外来種なのか分かっていなかったのですが、外来種だったのですね。自宅は緑が多く、家を建て直す前の家にコウモリが自宅の中に入って来たことがある位、動物とも切っても切れない自宅となっています。
個人的にショックだったことは、私はそのアニメを観たことがないのですが、ラスカルで知られるアライグマが、外来種だったことでした。ラスカルは可愛らしくて、ラスカルだけ観たら悪いことをするイメージのなかったアライグマが、今全国の畑を荒らしたりするなどでニュースによくなり、それがショックでした。
外来種は在来種を食い尽くすので本当に恐ろしいです…外国から持ち込まれた数が多い以上、「種を守るため」辛抱強く駆除していくしか、減らす術はないのでしょうね。
参考サイト
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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