縁故入社社員の働きづらさ

縁故入社社員

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こんにちは、金次郎です。

 2月も終わり、3月はどこの会社も人事異動を行うと思いますので、社内でも「そろそろあの人も、管理職に昇進するのじゃないかな?」なんて噂話に花が咲く季節です。
 しかし、人事異動は昇進など良い話ばかりではありません。
 私にとって嫌な人事異動、それは「転勤」でした。
 せっかく今の家に住み慣れて、近所の人たちとも仲良くなれたと思ったら「君、4月から〇〇支店に行ってね」と上司から突然の異動命令。
 私は父の紹介による縁故入社で就職しましたので「あの方の息子さんだから」と優しく指導してくれる上司や先輩もいる中、逆に「あいつの息子だから、どんどん各地に飛ばしてやれ」みたいなイジメにも遭いました。
 父も親類の薦めによる縁故に近い状態で入社しましたので、私が子供の頃は父の転勤に従って、あちこち家を替わりました。

先ずは、私の転居経験から

 私は、戸籍抄本でしか知らないのですが、生まれは大阪府です。
 中学生の頃に母に聞いたところ、私が生まれて9ヶ月の時に父に異動の命令が来て福岡県福岡市に来たそうです
 そして、そのまま福岡市で幼稚園を卒園し小学校に入学しますが、小学2年生の時にまたしても父に異動の命令が来て、同じ福岡県内ですが福岡市から北九州市に引越します。
 私が社会人になってから母が異動の理由を話してくれましたが「会社の指示で、仕事を請け負わせている取引会社に出向】させられてたの」と。
 これを聞いて「父も縁故入社に近かいって聞いているから、勤務先の上司が父の扱いに苦慮して支店では無く、取引会社に出向させたのかな?」なんて考えました。
 でも、私が小学校を卒業すると同時に、勤め先の会社から父に復帰命令が来て又もや福岡市に引越します。
 その引越した町が、小学2年生まで通学していた小学校をそのまま卒業すれば通うはずだった中学校の同じ校区内でした。
 そのまま、その中学を卒業しまして、私が高校2年生の時に父は「支店の無い地元子会社へ転籍させられてしまったから、もう他県への異動命令は発生しないだろう」と考え、持ち家を建てる決心をし、現在私も住んでいる家を建てました。
 でも、高校生当時の私は東京に憧れていまして、関東の大学に入学しアパートで一人暮らしします。
 その後の就職活動では、私は公務員試験ばかり受けていましたが、どこも不採用で見かねた父が「紹介できる会社が大分県にあるから、そこを受けてみろ」と言うので、採用試験を受け合格しましたので、大分県に引越します。
 しかし、その会社は設立してからの日が浅く、新人教育を終えた後、男性は全員3年間東京にある親会社での実習勤務を命じられましたので又しても東京に行きます。
 その後は、大分県の本社に戻り病気で退職して実家に戻るまで大分県で過ごします。
 結果、私は9回住んでいる場所を変わっています。
 後年母が言っていましたが「引っ越しが多くて、折角仲良くなったご近所さんと分かれるのが辛かったよ」と。
 私自身も、仲良しの同級生と分かれるのは凄く悲しかったです。

なぜ、会社は社員を転勤させるのか?

 本来の転勤の意義は「同じ場所や部署にずっといると、他の社員と『なあなあ』な関係になってしまい、仕事に手を抜いたり新しい知識を学ぼうと言う意欲が無くなってしまうから」です。
 勤務する場所を変えることで、心身共にリフレッシュしてもらい、「こちらの職場ではこんなルールや、この仕事にはこんな方法も有ったのか」と、新しい知識を習得してもらうのが狙いです。
 ただ、特殊な専門知識や技術を持っている人は、例外的に転勤しないで同じ場所で勤務したりします。
 しかし、その様な新知識の習得が目的ではなく、序文に書いた様に管理職の中には「俺は、あいつ(部下)嫌いだから転勤させてしまえ」と私権で転勤させるなど、新知識習得や会社の利益向上目的以外での転勤が発生しているのも事実です。

転勤を伴う人事異動の実情は?

 厚生労働省配下の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が2016年(平成28年)11月に発行した資料によりますと、平成10年に転勤を伴った人事異動を行った企業は37%で、平成8年に行った調査時に比べて5.6%増加しているそうです。
・従業員人数別「転勤を伴った人事異動率」
 ・5000人以上 95.8%(0.6%増)
 ・1000人以上 82.9%(1.5%増)
 ・  300人以上 66.2%(6.4%増)
 ・  100人以上 39.0%(4.1%増)
 ・  100人以下 21.7%(5.5%増)
 縁故入社で無くとも、従業員が多い大企業では転勤を伴った人事異動は普通に有りますが、カッコ内の増加率を見ると、従業員1000人以下の中小企業の方が転勤が増えている事が分かります。
 また近年は、既婚の女性社員の転勤命令も行われ、単身赴任する女性社員も増加傾向にあるそうです。

・資料シリーズNo.179 企業における転勤の実態に関するヒアリング調査(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)2016年11月「pdf形式 13ページ(表紙含む)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000148352.pdf#search=’%E8%BB%A2%E5%8B%A4+%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF’

 では、実際に就職活動をしている学生達は転勤をどう考えているでしょう?
 NHK「クローズアップ現代+」で去年2019年3月12日に放送された「”転勤”が廃止される!?働き方の新潮流」で、就職説明会に参加していた学生100人にアンケート調査を行ったところ、6割の学生「転勤の無い会社」への就職を希望している事が分かりました。
 その様な学生達の気持ちを考えたのか、損害保険会社のAIG損害保険は「今年4月から、本人の望まない転勤を止める」と宣言しました。
 AIG損害保険では、日本を11のエリアに分けて新入社員に希望する勤務地エリアを選んでもらいます。
 その勤務地エリアに配属されましたら、後は支店が変わる人事異動を行っても、現在住んでいる家から原則90分以内で通勤できる範囲でのみ異動を行うそうです。
 つまり引っ越しを伴う転勤は無しです。
 少子高齢化で、これからは親の介護をしなければならない若者がどんどん増えていきます。
 その様な現代において、下手に転勤を伴う人事異動をすると「親の介護がありますので」と退職する社員が増えてしまう事が容易に予想されます。
 AIG損害保険の執行役員をしている福冨一成さんは「他の会社と違う特色(制度)を出さないと、優秀な若者を採用できません。全国転勤と言う制度を見直さなければいけない時代になりました」と述べています。
 その代わり問題点も出てきており「東京や大阪など大都市勤務を希望する社員が多く、地方都市勤務を希望する社員が少ないのです」と。
 なので地方支店のポスト(役職者)が埋まらない事が発生しているそうで「地方支店で勤務している人の中で、役割を担える人を早急に教育しないといけません」と話します。

・“転勤”が廃止される!? 働き方の新潮流(NHK「クローズアップ現代+」) https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4261/index.html

終わりに

 最初に書きました様に、父が紹介できると言った会社に縁故入社しましたので、管理職の中には私が「〇〇さんの子供」と知っている方も当然いました。
 その会社には私以外にも、縁故入社の社員が数人いました。
 代議士と同じ様に、民間企業にも「社長派」とか「専務派」みたいな「派閥」が有りまして、私が勤めていた会社でも「あいつは〇〇派だからイジメてやれ」とか「こいつには仕事を回さず干してしまえ」みたいな嫌がらせがありました。
 私の場合は「あいつの子供だから、仕事を一杯押し付けて過労で倒れるほど働かせてやれ」みたいな事をされました。
 先輩社員や他の部署の管理職が「ちょっと彼に仕事を集中させ過ぎでは?」と私の上司に注意しても「構いません、私のやりたい様にやらせて下さい」と聞く耳持たずでした。
 案の定、入社4年目に身体を壊して休職してしまい、その時の後遺症で難聴になり復職後6年目からは、補聴器を付けての勤務生活でした。
 今でも同期入社の1/3くらいの人とは年賀状や暑中見舞いを出す仲ですので「誰々さん辞めちゃったよ」とか「誰さんが、お亡くなりになりました」等の情報をくれます。
 現代も「〇〇さんの紹介」とか「親類が働いていた会社だから」と言う形で、縁故入社する人は沢山います。
 しかし縁故入社は「誰さんの子供だから丁重に扱わないと」と大切にされる人も居れば、私の様に「イジメ」の対象にもなる可能性があります。
 ですから私は、この会社以降は親に頼らず、自分で仕事を探して自分が納得した会社で働く様にしています。

参考
縁故採用のメリットとデメリットとは?コネ入社での注意点(履歴書Do)https://www.rirekisyodo.com/job-hunt/nepotismadopted-point.html

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