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先日たまたま仕事の関係でダリの美術本を読む機会があり、調べていると「ポルト・リガルの聖母」がとても興味深く、さらに調べてみると福岡市美術館に飾ってあるという情報を見つけました。それもたまたま福岡市美術館に行く私用があり、先日足を運んできました! 本などであらかじめ見ていたし、どんな大きさかも分かっていたのに生で見ると自分でも味わったことがないくらい感動しました。
まず目に入るのはその絵の大きさでした。迫力があって約70年前ぐらいの作品なのにさっき描いたの? って思うぐらいの生々しさを感じました。私はゴッホが好きなぐらいで最近は遠のいていましたが、やっぱり絵はいいなと改めて思った次第です。
そんな時ふと思ったことがあり、絵画もそうですが芸術とは人間にどんな影響を及ぼすのだろう? と考えました。人間には衣食住と必要な3大要素がありますが一見、芸術はいらないようにも見えます。なぜ絵画や小説、音楽、映画などの「芸術」に時間を割き、どんな効用があるのかという観点から、書いていますのでぜひ最後までお付き合いください。
1.なぜ病院には「絵画」があるのか?
この記事を書こうと考えている時に、なぜか病院には必ずといって「絵画があるな」と思いつきました。ただのインテリアかな? と思っていましたが、調べてみると絵にはさまざまな効果があるということが分かりました。紹介していきます。
ホスピタルアート
病気やケガになってしまうと、どうしても心が沈んでしまい精神的なストレスの負荷がどうしても高くなり、病院の待合室なんて待っている時間が長ければ長いほどしんどくなってきます。
その空間にいるあいだ少しでもストレスから開放するため、絵画を飾っているというのが病院の狙いなのです。最近はアートセラピーやホスピタルアートという言葉もあったりして、絵の力みたいなのが浸透してきるのかなとも思います。
筑波大学附属病院では森をイメージした絵が壁や廊下など、至る所に描かれています。子どもの病院へのイメージを緩和させる目的もありますが、そこから生まれる会話やちょっとでも笑顔になれる絵の要素などリラックス効果もあります。
2.健康への第一歩はアートから
日本ではまだまだ病院というと白い壁に白いカーテンというイメージが強く、実際にそんなところが多いでしょう。しかし1989年にはUNESCO(ユネスコ)が立ち上げたプロジェクト「Art in Hospital(アート・イン・ホスピタル)」というアートを活用することで、患者に心休まる環境を提供し、患者自身の回復力や自然治癒力を高めることができるというプロジェクトで、実際に効果も確認されています。
1990年にはスウェーデン、ノルウェー、スイス、フランス、オーストリアを企画国として発足し、現在は各国の厚生省が引き継いでいます。スウェーデンでは公共建設の新築・改築の際には、予算1%(病院の場合は2%)をアートに割くことが決められているというぐらいアートを重要視しているかが分かります。
日本にはこのような法律は無いですが同様の取り組みが広がっており、先ほども紹介した筑波大学病院や和歌山県立医科大学附属病院など徐々にですが浸透しています。数々のホスピタルアートを描いている山本容子氏の「山本容子美術館」というサイトにいろいろなホスピタルアートがありますので、ぜひそちらも見ていただければと思います。
3.アート鑑賞で体に良い「3つの効果」とは
アートはスイスやアメリカの医療現場で活用されており、以下3つの効用があると言われています。
免疫力アップ
日ごろコンクリートに囲まれた生活を送っていると昼間「交感神経過多」になりがちで、そのまま夜を迎え、1日が終わってしまうと自律神経の乱れに繋がります。夜はリラックスするため副交感神経を優位にさせる必要があるので、自分にとって美しい、心を落ち着かせるアートなどを鑑賞し、バランスを保つことによって免疫力を高める効果があります。
アート干渉は日ごろ緊張してストレスの多い交感神経優位の生活をしている人には副交感神経に働き、逆に刺激が少ない生活を送っている人には交感神経へと刺激になります。
つまりアートを見て感動するという一種の興奮は、人に良い効用があるということなのです。あまり美術館に行けないという方は、家に自分のお気に入りのアートを飾ることでも効果は充分にあるでしょう。
鬱になりにくい
脳研究では鬱になってしまう原因として、美しいものを見たときに活動する部位があり、その部分が機能しなくなると鬱病になってしまうということが分かっていて、美を感じるということは脳へのインフラ(基盤)にもなっていることでもあります。
美しいものを見る習慣は脳にも良い影響があって、そんなアートを側に置いておくことも健康に一役かってくれるということです。
右脳が活性化
日常生活では主に言語、計算、分析といった「仕事」でよく使う部分を左脳で処理しており、左脳ばかりを使ってしまいます。それがストレスとなってしまう傾向が強いのです。
逆に右脳とは色彩、空間感覚・図形、直感などの役割があって絵を見る、音楽を聞くなど芸術鑑賞をすることによって「脳のバランス」を保ってあげるということが、疲労感やストレスを解消するといわれています。日々の暮らしの中で、アートを取り入れ右脳を活性化させましょう。
4.認知症やうつ病をケアする「アートリップ」
認知症、うつ病などをケアする対話型アートプログラム「アートリップ」というのをご存知でしょうか? アートを通した時空の旅をしようという触れ込みのもと開催しているプログラムです。元々はニューヨークの近代美術館で実践しているプログラムですが、それを日本で導入したのが一般社団法人「アーツアライブ」です。
グループでアートを鑑賞し、進行役のコンダクターが質問に答えながら参加者が感じたこと、思ったことを自由に発言して共有するのが対話型アートプログラム「アートリップ」です。認知症の方とご家族が一緒に参加することができます。
プログラムに参加することでうつが軽減、QOL(生活の質)が向上し、自尊心が高まります。美術館ではもちろん、高齢者施設やカフェなどでも定期的に開催しているようです。ぜひ動画を見てどういうことをやっているのか確かめてほしいです!
まとめ・芸術は脳と心の養分
私もここまでアートのことを考えたことが無くて、単なる好みで見たりしているだけでしたが、そもそも人間の「基本」に組み込まれていることなのかと感じました。お腹が減ったらご飯を食べる、眠たくなったら寝ると一緒で脳や心が求めているのが芸術だと私は思います。
この記事ではアートを専門に書きましたが、別にアートじゃなくても音楽、映画、小説といった自分のライフスタイルに合わせやすいものを組み込むのが、一番です。脳や心が疲れていると感じたら、ご自身の興味に合う「芸術」に触れてみてはいかがでしょうか。
参考・アートのある暮らし協会 i-D 東洋経済オンライン はるとあき
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