腹部大動脈瘤が、母乳に含まれる栄養成分「トリカプリン」で縮小。大阪大学、治験へ。

腹部大動脈瘤

この記事は約 6 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

まず、この記事のテーマである、腹部大動脈瘤の説明をしたいと思います。

大動脈とは、心臓から送り出された血液が通る人体の中で最も太い血管を指します。

腹部大動脈瘤とは、みぞおちから、へその周辺で腹部大動脈が部分的に肥大化する病気で、一般的には20mm程の大動脈が30mm以上に膨らんだ状態のことを指します。

ほとんどの場合、腎臓に向かう血管から左右に枝分かれをする大動脈分岐部までに生じ、さらに骨盤に向かう腸骨動脈が連続してこぶ化することも多く認められます。

お腹の大動脈の主な原因の90%が発症の原因となる動脈硬化でしなやかさを失い、もろくなった血管の壁が膨んでこぶを作り、国立循環器病研究センターによりますと、自覚症状がないまま進行し、突然こぶが破裂して亡くなるケースもあります。

腹部大動脈瘤は動脈硬化という「血管の老化」によって生じ、危険因子は、高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症などが広く認知されています。中でも、喫煙が最も大きな動脈硬化の原因だと言われ、病院では禁煙することを強く促しています。

この様に、一度発症して破裂すると、救命目的とした手術しか治療法のない腹部大動脈瘤。この記事では手術以外にも治療法を開発して、臨床試験(治験)を始めた、ある大学の話を紹介します。

大阪大学の研究グループは、母乳などに含まれる栄養成分「トリカプリン」が、お腹の大動脈にできたこぶを小さくする可能性があるとし、腹部大動脈瘤の患者さんを対象に、治療薬候補として服用して頂く臨床試験(治験)を実施すると明らかにしました。

今回は、大阪大学が取り組む、腹部大動脈瘤の治験の詳細について発信します。

大阪大学が取り組む、腹部大動脈瘤の治験はどんな人が対象?

医療従事者の男女

循環器内科学が専門の、研究グループ 樺敬人特任研究員によりますと、日本の腹部大動脈瘤の推定患者数は100万~180万人で、こぶが5cm以上になると、有効な治療は、人工血管置換術と、ステントグラフト内挿術の手術に限定されます。

「トリカプリン」は母乳やココナッツミルクなどに含まれる中性脂肪の1つで、主成分とする健康食品を大阪大学などが開発しました。近畿大学などと実施したマウスの動物実験では、もろかった血管が丈夫になり、こぶを縮小させる効果が確認できました。

臨床試験(治験)は大阪大学病院で実施されます。こぶが4.5cm以下の50~85歳の患者さん10人に、この「トリカプリン」を含んだ健康食品を毎日3回、1年間服用して頂きます。縮小や安全性があるかどうかを観察し、効果が認められれば、さらに大規模な臨床試験(治験)に結び付けたいと思っています。

樺特任研究員は、「腹部大動脈瘤の手術以外の、新しい治療法の開発に向けて大きな前進です。有効性が明らかとなれば、手術をする前に投薬治療ができる様になる可能性を秘めています」と説明しました。

参照:母乳の栄養成分「トリカプリン」、おなかの大動脈瘤を縮小させる可能性…治療薬候補として臨床試験 読売新聞(2024年)

大阪府大阪市にある森之宮病院の心臓血管外科顧問の男性は、「腹部大動脈瘤の手術をするよりも薬を服用の方が患者さんの心身の負担は軽く、今回の臨床試験(治験)で治療薬として実用化され、こぶが縮小される詳細なメカニズムの解明も期待を込めたいです」と語りました。

腹部大動脈瘤のそれ以外の詳細

また、感染症(サルモネラ菌、梅毒など)以外にも、先天性の病気(エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群など)血管に炎症を引き起こす病気(ベーチェット病、高安動脈炎など)、外傷も腹部大動脈瘤の原因因子です。

腹部大動脈瘤は、年を取れば取るほど発生頻度が上昇することが理解されています。腹部大動脈瘤の手術を受ける人の平均年齢は75歳で、40歳代から50歳代の発症は極めて珍しく、女性、男性共に70歳代の患者さんが最多となっています。

大動脈瘤は徐々に大きくなりますが、大きくなればなるほど早く大きくなります。

腹部大動脈瘤の直径が大きくなればなるほど、突然破裂する危険性が上がります。

1年の内に破裂する可能性は、40mm~50mmでは5%以下ですが、50mm~60mmでは3%~15%で、60mm以上ではさらに確率が上がります。

破裂すると、一気に症状が進行します。血圧が低下して突然ショック状態になって、「突然苦しみながら倒れて死んでしまった」や、「運転中に突然意識を失った」という状態に陥るケースもあります。破裂する部位によっては、血便や吐血といった症状が出現するケースもあります。完全に腹部大動脈瘤が破裂していない時に、激痛を伴う場合もあります。

腹部大動脈瘤は、破裂する前、ほとんどの人を対象に、無症状の内に手術を受けることが最も重要で、破裂した時には、すぐに手術を受けるしか助かる方法はありません。患者さんが脈のある間に手術室に辿り着くことが必要な行動です。手術の目的は救命であって、救命されても、入院期間が長期化し、破裂する前の様な生活ができなくなる可能性が高くなります。

腹部大動脈瘤は、破裂する危険性と手術の危険性を比較しても、破裂する危険性が手術をする危険性よりも高ければ、手術が推奨されています。

腹部大動脈瘤は、根本的な治療薬もありません。

とても深刻な病気にも関わらず、手術以外の治療法がない、腹部大動脈瘤。

そういう点でも大阪大学が取り組んでいる治験は大変意味のあるもので、この治験が無事に成功し、拡大して欲しいですし、新しい治療法しても確立されたらと思っています。

メモを取る女性医師

noteでも書いています。よければ読んでください。

→HOME

腹部大動脈瘤

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。