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こんにちは、翼祈(たすき)です。
多くの卒業生が多彩な分野で活躍しており、「IITブランド」という学術的な基準も生まれているインド工科大学、通称IIT。工学と科学技術を専門とする、インドにある23の国立大学の総体や各校のことを指しますが、2022年9月にそんな世界三大難関と呼ばれるIITに、生徒30人全てを送り込む教育プログラム《スーパー30》をベースにした実話映画が日本でも公開されます。
今回はその映画についてと、IITについてご紹介させて頂きます。
世界から注目が注がれるインドの教育システム《スーパー30》。その《スーパー30》の創立者であり、教育に情熱を傾けるアーナンド・クマールの実話をベースにした、インド発の映画【Super 30】が、『スーパー30 アーナンド先生の教室』の邦題で2022年9月23日(金)より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開されています。
主演のクマールを熱演するのは、2018年に“世界で最もハンサムな男性ランキング”で6位に選出されたインド映画界の大スター、[WAR ウォー!!]などのリティク・ローシャン。
ここではスターのオーラを封印し、実在の人物であるアーナンド・クマールを圧倒的な存在感で演じています。
ポスタービジュアルも解禁され、大雨の中、教え子たちと喜びを分かち合う晴れやかな表情のクマールが跳躍感の溢れる俯瞰で描かれた希望を感じさせた趣き。「親ガチャなんて関係ない!」というキャッチコピーには現代日本にも通じる本作の力強いメッセージが含まれています。
《スーパー30》とは?
天才的な数学の頭脳を持ちながら、貧しい生まれのためケンブリッジ大学への留学を諦めたアーナンド・クマールが始めた私塾「スーパー30(サーティ)」。全国の貧しい家庭から優秀な頭脳を持つ30人を選抜して、無償で食事と寮と教育を与えるという同プログラムは、2003年、インドの片田舎で始まった。
開始した年から、世界三大難関の一つと言われるインド最高峰の理系大学、IIT(インド工科大学)へ塾生を送り込むという快挙を成し遂げた。その後、毎年20人前後がIITに合格。08年から3年にわたって30人全てを合格させて、いまも続いているこのプロジェクトに、世界中のマスコミが注目し、絶賛の声が寄せられている。
画像・引用:“親ガチャ”なんて関係ない! 貧困家庭から難関校へ…私塾に情熱を捧げたインド人の実話「スーパー30 アーナンド先生の教室」9月23日公開 映画.com(2022年)
本作の概要
本作は、この軌跡の実話にベースとし、貧困に夢を奪われても、世の中を変化させようと奔走する一人の男の熱意と、劣悪な家庭でも夢を捨てない30人の生徒たちの学習することへの喜び、情緒豊かに描いて、やがて学ぶことへの国民の権利の中身、身分制度と格差の現代社会を深掘りしていきます。
学びたいという気持ちや知能があっても、貧しく学ぶ権利が無くなり、格差社会の前にもがく子どもたち。旧来の身分制度の考え方で「王の子だけが王になれる」という風習が今も根強いインドですが、それに関しては“親ガチャ”という言葉が拡がり、国会にも取り上げられるほど格差が深く進んだ日本の社会にも結び付く世界的な難題です。
経営資金が無くなり、飢餓に苦しみ、マフィアに狙われながらも、型破りな授業を続けるクマールと30人の教え子たち。知能はあっても、劣等感を抱えた教え子たちに「もう王の子どもは王じゃない。王となるのは知能ある人間だけだ」と言い聞かせ、自信を与え、一緒に夢を叶えようとするクマールの姿が世界中の人々の背中を押してくれます。
予告編も公開中
ここからは世界三大難関と称されるIITに迫った記事を1つ紹介させて頂きます。
世界三大難関・IITとは?
23校あるIITの1つであるマドラス校では、多くの学生が大学敷地内の寮に生活し、冗談交じりに「強制収容所」と称される大学で、勉強漬けの毎日を繰り返します。
IITは悲願のイギリスからの独立を果たしたインドの初代首相ネルーが1951年、国の産業発展に重要な技術エリートを育成し、「頭脳立国」の1番になろうと創立しました。手本にしたのはアメリカのマサチューセッツ工科大(MIT)だと言われています。
1950~1980年代には、IITはカラグプル、ボンベイ、マドラス、カーンプル、デリー、カラグプルの5校しかその当時にはなく、GoogleのCEOのスンダル・ピチャイ氏や携帯会社大手のソフトバンク元副社長のニケシュ・アローラ氏など、世界中のIT業界をリードするCEOに関しては、この1950〜1980代のIIT卒業生が多くなっています。
2000年代以降にどんどん新しいIITが創設され、現在は23校にまで上ります。IITが23校あってでも競争率は50倍以上という難関大なのです。毎年、インドで高校卒業を迎えたおよそ1200万人の進学する学生の中で、およそ1万6千人がIITに入学。最も熱い視線を浴びるのが、コンピューター・エンジニアリングの学部。市場が大規模で、給料も高いジャンルで、学生たちの向上心が汲み取れます。
参考:「世界三大難関」インド工科大、イノベーションを支える「その場しのぎ」の力 朝日新聞GLOBE +(2021年)
大学も世界で将来的に需要の高まる分野に重点的に取り組み、IITハイデラバード校は2019年にインド初で世界的にも珍しいAI(人工知能)学科を設置しました。同2019年、米Googleもインド南部バンガロールにAIの研究所を設立しています。世界のAI(人工知能)技術はインド人技術者が支えているといっても過言ではありません。
日本企業はIIT卒業生を取り込みたい狙い。
日本ではITの分野で人手不足が深刻で、日本国内企業は「IT大国」のインドで人材を確保しようとしますが、アメリカの企業などとの争奪戦になっています。日本企業はインドに拠点をおいて働きやすさをアピールしています。
日本企業の課題点について、IIT卒業の専門家によれば、「日本の新入社員はまずは与えられた仕事をこなすことを求められ、横並びで育成される。給料にも大きな違いは出にくく、昇進も遅い。特別扱いされようものなら、同僚からにらまれてしまう。そこに気づいてしまうと、日本国内の外資系に転職したり、英語の通じる欧米などに行きたくなったりしてしまうんです」と、個人よりも組織、スタンドプレーよりもチームワークを重んじる傾向が強いという日本企業。最大の問題点は、社員の働きに対する評価やフィードバックがあいまいなことが多いところだといいます。
これに関係するのか分かりませんが、日本は2021年の調査で世界の注目論文数が2020年の9位から、10位と順位を落としました。優秀な人材は日本では研究費も出ないし無理だと思い、どんどん海外に出て行ってしまいます。日本に優秀な人材を残すには、国の研究費補助と研究者の退職勧告などをやめ、この映画の《スーパー30》から学べるところについては大いに取り入れて、優秀な人材が日本を拠点に活躍出来る世の中になれば良いなと思いました。
関連サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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