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こんにちは、翼祈(たすき)です。
壮大な向日葵畑など、実際のウクライナの景色の中で撮影され、イタリアで半世紀前に公開された映画『ひまわり』の再上映が、日本各地で広がっています。
これだけ支持を集める理由は何なのか?今回はウクライナの人々への支援にもつながるこの『ひまわり』という映画と、関連書籍について綴ります。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、ウクライナを舞台に第2次世界大戦下で引き裂かれる男女の悲恋を描いた映画『ひまわり』が日本全国の映画館で再上映され続けています。映画の興行収入の一部はウクライナの人たちのために寄付されるといい、ウクライナの人々への人道支援の輪が拡大しつつあります。
映画『ひまわり』が現代に響く理由
地平線の果てまで続く一面のヒマワリ畑に、流れ出す哀愁漂うメロディ。
「生きてるの?」
「行方不明の扱いです」
「生きてるのよ」
オープニングクレジットのあと、イタリアを代表する女優、ソフィア・ローレン演じるヒロインのジョバンナが第2次世界大戦で兵士として連行され、戦争が終わっても帰国しない夫のアントニオを探す冒頭の有名なシーンです。
戦争の真っ只中に出逢った2人は結婚してすぐに戦争で離れ離れになり、アントニオはソビエト連邦、現在のロシアの過酷な雪の東部戦線に収監されていました。
映画配給会社の女性が思い出したのは、夫を探しにひとり当時のソ連に向かったジョバンナが壮大なヒマワリ畑の中を歩く名シーンです。
ジョバンナに、地元の人がこう話しかけます。
「イタリア兵と
ロシア人捕虜が埋まっています
ドイツ軍の命令で穴まで掘らされて
ご覧なさい
ひまわりやどの木の下にも
麦畑にも
イタリア兵やロシアの捕虜が
埋まっています
そして無数のロシア農民も
老人 女 子ども」
美しく風に揺れる一面黄色のヒマワリの中で、戦争という残酷な現実が色彩鮮やかなコントラストで突きつけられる、この映画の印象的なシーンの1つです。
参考:「戦争とは何か」 ウクライナ侵攻で再注目の映画「ひまわり」 NHK NEWS WEB(2022年)
あらすじ
物語の舞台は、第二次世界大戦下のイタリア。ジョバンナ(ローレン)とアントニオ(マストロヤンニ)は美しいナポリの海岸で恋に落ち、結婚する。その後、アントニオは厳しいソ連の最前線に送られ行方不明になってしまうが、ジョバンナは戻らない夫の生存を信じ続ける。終戦後、ジョバンナは単身ソ連へ渡り、手がかりもないままアントニオを探すが、広大なひまわり畑の果てに待っていたのは、少女のように可憐なロシア人マーシャと結婚し、子どもにも恵まれた幸せなアントニオの姿だった。全てを察したジョバンナは失意のなかでイタリアへ帰るが、やがてアントニオが彼女のもとを訪れる。
画像・引用:侵攻が続くウクライナに思いを馳せる名作「ひまわり」50周年HDレストア版、緊急公開! 収益の一部を寄付 映画.com(2022年)
再上映を決めた映画館の支配人は、「ウクライナの豊かな自然や美しい風景を通じて、戦争が奪ったものやその悲惨さを感じてほしい」と訴えています。
キャスト、監督ら製作陣
『ひまわり』は1970年(昭和45年)に公開。主演はイタリアの名優である俳優のマルチェロ・マストロヤンニと女優のソフィア・ローレン。[靴みがき][自転車泥棒]で知られるネオレアリズモの名匠のビットリオ・デ・シーカの監督作。
舞台は第2次世界大戦中のイタリア。夫は兵役を免れるため病気を装いますが見破られ、同盟国ドイツがソ連と戦う前線へ送還されます。映画[ティファニーで朝食を]の挿入歌[ムーン・リバー]を手がけた米作曲家ヘンリー・マンシーニのテーマ曲は世界中に知られています。
物語は、ソ連との戦いに出征して行方不明となったイタリア人兵士の夫の手がかりを求めて、妻が戦争の犠牲者が埋まっているヒマワリ畑を訪れる、というもの。現在のウクライナ日本大使館の公式ホームページでは、撮影地となったこのヒマワリ畑がウクライナの首都キーウ(キエフ)から約500キロ南のヘルソン州にあることを紹介しています。
日本ウクライナ大使館によれば、映画の撮影地は今回の侵攻でロシアに制圧されました。スクリーンに広がるヒマワリの大平原では、第2次世界大戦中に多数の兵士と市民が命を落としました。戦禍に関わらず咲き競うヒマワリと青空は、ウクライナ国旗を思い起こさせます。
再上映でウクライナへの支援
今日本で再上映されているのは、2020年に日本劇場公開50周年を記念して製作された、配給会社「アンプラグド」(東京)が最新技術で画面上の細かい傷を除去して再編集した、DVDやBlu-rayなどパッケージ化や配信がされていない【ひまわり50周年HDレストア(修復)版】(107分)と、貴重な機会となっています。
興行収入の一部を日本赤十字社と国連UNHCR協会に寄付し、ウクライナ人道支援に役立てられます。再上映は北海道から鹿児島まで自主上映も含めて約90カ所に拡大しているといいます。
マンシーニ氏作曲の甘く切ない音楽を通して、見渡す限りに広がった一面のヒマワリ畑が映し出されます。風にそよぐ無数のヒマワリの花……。この印象的なオープニングで幕を開ける『ひまわり』は、1970年3月、イタリアで先行公開され、日本では盛大に開催された大阪万博閉会日の前日、同1970年9月12日に公開されて、外国映画興行ランキング5位というイタリア映画としては異例のヒットを樹立。以来、何度も日本でも劇場公開され、そのたびに映画ファンの心を離しませんでした。
『ひまわり』50周年HDレストア予告編
食べ物や絵馬でも寄付
ロシアからの軍事侵攻を受け続けているウクライナの人々への人道支援のため、江島神社(神奈川県藤沢市江の島)がウクライナを彷彿させる絵馬を作成し、境内で頒布しています。
ウクライナに平和が戻ることを願って、巫女の女性たちが、映画『ひまわり』の場面を想像しながら、ヒマワリ畑を描きました。絵馬にはこのヒマワリ柄がカラー印刷されています。神社では特設ブースを設置し、参拝者に1枚300円で絵馬代として頒布し、ウクライナへの平和の祈りを込めて書いて貰い奉納してもらいます。絵馬代は全額、在日ウクライナ大使館に寄付されます。2022年3月23日から頒布を開始しており、当面の間実施するといいます。
参考:ウクライナへ祈り、ヒマワリの絵馬に 藤沢・江島神社 朝日新聞デジタル(2022年)
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チャリティー商品販売、「ひまわり」上映…地方で広がるウクライナ支援の輪 「少しでもできることを」 南日本新聞(2022年)
私にもできることは…広がるウクライナ支援の輪 食、文化通じ寄付 日本農業新聞(2022年)
CRAFT CHOCOLATE WORKSでは、ウクライナ産のハチミツを仕入れて、『ハニーカカオ』を販売したりしています。ほか、オーガニックチョコレートをオンライン販売するピアフィンヌでは、ウクライナの野菜ビーツや同国産ハチミツを使ったチョコレートを販売しています。
オリコン社発表 2022年3月28日付、週間映画DVDランキングからずっとチャートイン
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、ウクライナで撮影された『ひまわり』のDVDも再注目されています。
3/14-3/20(3/28付) 4位
3/21-3/27(4/4付)16位
3/28-4/3(4/11付) 3位
4/4-4/10(4/18付)4位
4/11-4/17(4/25付) 6位
4/18-4/24(5/2付) 4位
4/25-5/1(5/9付) 2位
5/2-5/8(5/16付) 5位
5/9-5/15(5/23付) 3位
5/16-5/22(5/30付)11位
5/23-5/29付(6/6付) 12位
5/30-6/5付(6/13付)15位
6/6-6/12付(6/20付) 20位
と13週連続週間映画DVDランキングにランクインしています。
今、《物語 ウクライナの歴史》など、ウクライナ関連の本も多く売れています。
ウクライナとロシアに関する書籍が売れている。「ウクライナはどういう国なのか」「なぜロシアは軍事侵攻したのか」。疑問の答えを知ろうと手に取る人が増えているようだ。
ウクライナが旧ソ連から独立するまでの歴史を記した《物語 ウクライナの歴史》(中公新書)は、黒川祐次・元駐ウクライナ大使の著。2002年に刊行された。出版元の中央公論新社によると、ロシアがクリミアを併合した14年にも注目を集め、9000部を増刷した。今回は、その時を上回る関心を呼んでおり、今月中旬までに9万部を増刷する予定だ。
ウクライナ民話の絵本〔てぶくろ〕(エウゲーニー・M・ラチョフ絵、内田莉莎子訳)も、よく手に取られている。日本では福音館書店が1965年に初版を発行した。
物語は冬の森が舞台。おじいさんが落とした片方の手袋にネズミやキツネ、クマなど7匹の動物が次々と潜り込む。先に入っていた動物が後から来た動物を受け入れ、窮屈になりながらも仲良く過ごすという内容だ。
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元駐ウクライナ大使が伝える、複雑で懐の深い歴史とは? 黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』を読む リアルサウンド(2022年)
最初は違う視点で書こうとしたこの記事。
最初は他のライターさんもこの記事について触れているし、私は別記事にこの『ひまわり』の事を少し触れようとしていました。ですがその記事を書いている内に、「これ一緒にすべきじゃないな」と思い、私が書きたい、映画『ひまわり』の記事を書いてみる事にしました。
この映画は本当に全国で再上映され、DVDもほぼ毎日売り上げがTOP20内に入るなど、多くの方がこの映画に、ウクライナに関心を寄せています。私はまだ観た事ないのですが、この記事を書いてみて観たくなりました。この間1年5カ月ぶりに映画を観に行って、その時も心臓久々すぎてバクバクだったので、この悲恋な物語をきちんと観れるか心配ですが、叶うなら観に行きたいなと思います。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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