アマゾンの本当の凄さ 物流・経営から人材、将来の構想まで

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1.そもそもアマゾンとは

 誰もが一度は利用したことのあるアマゾン。そのアマゾンの企業理念は、「地球上で最も豊富な品揃え」と「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」の2つです。この2つを実現するために、アマゾンは妥協せず、常識に縛られず、様々な施策を行ってきました。

 それが如実に表れているのが、投資額の大きさです。アマゾンの業績を見てみると、売上げは順調に拡大しているものの、利益については非常に小さくなっています。これは、物流とテクノロジーに大きな投資を行っているためです。

 そのアマゾンの創業者はジェフ・ベゾスですが、最初はガレージから創業が始まりました。アマゾンのサイトが一般向けにオープンしたのは1995年の7月です。サイト公開の直後、ヤフーのサイトで紹介されたことで、アマゾンの取引量は急激に増え始め、遅くまで地下倉庫でみんなで梱包作業を行っていたそうです。

 会社が急拡大していくと、それまでの倉庫とオペレーションでは対応できなくなってしまい、そこでベゾスは1998年にウォルマートの物流担当だったジミー・ライトを引き抜きました。その際、ベゾスが言ったのは、「どんなものでも取り扱える倉庫を作ってほしい」という言葉だったそうです。

 1999年には、今度はMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院でMBAと工学修士を取得したジェフ・ウィルケを雇います。ウィルケは、他の優れた科学者たちをアマゾンの物流部門に集め、倉庫内の運営改革を行っていくのです。

 今回は、そんなアマゾンの知られざる舞台裏や成長戦略、将来の構想についてまとめてみました。

2.アマゾンの物流戦略

 まず、アマゾンの特徴として、販売と物流とが一体化していることが特徴として挙げられます。「販売」とは、商品を顧客に販売する機能、「物流」とは、注文された商品を顧客に届ける機能です。

 小売業においては、販売は販売、物流は物流とはっきり分かれている場合が多いですが、アマゾンではそれらが一体となっているのです。そのため、情報連携がスムーズであるとともに、物流の改善活動が販売も巻き込んで、一体となって行われます。アマゾンにおいて、物流を改善することは、すなわち、販売を改善することでもあり、直接、顧客満足度や将来の売上に影響してくるのです。

 物流への莫大な投資も行っています。物流への投資と一言で言っても、さまざまですが、倉庫自体の数を増やしたり、拡張したり、倉庫用の機械設備の導入から物流システムや人材への投資も含みます。

 アマゾンの物流への大きな投資は、人材の面でも表れています。倉庫管理者の多くは、MBAを取った人物です。新卒で採用された東大卒の若手さえも、倉庫でピッキングするところから仕事を始めるのです。

 一般的に、日本の小売業の売上高に対する物流コストの比率の平均は4.85%といわれます。これに対して、アマゾンはグローバルで見ても、2兆円規模、比率にして13%もの金額が投じられているのです。

 さらにアマゾンでは、購買管理、注文管理、在庫管理、倉庫運営のシステムなどを自社で開発し、どんどんそれを進化させているのす。

3.アマゾンの経営戦略

 アマゾンは新しいサービスを始める際に、どうなれば成功と言えるのか、という基準を持って始めます。そして週次ペースで徹底的に様々な指標をレビューしたうえでビジネス判断を行い、失敗なら素早く撤退し、成功の見込みがあるなら何年赤字でも継続して改善をしていきます。

 そして、アマゾンは徹底した資本主義の考えのもと、全ての取引会社を互いに競争させることで、完璧な経済合理性を持って契約を締結する、という戦略を持っています。他社に対して競争優位性を築こうとする取引企業の努力を利用して、高い品質を担保し、アマゾンにとって有利な取引条件を引き出していくのです。

 アマゾンの経営戦略として優れているのが、他社の商品を販売させるマーケットプレイスというものです。そして、アマゾンが販売している商品とマーケットプレイスで販売業者が直接販売している商品が同じであれば、その情報は1つのページにまとめられます。この仕組みを「シングル・ディテイル・ページ」といいます。

 これがあれば、顧客は1つの商品の購入を検討する時に、たくさんのページを訪問する必要がありません。あとは、価格や送料、新品か中古品か、販売業者など、違いのある部分のみを比較検討すれば良いだけです。

 さらに、FBA(Fulfillment by Amazon)というサービスも始めました。FBAとは、他の販売業者の在庫から配送までを、アマゾンが代理で行うものです。他の販売業者の売り物であっても、アマゾンが倉庫に在庫を持ち、注文があれば配送までをアマゾンが責任を持って行うのです。

4.アマゾンには不思議と優秀な人が集まる

 アマゾンには、不思議と一流の人材が集まてくるといいます。待遇が良いという理由もあるでしょうが、アマゾンには他の会社では経験できない面白い仕事ができるということで集まってくるらしいのです。

 他の会社と違うのは、新しいことにチャレンジできる土壌が整えられていることです。会社全体としても新しい展開をどんどん進めていますし、個人としても新しいことにチャレンジできます。

 日本企業では、前例がないとか、日本の商習慣に合わないとか、時には理由もなく、ロジカルな経営判断がなされないことがありますが、アマゾンではそういったことはないようでうす。

 さらに、優秀な人と仕事をしたい、と思った時に、アマゾンにいれば、勝手に優秀な人、時には、その分野のスーパースターのような人が入ってくれるので、自分が動いて探し回る必要がない、ということも魅力のようです。

 優秀な人というのは、変化を求める人が多く、まだ世界にない新しいものを作ってとみたいと思っている人も多いのです。そうした人を惹きつける魅力がアマゾンには備わっているのです。

 そして、優秀な人は、やはり話の通じる優秀な人と一緒に働きたいと思っています。そうなると、自然と優秀な人が集まり、会社としても進化し続けるので、さらに面白い仕事を求める人が集まるという好循環に繋がっていくのです。柔軟で好奇心が強く、世界中の優秀な人たちと仕事ができる環境を求める人には、アマゾンという会社はぴったりでしょう。

5.アマゾンが見渡す未来

 最後に、アマゾンが見渡す将来について考えてみたいと思います。アマゾンが将来、構想しているのは、「空飛ぶ宅配」だそうです。ドローン(小型無人飛行機)を飛ばして、商品を届ける宅配「プライムエアー」の実用化を急いでいるといわれています。

 総重量25キロ未満のドローンを高度120メートル以下で飛ばし、重さ約2.3キロまでの商品を30分以内に配送する計画だそうです。アマゾンは、現在「プライムナウ」の1時間での配達が最速です。ドローン宅配が実現すれば、この1時間を切るともいわれています。

 もし、ドローンを飛ばすなら専用の基地が必要となります。アマゾンは、その基地を上空に飛ばし、そこから荷物を配達する「空飛ぶ倉庫」のようなものを構想しているそうです。この空飛ぶ倉庫は、ヘリウムガスを使った全長100メートルの飛行船で、数百トンの品物を積載する計画だそうです。

 この倉庫は、旅客機との衝突を避けるために、飛行機が飛ぶよりも高い1万4000メートルの上空に浮かべる計画だそうです。ドローンは空飛ぶ倉庫から品物をピックアップし、配送した後は上空の倉庫には戻らずに、地上の拠点に向かう構想で、アマゾンはすでにアメリカにおいて特許を出願しています。

 アマゾンは、物流のための自動運転の研究も加速しています。報道によりますと、自動運転のトラック、フォークリフト、そしてドローンの活用法を検討しているようです。もし、無人走行のトラックや搬送機が実現すれば、アマゾンの物流網は激変するかもしれません。アマゾンはこれからも私たちの生活を変えてくれるでしょう。

 

 参考

成毛眞(2018)『amazon 世界最先端の戦略がわかる』ダイヤモンド社.

林部健二(2018)『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』プチ・レトル株式会社.

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