この記事は約 7 分で読むことができます。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
『こどもホスピス』とは、小児がんなどの命に関わる病気や重い障害を抱える子ども達が、専門知識を持った看護師などの医療や教育の支援を受けながら、家族と一緒に暮らせる施設のことを指します。『こどもホスピス』では医療的ケアが必要な子ども達の一時預かりや、小児がんを患う子どもの緩和ケアなどを行います。
日本国内においては、2012年に大阪府大阪市の淀川キリスト教病院に併設されるカタチで『こどもホスピス』が産声を上げた後、医療機関併設ではない民間運営の「コミュニティー型」の『こどもホスピス』が大阪、横浜の2ヵ所に開設されました。開設を目指す動きは北海道、東京、長野、福井、福岡、沖縄など各地で拡大していますがそれには資金の壁があります。
今回は2022年11月に、こども家庭庁が取りまとめた、『こどもホスピス』開設までの展望について、お知らせします。
2022年11月、国が全国に『こどもホスピス』開設に向け、協議を開始
命に関わる病気や重い障害を抱える子ども達が、支援を受けながら遊んだり学んだりして、家族と一緒に生活出来る『こどもホスピス』に関して、小倉将信こども政策担当相は、2023年に発足するこども家庭庁を主になって、『こどもホスピス』の普及へのサポートの在り方を検討していく考えを話しました。日本国内の『こどもホスピス』の施設数がまだまだ足りないので、全国普及が目標です。
『こどもホスピス』開設や運営に背中を押す為、2022年11月17日、自民・公明両党の議員連盟の初会合が開催され、小倉こども政策担当相も出席しました。議連には、既に『こどもホスピス』を建設して子ども達を受け入れている施設や、今後『こどもホスピス』開設を目標に掲げる日本各地の市民団体の関係者や医師らも出席。行政側のサポートの課題を整理しながら、地域社会に『こどもホスピス』が根付くことの定義を確認し合いました。
「ホスピス」というと「みとり」のイメージが連想されますが、イギリス発祥の『こどもホスピス』がポイントとして挙げるのは「生きている今」を豊かにする取り組み。
自宅と病院の間に立つ存在を『こどもホスピス』が担い、「もっと遊んだり学んだりしたい」という子ども達の願いを最大限叶えてあげたいという『こどもホスピス』が目標です。
議連は、会長に井上信治衆院議員、副会長に小倉こども政策担当相、永岡桂子文部科学相らが就任しました。設立総会では、井上衆院議員が『こどもホスピス』の財政面や認知度といった課題を挙げた中で、「来年の4月からこども家庭庁が発足するということですし、政府の方は『こどもホスピス』窓口を一本化をし、そして、関係省庁と連携を行いながら、この『こどもホスピス』の課題にも取り組んで欲しい。『こどもホスピス』に制度がないことでは、行政のサポートをなかなか求められない。介護、医療、教育、障害者福祉のはざまに制度が壊れてしまっている役所の縦割りの問題も起こっていて、何とかしていきたいと思います」とあいさつ。
また永岡文部科学相は「病院や自宅などで療養中のこども達に教育機会を保障することは誠に重要な案件。色んな課題を持つ子ども達の可能性を最大限発揮出来る様な、連携して『こどもホスピス』のことを実現していきたい」と語りました。
『こどもホスピス』の運営に関しては、医療や福祉、教育など省庁を横断する対応が行政に必要とされています。14団体が参加する「全国こどもホスピス支援協議会」は、行政の窓口を一本化する計画や「医療併設型」「福祉施設型」「コミュニティー型」という運営形態に応じた財政サポート、財政実態に関しての調査研究などを要望。行政の領域横断的な連携を取る事で、第4期がん対策推進基本計画などに導入することも要望しました。
議連では、認定NPO法人や医療関係者などが、『こどもホスピス』運営に応じる行政側の窓口一本化や財政支援を求めました。
議連に出席した小倉こども政策担当相はこの件に関して「こども家庭庁の大きな役目は縦割り打破です。『こどもホスピス』においては非常に重要なメインテーマでもあります。来年4月にこども家庭庁が発足するからこそ、こども家庭庁が文部科学省などと連携し、大きく『こどもホスピス』開設に向け、前進したと思って頂ける様にしたい。こども家庭庁は、病気や障害に苦しむ子ども達が幸せに生活出来る社会を実現する使命もあります。ご家族の負担を軽減し、子ども達に向き合うゆとりを持たせる」と話し、2023年4月に発足するこども家庭庁を主軸に、『こどもホスピス』普及に向け、前向きなサポートの在り方を検討していく意向を述べました。
具体例では、日本各地の『こどもホスピス』の現状を理解し、日本全国に浸透させていくためには、何が必要かを検証していく方向性です。
参考:こどもホスピス議連発足 普及目指し「縦割り打破へ」 毎日新聞(2022年)
議連には、日本各地の『こどもホスピス』関係者が出席し、オンライン上でも参加されました。この中で、認定NPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の代表理事の男性が挨拶を行いました。
認定NPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の代表理事の男性は今から24年前、次女を悪性脳腫瘍で亡くしています。当時6歳だった次女は「余命半年」と宣告を受けた後でも、右手が動かなければ左手を使おうとし、最期の時まで懸命に成長していきたいとしていました。
そして認定NPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の代表理事の男性は「短い命であっても、その生を全うした姿を介して、子ども達を大事にしていかなくてはと気付かされました」と『こどもホスピス』設立の取り組みを始めた理由を振り返り、「小児緩和ケアの医療体制が推奨されるドイツ、イギリス、オランダみたいに、どんなに重い病気を抱える子ども達でも、地域の方々にその姿を見守られながら成長していくことが可能な『こどもホスピス』を日本にも根差していきたい」と語りました。
以前、医療的ケア児について記事を書きました。
あの時の記事の最初の記事は、こちらにも出て来る、認定NPO法人「横浜こどもホスピス」が、移動式のメリーゴーラウンドを設置する為に、クラウドファンディングを呼びかけていたという内容でした。そのクラウドファンディングは目標額が集まり、無事「横浜こどもホスピス」のうみとそらのおうちにメリーゴーラウンドが設置されたとの後日談を観ました。
あれから数ヵ月経ちましたが、医療的ケア児の支援はまだまだ進んでいませんね。今では子育て本を出したり、写真展を開いたりするご家族もいらっしゃいますが、そこまでなるには相当な時間を要したと思います。支援が足りない中で、懸命にお子さんと向き合って来たと思います。私は子どもの頃は病気を風邪くらいしかしない子でしたが、今の自分が小さい頃の自分だったら、両親はもっと私にかかりっきりだったのではないかとも思います。
まだこども家庭庁自体は正式な発足は来年からとなりますが、『こどもホスピス』が全国に出来ることで、助かるご家族は多いかと思います。この議論が成立し、是非実現へと動いて欲しいですね。
関連記事
noteでも書いています。よければ読んでください。
コメントを残す