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こんにちは、翼祈(たすき)です。
小さなお子さんがいて、特に高いタワーマンションに住んでいらっしゃる方が、1番気を付けなくてはならないのは、お子さんのベランダや窓からの転落事故ではないでしょうか?
今はコロナ禍で、窓を換気のために開けていることもあり、お子さんが誤って転落して亡くなるなど、痛ましい事故が絶えません。
窓を開けやすい初夏から秋にかけてが、特に注意が必要の様です。そんな中、専門家で作るNPO法人が、少しでも子どもの転落事故を無くしたいと、『回転する手すり』などの開発を進めています。
今回は子どもの転落事故について、防止するために押さえておきたいポイントや、開発中のものなど、様々な角度から、この問題を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
窓を開けやすい、初夏から注意が必要な子どもの転落事故
エアコンを使用せず窓を開けることが多くなる初夏から秋、ベランダから子どもが転落する事故の発生が急増します。新型コロナウイルス感染拡大の中では子どもをベランダで遊ばせる親御さんも多い中で、事故を防止するにはどのような点に注意を払えばいいのでしょうか。
手すりを乗り越えやすく出来る踏み台を設置しないことや、子どもから目を離さないことが大前提のカギとなりそうです。
東京消防庁の調査結果では、5歳以下の子どもが2階以上のベランダ、窓から転落した事故の発生は、2015〜2019年に70件になりました。気象状況が良く窓を開けることの多くなる5月が16件と1番多くなりますが、その次に多いのが9月の11件、10月の10件でした。
消費者庁の担当者は「ベランダに踏み台を設置しないことが大前提。特にエアコンの室外機や植木鉢にも注意を払って下さい」と懸念しています。窓の高い位置で補助錠を設置するのも効果があるとし、「子どもだけで遊ばせないことがとても必然。これからもコロナの感染拡大状況次第では、ベランダで子ども達が遊ぶ機会が多くなるかもしれない。十分に気を付けて欲しい」と指摘します。
2017年4月~2022年3月までの、子どもの転落事故件数
消費者庁は7月、全国5千人を対象に意識調査を実施。育児経験がある2201人のうち約4割が子どもの転落事故に遭っていた。医療機関を通じて消費者庁に寄せられた14歳以下の事故情報をみると、2017年4月~22年3月に入院を必要とする転落事故は412件。0歳が102件で最も多かった。
子どもの転落事故を防ぐために、押さえておきたいポイント
画像引用・参考:転落・転倒事故 こども家庭庁
①高さだけでは防止出来ない
建築基準法で定義されている、2階以上の手すりの高さの安全基準は110cmとなっていますが、2021年のNPOなどの実証実験においては、3〜6歳児の7割以上が120cmの高さを乗り越えてしまいました。その時間は、平均でたったの10秒ほどだったのです。
また、2歳ぐらいの年齢では、自分で椅子を持って来てベランダを乗り越えようとします。
子どものベランダ事故の研究をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の理事の女性によると、実は高さだけでは子どもの転落事故を防ぐことには繋がらないと懸念します。
②足台を設置しない工夫を凝らす
洗濯かごや植木鉢があると、高い手すりをよじ登ってしまう恐れがあるので、ベランダに設置しないことが大前提です。室外機も踏み台となる恐れがありますが、ベランダに設置するしかない事例も多いです。
手すりから60cm、室外機を離しておけば良いと推奨されていますが、狭いベランダだと置ける場所がほとんどありません。子どものベランダ事故の研究をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の理事の女性によるとその事例では、板を斜めに取り付けたりして、足を置くスペースを設けない様にして欲しいといいます。
③ベランダにネットを付ける
ネットはホームセンターなどで販売されており、設置する専門業者もいらっしゃいます。
はさみで簡単に切れるものなら消防法上も問題は生じないですが、ネットなどの設置費用がかかったり、マンションの管理会社に許可が必要な時もあります。
④ベランダに子どもだけで慣れさせない
それ以外にも、小さい頃から『ベランダに1人で出てはいけないよ』と言い聞かせておいて下さい。
子どものベランダ事故の研究をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の理事の女性によれば、「プールを設置したり、リラックスしたり、ベランダが生活の1つの過ごし方というご家庭もあって、事情は様々なので、小さい頃から言い聞かせることが可能なご家庭で是非導入して頂きたい」と警鐘を鳴らしています。
⑤二重ロックを窓にかける
NPOが1番推奨してされているのが二重ロックを窓に設置することです。窓の上部については子どもの手には届かない高さの位置に二重ロックを設置しておきます。換気対策で少し窓を開けた状態で固定できる商品も販売されていて、インターネットや赤ちゃん用品店などで買えます。
子どものベランダ事故の研究をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の理事の女性によると、どなたでもすぐに可能な対策ですので、お子さんがいらっしゃるご家庭では実践して頂きたいといいます。
参考:子どものベランダ転落 対策どうする? NHK NEWS WEB(2022年)
その他、窓が外れてお子さんが転落するケースや、ベランダで洗濯物を干している時、お子さんが鍵をかけ、親御さんがベランダに閉じ込まれるなど、様々なシーンが想定されます。
参考サイト
ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故 政府広報オンライン(2023年)
転落事故を防ぐ為に、回転する手すりも開発中
専門家で構成されたグループが子どもの転落防止を無くしていく方向にするべく、効果的な対策を検討するための実証実験を実施しました。実証実験は2021年11月4日に、京都府長岡京市の保育園の協力で、研究者や医師などで構成された専門家のグループが実施しました。
ベランダの柵を見立てた装置に器具を設置して、120cmから140cmまで高さを変化させ、3歳から6歳までの約50人の園児が柵をどの高さから乗り越えられるかを年齢別に調査しました。その結果、自分の身長より高い140cmの高さでも素足を柵に張り付き5秒ほどでよじ登ってしまう園児も中にはいました。
専門家のグループの1人で子どもの事故防止に励むNPO法人の理事の男性によれば「子どもがよじ登ろうとしても柵を決して乗り越えることの出来ない体制づくりが大きな課題です。どういう条件下なら安心を持てるかを具体的な検討を重ね、メーカーと情報を共有していきたい」といいます。
また現在進行形で、開発中のアイテムもあります。「Safe Kids Japan」が発案した『回転する手すり』もその1つです。子どもがよじ登ろうと手すりに手を置くと、くるくると手すりが回転し、力を集中させない仕組みです。
2022年に『回転する手すり』を実際に使用した実証実験では、3歳までの子どもは『回転する手すり』をよじ登れませんでしたが、4歳以上の子どもでは工夫して『回転する手すり』とよじ登ろうとする傾向もありました。これから、より登れない様に改良を重ねていく段階です。
そして『子どもがベランダに出たら、感知してアラームで発信する装置』の導入です。
研究機関で開発が加速しています。
実用化はまだまだ先の話で、賛同する企業を現在募集中だとしています。
参考:子どものベランダ転落事故防止 専門家グループが実証実験 京都-NHK(2021年)
「Safe Kids Japan」理事の女性によると、「宅配業者から荷物を受け取りのサインをしていたり、急な電話や、特にスマホに通知が到着したりと、親御さんが少しお子さんから目を離すことはよくある光景です。ベランダからの転落事故の発生が10秒程度で起こったと想定すれば、やはり、少しでも目を離す事はどなたでも有り得る話で『全く目を離すことをするな』との前提は困難だと思います。ほんの一瞬、目を離しても安全な様に、対策を練っておくことはとても大事な取り組みだと思います」と述べました。
2024年6月20日、
子どもの転落事故について2023年から調査を進めている消費者庁の安全調査委員会である「消費者事故調」は、調査の中間結果を報告しました。
ベランダや窓からお子さんが転落する事故が度々起こっているとして、「消費者事故調」は、窓に取り付ける補助錠の適切な使用するなどといった対策案を検討する方針が分かりました。
「消費者事故調」の調査の中間結果によると、9歳以下のお子さんが住宅から転落して亡くなった事故は、1993年から2023年までの31年間で170件起きていました。
事故の内訳は、ベランダからの転落が103件と最多で、続いて、▽窓からの転落が47件でした。
お子さんの年齢別で見ると、1番最多だった年齢が▽3歳で50件、次に▽4歳が33件▽5歳から9歳まではどの年齢も10件以下でした。
また、6歳以下のお子さんが亡くなった事故に関して、事故が起きた時に大人が家にいたかどうか調査した結果、▽窓からの事故の81%、▽ベランダからの事故の34%は家にいても、事故は大人がいるいないに関係なく起きていたことが明らかとなった形です。
参考サイト
子どもの転落事故 「消費者事故調」が中間報告 対策案検討へ NHK NEWS WEB(2024年)
子どもの転落死、直近31年間で170件 ベランダからが最多 毎日新聞(2024年)
私もかつて転落しかけた
私は母の話では、子どもの頃とにかくじっとしていられないタイプで、どこかに外出すると、母が入場券を買うなどで目を離した隙に居なくなり、違う場所で1人泣いていたり、地元のかつてあった狭いスーパーでも居なくなったりする、そんな子どもだったそうです。
母の話では家でも居なくなりがちで、私がまだかなり小さかった頃、ある部屋にソファが窓際に置いてあったそうです。母が私が2階で遊んでいると思って1階から観に行ったら、居ない…。家の中にも、「まさか落ちたんじゃ?」と外を観るも居ない。
「おかしい」と思って、もう1回2階に行くと、私は10cm位の窓と柵の間にいて、母の心配をよそに笑顔を見せたそうです。
母は祖母から「子どもの行動は予測不能だから、決して目を離しちゃいけないよ」と言われて来たらしいですが、それをより予測不能としていたのが私です。母はその後父に、「絶対にソファから登って外に行ったと思うから、もう窓際にソファは置かないで‼︎」と訴えて、その後ソファは窓際には置かれませんでした。
この記事を書いていて、「こんなにも子どもの転落事故、多いんだ…」と言葉を失いました。早期に『回転する手すり』や、『子どもがベランダに出たら検知してアラームでお知らせする装置』の導入実現が望まれます。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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