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○デパートのエスカレーター(下り)
サヤカとアヤカの女子高生2人がエスカレーターに並んで乗っている。2人の間をサラリーマンが割って通り過ぎる。そのとき、肩がサヤカにぶつかる。
思わず声が上がる。すると、サラリーマンがイライラして言い返す。
「こんなところで並んで突っ立っているのが悪い。エスカレーターは急いでいる人のために片側を空けておくのがマナーだろ!!」
「待っておじさん、エスカレーターはそもそも歩いていいように製造されていないんだよ」
歩かない
エスカレーターの安全基準は、立ち止まって利用することを前提にしています。
エスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、
少しずつ浸透してきました。
多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。
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「しかし、関東では左側に立ち、関西では右側に立つって決まっているじゃないか。」
「確かに習慣としてそうなっているけど、中には怪我や障害などにより、右側にしか乗れない人、左側しか乗れない人もいるんだよ。」
ケガなどで、片側の手すりにしか、つかまることのできない方もいます
たとえば左手を骨折していて、右手でしか手すりにつかまれない方がいらしたとします。その方はエスカレーターの右側にしか乗れませんが、右空けが慣習となっていたらとても不自由で危険です。
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「しかも、おじさんが今やったことは、とても危険な行動だよ」
すり抜けは危険です
すり抜けざまに他の利用者や荷物と接触して、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
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「しかし、なぁ。サラリーマンは忙しいんだよ。お前らみたいにおしゃべりしている暇はないんだ」
「忙しいなら尚更、エスカレーターは立ち止まって乗るものだよ」
ロンドンの地下鉄の実験
2015年ロンドンの地下鉄の実験で、ロンドンの交通当局が上りエスカレーターでは、左側を歩く人用に空けるのではなく、左右共に立ったままでいるよう利用者に指示しました。
この変更によって、エスカレーターが2秒毎により多くの利用者を運べることがわかりました。
全員がエスカレーターで歩くのをやめたら、ある一定期間で28%多くの利用者を運べます。
この理由は、エスカレーターを歩いて上ると、その人の前後により多くのスペースが必要になるからです。
通常速度の街中での車の車間距離と、高速道路で必要な車間距離を比べて考えてみてください。エスカレーターを歩く人が必要な大量のスペースは、歩くことで得られる時間をすべて相殺するのです。
より多くの労力を費やし、より悪い結果を得ていることになります。
「ほら、実験の結果でも証明されているよ」
「ぐ、ぬぬぬ・・・」
言い負かされそうになるサラリーマン。
サヤカ、突然ニヤニヤした顔して反対側のエスカレーターを見ている。
「あれが、エスカレーターの正しい乗り方だよ。」
アヤカとサラリーマンがサヤカが見ている方を向く。
反対側のエスカレーターに乗っているカップルがいちゃいちゃキスしながら上がってくる。
チャンチャン♪
と、冗談はさておき、エスカレーターを歩くことによって故障するということは調べた結果どうもあまりないようです。日々のメンテナンスでカバーできているようです。
けれども、乗る人の安全を考えると気をつけなくてはならないポイントはいくつかあります。
必ず黄色い線の内側にお立ちください
ステップの黄色い部分は、エスカレーターの機構上、他の構造物と複雑にからみ合う場所です。くつやサンダル、衣類のすそなどが挟み込まれる場合があります。黄色の線の内側に立ってご利用ください。
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スニーカーのくつひもなどが挟み込まれることがあります。要注意です。
ベビーカー禁止
ベビーカーのエスカレーターの乗り入れは非常に危険です。タイヤがうまく乗らずにバランスを崩しますと、重さを支えきれずに転倒する恐れがあります。お子様を危険な状況にさらすことになりますので、絶対にしないでください。
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ベビーカーはエレベーターを利用しましょう。
乗り口付近や降り口付近には、立ち止まらないでください
他の利用者の迷惑になるだけでなく、利用者と接触が原因で思わぬ事故につながることもあります。安全のために、エスカレーターの乗り口付近と降り口付近は広くお空けください。
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この光景はたまに見かけます。
顔や手を乗り出した利用は大変危険です
顔や手を乗り出した利用は大変危険です。上昇時に天井に挟まれたり転落するなど、重大事故の原因になります。
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私の最寄りの商業施設で、子供がこのように遊んで死亡事故になったことがありました。
まだまだ、いろいろと注意すべきポイントがあります。
特に小さなお子さんが思わぬ事故に巻き込まれることもあります。もっと詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
エスカレーターにおける利用者災害の調査報告(第9回)
2年ごとの調査によるとどんな状況が危険なのかが見えてきます。
第9回 2018年1月から2019年12月まで
第8回 2013年1月から2014年12月まで
第7回 2008年1月から2009年12月まで
第6回 2003年1月から2004年12月まで
建物用途別の2年間災害発生件数
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第9回の調査では、2年間で1550件起きています。事故は全体で増え続けている傾向にあります。
60歳以上の事故
年齢別の2年間被災者数
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この表を見ると60歳以上の事故が多いことがわかります。
高齢者がキャリーバックを乗せる際に体勢を崩して転倒することがあります。体勢を整えて絶対に手荷物を手から放さないよう注意が必要です。
酔っ払っての事故
建物用途別の2年間酔っ払い災害件数
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建物用途別の2年間酔っ払い災害発生率
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ついつい飲みすぎて終電ギリギリに駅に向かい、慌ててエスカレーターに乗ってヒヤっとしたことなんてありませんか?
私は思い当たるフシがあります。
まとめ
一律に、歩かないようにするとか、いや歩く人のために空けとくべきだと、極端に二分化すること自体ろくなことにならないという意見もあります。
私の意見としては、やはり安全性や、体の不自由な人のこと、そして今のコロナ禍を考えると、ある程度空間を空けて立ち止まって乗った方がいいと思います。
あなたはどう思いますか?
参考サイト
エスカレーターでは歩いていいのかダメなのかメーカーに聞いてみたら‥
「エスカレーターで歩くな」と無茶言う人の末路 江戸川大学の斗鬼正一・社会学部現代社会学科教授に聞く
エスカレーターにおける利用者災害の調査報告(第9回) 一般社団法人日本エレベーター協会
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「痛い!!」