あなたはAmazonの本当の凄さを知っていますか?

Amazonの強み

 いまや、「通販」の常識を変えたといっても過言ではない、インターネット通販アマゾン。このアマゾンの企業理念は、「地球上で最も豊富な品揃え」、そして、「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」の二つです。その理念を実現するために、アマゾンはさまざまな施策を行っていますが、その姿勢が如実に表れているのがその投資額の大きさです。

 たとえば、アマゾンは売り上げを順調に伸ばしているものの、その利益率は非常に小さいです。これは、とくに物流とテクノロジーへの投資額が大きいためです。その投資額は年間2兆円にも及ぶといわれています。

 それだけではありません。人材もそうです。倉庫管理者の多くはMBAを取っている人間で、新卒採用された東大卒の若手さえも、倉庫でピッキングをするところから仕事を始めるのです。

 アマゾンは、新サービスを始める前に、どうなれば成功といえるのか、という明確な基準を持って始めます。そして、週次ベースで徹底的にさまざま指標をレビューしたうえでビジネス判断を行い、失敗なら素早く撤退し、成功の見込みがあるなら何年も赤字でも継続して改善を行っていくのです。

 今でこそ、通販といえばアマゾンのようなネット通販が主流になっていますが、もともと通販はインターネットが普及するずっと前から存在していました。カタログ通販、ラジオ通販、テレビ通販など、実店舗を介さない通販が、昭和の時代から行き渡っていました。そこにインターネットが広く普及してくくると、通販の事業形態は様変わりしました。

 一般的によく言われているのは、無数の商品を販売できるようになった、ということです。さらにネット通販は、無制限の商品棚を持っています。これにより、一定の需要があるものの販売見込み数の少なかった「ニッチな商品」も販売可能になったのです。こうした、今まで販売機会の少なかった商品も多数販売して、全体の売上を大きくすることを、マーケティングの用語で「ロングテール」といいます。そしてアマゾンは、こうしたロングテールをうまく活用していったのです。

 そしてアマゾンは徹底した資本主義の考えのもと、全ての取引会社を互いに競争させることで、完璧な経済合理性をもって契約を締結する、という戦略を持っています。他社に対して競争優位性を築こうとする取引会社の努力を利用して、高い品質を担保し、アマゾンにとって有利な取引条件を引き出いしていくのです。そのため、どの取引業者も、気付けば値下げ合戦の渦中に放り込まれていくのです。

 アマゾンの特徴として、販売と物流が一体となっている、という点が挙げられます。小売業においては、販売は販売、物流は物流とはっきり分かれていることが多いですが、アマゾンは販売と物流の一体化によって、スムーズな情報連携を可能としています。アマゾンは情報連携がスムーズであるとともに、物流の改善活動が、販売も巻き込んで一体となって行われています。このことにより、アマゾンは顧客の満足度を高めているのです。

 物流部門への巨額の投資もアマゾンは行っています。「2016年度物流コスト調査報告書」によると、日本の小売業の売上高に対する物流コスト比率の平均は、4.85%だといいます。これに対して、アマゾンの2016年12月の売上高に対する物流コストの比率は13%にもなります。この数字は、世界全体で2兆円もの規模となっています。

 アマゾンは新事業の展開においても、常に長期的視点に立っています。現場のマネージャーにまで話が共有されているような新規ビジネスの話も、何年も経ってから世間に公表されるといった状況が、アマゾンでは普通のこととなっています。これは、ビジネスの展開が遅いということではなく、かなり早い段階から新しいビジネスの展開を見据えて、長期的視野に基づき投資を進めていることの表れなのです。これがアマゾンの強みです。

 長期的に見て必要なビジネス、見込みのあるビジネスについては、短期的に赤字が続いても改善しながら継続していきます。たとえば、Kindleのビジネスについては、今も黒字化されてはいませんが、アマゾンにとっては必要なビジネスとして継続されています。

 アマゾンは、ロボットを使った倉庫運営やドローン配送、AIスピーカーのAmazon Echoなど、新しい技術を使ったサービスや取り組みで注目されることが多いので、一見派手な新規ビジネスばかり目立っています。しかし、実は何年もかけてじっくりと準備をすることの方が多いというのです。

 参考

林部健二(2017)『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』プチ・レトル株式会社.

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