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病気などを理由に、学校に行きたくても行くことができない子供達。
病気や障害などを理由に、外に出て働きたくても働くことができない大人達。
そうした人たちの悩みや、孤独を解決するため、とある会社が開発したのが「分身ロボット」です。
「株式会社オリィ研究所」さんが送り出す「分身ロボット」とは一体何なのか。
その「分身ロボット」を用いて、どんなプロジェクトが展開されているのか。
今回の記事では、「分身ロボット」とそのプロジェクトの詳細、テクノロジーが生み出すこれからの未来についてお話し、一緒に考えて行けたらと思います。
分身ロボットの活躍①〜院内学級プロジェクト〜
株式会社オリィ研究所さんが送り出す分身ロボット、「OriHime(オリヒメ)」は、高さ25cmにも満たない小さなロボットです。
カメラ・マイク・スピーカーを搭載しており、インターネットを通じて操作ができます。
これにより、離れた場所にいる相手と会話ができたり、OriHimeがある場所の周囲を見回したりということができるようになっています。
そんな分身ロボットが、病気などを理由に学校に行けない子供達のための「院内学級プロジェクト」で使用されているようです。
例えば、OriHimeを以前通っていた学校に持っていき、机の上に置きます。
すると、OriHimeを通じて、その子供は病床にいるまま、クラスメイトたちと一緒に授業を受けることが可能になります。
授業を聞くだけではなく、分身ロボットの腕を動かしてのリアクションや、実際に声を発することもできるので、授業に参加することができるのです。
OriHimeは学校だけでなく、子供の自宅に持って行ったり、一緒に外出したりすることができます。病床にいるまま、子供はOriHimeを通じて人と接し、出かけることができます。
まさに「本当にその場にいる」かのような気持ちで、人と接し、出かけることを楽しめるようになっています。
画像引用:PR TIMES「分身ロボット「OriHime」を活用した『院内学級プロジェクト』」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000019066.html
「院内学級プロジェクト」は、東京の特別支援学校5校で2021年4月から実際に導入されているそうです。
まだ一部での導入ではありますが、これからもっと多くの場所に導入されることが期待できます。
分身ロボットの活躍②〜分身ロボットカフェ〜
東京日本橋にある「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」。
そこでは、難病や障害を抱えている人々が、分身ロボットを遠隔操作するパイロットとなり、働いています。
店内を、飲み物や食べ物を持った分身ロボットが移動し、お客様の席に運んだり、お客様の席に置かれた分身ロボットがお話をしたり、と接客のお仕事をしています。
「分身ロボットカフェへようこそ!」と元気の良いパイロットの声がします。
2021年6月21日に常設実験店としてオープンした分身ロボットカフェ DAWN ver.βは、株式会社オリィ研究所さんのプロジェクトの一つです。
使われている分身ロボットは、前項でも紹介した「OriHime」と、さらに大きくなり、持ち物を持っての移動が可能な「OriHime-D」です。
分身ロボットたちが働くエリアに入るには、事前の予約が必要ですが、予約不要のエリアからも分身ロボットたちが働く様子を見ることは可能です。
まずは気軽な気持ちで予約せずに見に行ってみる、というのも良いかもしれません。
プロジェクトの奥にある想いとは
分身ロボット「OriHime」を用いての「院内学級プロジェクト」、「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」。
これらのプロジェクトを始めとして、株式会社オリィ研究所さんでは様々なプロジェクトを行われています。
様々なプロジェクトに取り組む姿勢の奥には、「人々の孤独をテクノロジーで解決したい」という想いがあるようです。
「孤独」とは「自分が誰からも必要とされていないと感じ、辛さや苦しさに苛まれる状況」であると定義し、その原因が「移動」「対話」「役割」などの課題であるとしています。
その課題を解決するためには、個人の力だけでなく、テクノロジーの力が必要不可欠であると考えて、人々のより良い社会参加を支援するテクノロジーの開発と社会実装に取り組んでいるとのことです。
その想いが、「分身ロボットで移動や対話、役割の問題を解決する」という方向で様々なプロジェクトに表れています。
分身ロボットカフェ・パイロットの声
では、ここで実際に分身ロボットカフェのパイロットとして働く方の声をご紹介したいと思います。
Youtubeで公開されている、インタビューの動画になります。
・SMA Month 2021|分身ロボットOriHimeパイロット 優花さん編 – 脊髄性筋萎縮症 – バイオジェン
「体が動かなくても、外に出られない事情があっても、働きたい」
「こういう方法があれば働けるし、働きたいと思っている人はいる」
動画の中で、そのように話す姿が印象的です。
体が動かないから、外に出られない事情があるから、働けなくても仕方ない。
体が動き、比較的自由に外に出られる私たちは、ついそんな風に考えて、無理して働こうとしなくていいなどと言葉にしてしまいがちです。
しかしそれは「働きたい」という意思を無視した言葉になっていることもあるのです。
病気や障害を抱えていても、前向きな姿に、こちらがハッとさせられます。
これからの未来に思い馳せて
今回、記事を書くにあたって、私は初めて「分身ロボット」とそれを用いた様々なプロジェクトの存在を知りました。
特に分身ロボットカフェについて、純粋に面白いなと思い、実際に行ってみたい気持ちが湧きました。
コロナ禍で全ての人が外出困難となったと言っても過言ではない今日。
以前よりも「移動」に制限がかかるようになり、その結果他者との「対話」の機会が失われ、社会での「役割」を失った人もいます。
そんな世界で、テクノロジーによってそれらの問題を解決しようという動きは、小さくとも眩い希望の光になると感じます。
いつか、健常者も障害者も関係なく、自分に合った働き方で働ける日が来ますように。
そんな未来の話が、ほんの少し近くに感じられるようになりました。
分身ロボットが、私たちの未来をより良いものへと変えてくれることを、私は強く願います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
参考サイト
・分身ロボット「OriHime」を活用した『院内学級プロジェクト』
https://www.sankei.com/economy/news/210810/prl2108100784-n1.html
・分身ロボットカフェ DAWN ver.β
・オリィ研究所
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