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こんにちは、翼祈(たすき)です。
1993年に太陽光発電販売が始まり、2009年日本は“太陽光ブーム”に沸きました。
家庭用の太陽光発電を普及させるべく制度を国が導入し、太陽光発電は一気に身近なものに変わりました。
しかしそれから太陽光パネルブームはバブルが弾け、今ブームに乗っかって設置した家庭が外そうとしています。太陽光パネルの寿命は20年〜30年とされています。
今回は2035年に表面化すると言われている、「太陽光パネル大量廃棄問題」と、2025年4月に東京都で施行される新築一戸建てに義務化することについてお伝えします。
2035年、寿命を過ぎた太陽光パネルが大量に廃棄される可能性
日本で太陽光発電が急速に拡大したのは、今から10年前の2012年に導入された、国の「固定価格買取制度」が始まりでした。しかし、屋外で激甚災害など風雨に当てられた太陽光パネルはとても短命です。耐用年数は20年から30年とされています。
その寿命を迎え始める2035年以降、太陽光パネルの廃棄が大量に発生すると予測されています。環境省の話では、2040年代に入ると現在の約200倍となる年間80万トンものリサイクルもできない太陽光パネルが大量に不法廃棄されるのではないか?と議論中です。
太陽光パネルは激甚災害などどんな天候にも保ち堪えられる様にかなり頑丈に構成されているので、リサイクルに回すためには感電の恐れと分解に時間を要することや、約100万円の撤去費用が必要となります。その撤去費用で、太陽光パネルを廃棄する時には大半が土の中に埋め立て処分されるとの議論が巻き起こっています。
ですが、太陽光パネルを土の中へ埋め立て処分するにも莫大な費用が発生するため、発電事業を廃業してもそのまま太陽光パネルを屋根の上で放置したり、不法投棄されたりする可能性が高確率だと議論を重ねています。
国は太陽光パネルの不法投棄を無くそうと、発電事業者に電気を販売して獲得した収入の一部を太陽光パネルの撤去や廃棄の費用に回し、最初から積み立てるよう義務化する予定で、同様の制度は、環境への配慮で早くから導入されていたフランスなどヨーロッパでも欧州国で導入されています。
参考:ビジネス特集 太陽光パネル“大廃棄時代”がやってくる NHK NEWS WEB(2022年)
専門家の話では「埋め立て処分場のキャパを超えてしまっているので、リサイクルが拡大しないと、最終的には不法投棄や不正な輸出に直結してしまう恐れがあります」と警鐘を鳴らしています。
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ビジネス特集 どうする!? 太陽光パネルの“終活” NHK NEWS WEB(2022年)
太陽光パネル廃棄量、2035年ピークに 経産省が対応検討 日本経済新聞(2022年)
東京都、2022年度中に新築一戸建てに太陽光パネル設置義務化へ
地球温暖化に結び付く温室効果ガスの排出削減を掲げ、東京都の有識者検討会は2022年5月11日、一戸建て住宅などの新築建物に太陽光発電の太陽光パネルの設置を義務化する答申案をまとめました。
CO2を排出しない電気自動車などのゼロエミッション車の充電設備の設置義務付けも提言しました。5月内に正式に取りまとめる方針です。東京都は公的なコメントなどを通過して関係条例の改正案を作成し、2022年度中の成立を目指します。
太陽光パネルの設置費などが課税されると、住宅価格の値上がりに結び付くことから、群馬県や京都府の同類の条例では一戸建てを太陽光パネル設置を対象外とし、政府も現在審議中の国会に提出中の建築物省エネ法改正案でも太陽光パネル設置の義務付けは見送りました。ですが、小池百合子知事は2030年に東京都の温室効果ガスの排出量を「2000年比で半分にする」という、政府の目標を遥かに上回る目標を提唱しており、一戸建て住宅への義務付けが不可欠だといいます。
参考:新築住宅に太陽光パネル義務付け、東京都の条例可決…25年春から・戸建て対象は全国初 読売新聞(2022年)
東京都民は反発の声
公明の谷村孝彦氏は「都民からは住宅価格に設置費用が上乗せされてしまえば、都民への義務化と変わらないとの懸念が出ています」と述べ、「最終的に都民に太陽光パネル設置の選択の余地を残すなど、理解と納得を得るべきです」と改善を要求しました。
これを受けて、小池百合子知事は、「個人が太陽光パネルの設置の有無を選択可能な弾力的な仕組みを前提に、もっと具体的な検討を促進させていきます」と回答しました。新築住宅を建てる人の一部が太陽光パネル設置をしない事案でも住宅メーカーが義務を達成可能とする制度を検討すると説明しました。
東京都、2025年4月から新築戸建ての住宅に太陽光パネルの義務化が施行へ
東京都の小池百合子知事は2022年9月9日、一戸建て住宅を合わせた新築建物への太陽光パネル設置を住宅メーカーに原則義務付けをする制度について、2025年4月から行うことを決めました。2022年12月の東京都議会定例会に関連条例改正案を提出し、議論を重ねて、2年程度の周知期間を設置した上で施行します。一戸建ての新築住宅を対象とした、太陽光パネルの設置の義務化は全国で初のことです。
小池都知事は2022年9月9日に開かれた定例記者会見で、「住宅に屋根がついているのが必然のように、屋根で発電するのも必然だという機運を醸成したい」と説明しました。また、記者会見の中で、「脱炭素という壮大な大義を果たすために、まずは、東京都として、率先して行動を移すこと、都民の共感を得ていくことが不可欠。太陽光パネルの普及に向けた補助制度の充実も盛り込む」と述べました。
東京都によれば、これまでも太陽光パネル設置のための補助金や、初期費用なしで設置できる「リース制度」などの支援を呼びかけて来ました。将来的な大量廃棄を見据えて、太陽光パネルはリサイクルを加速させます。
出力4キロワットの太陽光パネル設置には約100万円の初期費用が必要です。東京都は2030年の温室効果ガス排出量を2000年比で半減させる「カーボンハーフ」の実現を果たしたいと提唱しており、太陽光パネル設置の義務化により、家庭部門も含め排出量削減を狙いたい意向です。
東京都は、一戸建て住宅など延べ床面積2千平方メートル未満の中小規模の建物は、家主や住宅購入者ではなく住宅メーカーに太陽光パネル設置を義務付けます。マンションなど2千平方メートル以上の新築建物に関しては、建築主に設置義務を求めます。50社ほどが対象になる予想で、メーカー、デベロッパーごとに発電総量のノルマが設定されます。日照量や屋根の面積などに対応して、どの住宅に太陽光パネルを設置するかは各社が判断するということです。
条例の改正に向けて東京都は、義務付けの対象となる住宅メーカーなどから集めた意見をもとに制度の基本方針を固めました。小池都知事は「住宅メーカーと都民双方の理解と協力が不可欠です。子ども達に誇れる未来を残していくべく、ご理解ご協力を頂きたい」と話し、住宅メーカーや新築一戸建ての購入者への補助を拡充させます。2025年の施行までの約2年間で、設置に必要な費用や設置後の維持・管理にかかる支援の在り方について検討を加速させ、設備の設置や準備に取り組む住宅メーカーを支援し、都民や住宅メーカーへの理解を深めたい意向です。
参考:小池都知事、25年4月から太陽光パネル義務化の方針表明 日本経済新聞(2022年)
私の家でも太陽光パネルを勧められた。
もう20年以上前の話ですが、自宅を新築したんです。私の家は何処も日当たりが良すぎて、暗い部屋が全くない家なのですが、そのせいもあり、また丁度太陽光パネルブームもあり、太陽光パネルを私の家を建てた建設会社から是非と言われたのですが、両親が断りました。
車で行くとまあまあ近い家とか、近所でも太陽光パネルを観るのですが、やっぱり20年以上経過していると、劣化が激しい。家族とも「こんなに設置して、問題になるならあの時設置しなくて良かったね」という話も挙がります。
東京都の方針はそんな時代に逆行していて、本当に大丈夫なのかと思います。確かに電力は消費電力を求められるし、足りないですよね。でもこれが通過したら、また別の年代で問題となると思います。難しいですね、この問題に関しては、全員が納得するのは難しいかと思いました。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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