水ぼうそう(水痘)。終生免疫だが、将来帯状疱疹を、大人が発症しやすい感染症。 

水ぼうそう

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

水ぼうそう(水痘)とは、ヒトヘルペスウイルス3型の一種で、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)の感染によって全身の発熱や発疹、細菌感染や肺炎の合併、髄膜炎や脳炎など様々な症状を引き起こします。

大人が水ぼうそうに感染すると重症化しやすく、髄膜炎や脳炎などを引き起こした場合、およそ20%で亡くなったり、重い後遺症を残すことがあります。

感染してから2~3週間ほどの長い潜伏期間を経て症状が現れます。

季節的には毎年12〜7月に多く、8〜11月には減少していますが、1年中かかる感染症です。

不顕性感染は少なく、かかれば水ぼうそうを発症します。

一度かかったら2度水ぼうそうにかかることはなく、終生免疫を得ます。

一部は重症化し、近年の統計によると、日本では水ぼうそうは毎年100万人程度が感染し、4,000人程度が入院、20人程度が亡くなっていると推定されています。

過去に水ぼうそうなどにかかったことがある人は病気が治癒しても、ひとたび水ぼうそうに感染すると一生、ウイルスが身体の中(脊髄後根神経節)に潜伏感染し、免疫抑制状態や加齢等で再活性化し、高齢者や大人になって免疫が低下した時に、疲労やストレスなどが引き金で帯状疱疹を発症することもあります。

帯状疱疹の症状が出現している人が水ぼうそうを発症したことのない子どもに接触すると、その子どもが水ぼうそうをかかることもあるので、ご家族に帯状疱疹の症状が現れた場合にはご注意下さい。

今回は水ぼうそうの症状や原因、合併症、治療法、予防策などを発信します。

▽症状

水ぼうそうを発症すると特徴的な症状は頭痛と38度前後の発熱、全身の倦怠感、食欲低下、全身に直径3mmから5mm程度の発疹が出現します。発疹は紅斑(こうはん:赤いできもの)から始まり、丘疹(きゅうしん:盛り上がった赤い発疹)、水疱(水ぶくれ)、膿疱(のうほう:ウミのある水ぶくれ)、痂疲(かひ:かさぶた)と変化し治癒します。

数日に渡って新しい発疹が次々と出現することで、急性期には様々な段階の発疹が混在するのが大きな特徴です。身体にある全ての発疹が痂疲化(茶色のかさぶたになる状態)するまで6日程度を要します。

発疹はお腹や顔、背中などに出現するケースが多い傾向ですが、頭部など髪の毛に覆われた部分にも出現するのが特徴です。口の中や鼻、のどなどに発疹が出現することもあります。

水ぼうそうに感染しやすい期間は、発疹が出現する1-2日前から、全ての発疹が痂皮になるまでです。

▽原因

免疫機能が正常に働いている子どもでは、水ぼうそうが重症化することはほとんどないといいます。

ですが、化学療法やコルチコステロイドの投薬治療を受けている人、T細胞免疫が抑制されているなど易感染状態の子ども、大人では、重篤化する危険性を含みます。

▽かかりやすい年齢

水ぼうそうの感染力は強く、罹患年齢はほとんどが9歳以下です。9歳以下での水ぼうそうの発症率は90%以上です。幼稚園や保育園などで流行ることも多いです。

10歳程度までの子どもの場合はそれほど高い熱は出ません。大人での水ぼうそうも稀に見られますが、大人が水ぼうそうに感染すると子どもと比較して、高熱が出て、水痘肺炎など、重症化することが多く、死に至る場合もあります。

▽合併症

・脳炎・肺炎・小脳失調症・発疹・肝炎部分からの細菌の二次感染 等

・皮膚の二次性細菌感染、肺炎(細菌性・ウイルス性)、脱水、中枢神経合併症(髄膜脳炎、無菌性髄膜炎)。

それ以外にも、特に子どもでは、肺炎、肝炎、気管支炎、血小板減少性紫斑病、小脳炎、心膜炎等の合併症が見受けられます。

発熱は通常38度前後で2~3日続きますが、40度を超える場合もあり、その時に熱性けいれんを合併することがあります。

亡くなる確率は健康な子どもでは0.003%ですが、免疫不全の子どもの水ぼうそうの初感染で無治療だと7~14%と言われています。

▽重症化しやすい人

特にアトピー性皮膚炎等で皮膚が弱っている場合には水ぼうそうに感染すると重症化しやすいので、ワクチン接種を推奨します。

急性白血病等の悪性腫瘍の人、ネフローゼや白血症の治療などによって免疫機能が低下している人及びその恐れのある人などのハイリスク患者さんは、特に重症化しやすいです。

妊娠初期に水ぼうそうに感染すると、流産するケースが多いです。妊娠中期以降に水ぼうそうに感染した場合は、お母さんから生まれてくる赤ちゃんは先天性水痘症候群(低出生体重、脳炎、四肢低形成、小頭症、皮膚瘢痕など)という重症な病気を持っている場合があります。

妊娠後期では、子宮の増大による呼吸機能の低下の影響もあって、水痘肺炎が重症化しやすいともいわれており、水ぼうそうには注意が必要です。

水ぼうそうは、感染力が強いウイルスで、空気感染することから、感染者と同じ部屋にいるだけでも、水ぼうそうに感染することもあります。

特に妊娠を希望されている方は、妊娠をすると予防接種を受けることができないことから、妊娠前にワクチン接種を検討して下さい。

▽感染経路

・空気感染

・飛沫感染

・接触感染

・母子感染

発疹が身体に出現する1~2日前から、のどなどから水ぼうそうのウイルスが外に出る様になって、他人への感染力を持つようになります。

▽診断基準

症状と臨床経過で医師が水ぼうそうの臨床診断をします。

水ぼうそうを検査で診断することは、臨床診断的に必要であることはほとんどないです。

確定診断として、現在多く用いられているのがデルマクイックという、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キットで、皮疹の内容物があれば、10分で結果が分かります。

それ以外の検査には、唾液や水疱ぬぐい液等のPCR検査を用いてウイルスDNAを検出する方法や、急性期と回復期の水痘IgG抗体の有意な上昇(ペア血清)といった血清学的検査、蛍光抗体法による病変部検体からのウイルスの培養やウイルス抗原といった検査方法があります。

▽治療法

発熱、頭痛、かゆみなどへの、それぞれの症状を和らげる対症療法を施します。

殺菌効果やかゆみ止めの軟膏などを1週間程度使うことが一般的な治療法です。

水ぼうそうは自然と治癒していくことの多い感染症ですが、症状が酷い場合には抗ウイルス薬や解熱剤の内服、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤を使います。

水ぼうそうで肌のバリア機能が落ちている状態なことから、他の細菌やウイルスへの感染にも注意をしつつ、水ぼうそうの肌のかゆみを軽減して細菌の二次感染を予防することを目的とした軟膏(カチリなど)で治療を施します。

具体例を挙げると、発症48時間以内にバラシクロビルやアシクロビルなどの内服または静注を施します。

水ぼうそうの患者さんが一部の解熱剤(アスピリン)を服用することで、ライ症候群(脳障害などを発症する病気)が発症する可能性があると報告されています。解熱剤を使用する際には、必ず医師の診断を受けてから処方して貰い、使いましょう。

▽予防策

水ぼうそうを防ぐためには、ワクチンの接種が必要となります。

日本では、2014年10月1日から水ぼうそうを予防するための「水痘ワクチン」が定期接種の対象になって、全員が受けるべきワクチンとして定義されています。

この水痘ワクチンは、病原性を弱めた水痘・帯状疱疹ウイルスを使用した生ワクチンで、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」という製品が使用されています。

生後12ヵ月から15ヵ月の間に、1回目のワクチン接種をして下さい。その後、3ヵ月以上経ってから2回目のワクチン接種をします。2歳になるまでに2回のワクチン接種を終えることが望ましいと言えます。

水痘ワクチンを接種することで、水ぼうそうに感染しにくくなったり、感染した時に重症化しにくくなったりというメリットもあります。

1歳から水痘ワクチンを打てますが、対象年齢以外は任意接種なので、自己負担となります。

▽ワクチン

画像・引用:水ぼうそう(水痘) こども感染症ナビ

水ぼうそうの水痘ワクチンの免疫獲得率は高く、ワクチン接種を1回受け終わると80~85%の確率で水ぼうそうの発症と重症化を予防が可能で、2回接種まで終了すると軽症の水ぼうそうも含めほぼ100%発症が予防可能だと言われています。

水痘ワクチンが定期接種化されて以降、水ぼうそうを感染する子ども達が激減しました。

5歳未満の患者の報告数が顕著に減少し、水ぼうそうに感染した子ども達の中で5歳未満の子どもの割合は2000年〜2011年が77%だったことに比較し、2020年は34%まで減少しました。その反面水ぼうそうの感染者は、5-9歳の子ども達が半数を占める様になってきました。 

これまでに水ぼうそうに感染したことがある人は、原則ワクチンを打つ必要はありません。今まで水ぼうそうに感染していなくて、ワクチンを未接種または1回しか接種していない人は、任意接種となって、自費になります。

▽ワクチンの副反応

過敏症:ワクチン接種直後から翌日に発疹、発熱、紅斑、じんましん、そう痒等が出現する場合があります。

局所症状:発赤、しこり、腫れ等が出現する場合があります。

全身症状:発疹、発熱が見受けられる場合があります。全身症状は一過性で一般的に、数日中に消失すると言われています。

稀に報告される重い副反応では、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、じんましん、喉頭浮腫、口唇浮腫など)、急性血小板減少性紫斑病(接種後数日から3週ごろに鼻出血、紫斑、口腔粘膜出血など)等があります。

▽ワクチンを接種できない人

・明らかにワクチンを接種前体温37.5℃以上発熱している方

・ワクチン成分によってアナフィラキシーを引き起こしたことが明らかな方

・重い急性疾患に罹患していることが明らかな方

・免疫機能が低下している方

・妊婦やワクチン接種から1~3ヵ月以内に妊娠を希望している女性

・定期的にアスピリンを飲んでいる子ども

・心臓病、肝臓病、腎臓病、血液の病気、発育障害など基礎疾患をお持ちの方

・ワクチン接種の直前に体調が優れない方

・過去にけいれん(ひきつけ)を引き起こしたことがある方

・過去に免疫不全の診断を受けた方、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方

・ワクチン成分によってアレルギーを引き起こす可能性がある方

・予防接種を受けてから2日以内に発熱した方や全身性発疹等のアレルギーを疑う症状が出た方

・上記に掲げる者以外でも、予防接種を受けることが不適当な状態であると医師が判断した方

▽登園・登校の目安

水ぼうそうは、学校において予防することが前提の感染症第二種に規定されていて、全身に出現した発疹の全てが痂皮化(かさぶた化)するまで出席停止扱いとされています。

感染症では、五類感染症(定点把握対象)に定義され、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。そして、入院例に関しては五類感染症(全数把握対象)に定義されていて、水ぼうそうを診断した医師は、7日以内に最寄りの保健所へ届け出ることが義務付けられています。

▽注意点

発疹を引っかいた傷が化膿してとびひ(伝染性膿痂疹)になったり、痕が残る時があります。子どもはかゆみで肌を引っかいてしまいますので、爪を短くしたり手袋を使うといった工夫をしましょう。

また、かゆみを抑える軟膏など治療薬もありますので、医師に処方して欲しいとご相談下さい。スマートフォンやタオル、ドアノブなど、ウイルスが付着した手で接触感染してしまう場合があることから、手はよく流水で洗い流し清潔を保って下さい。

全身に発疹が出現している状態が何日も続くことから、お風呂はその間どうしたらいいか気になると思いますが、お風呂に入るのは身体が温まってかゆみが増大しやすく、またお風呂の水から水ぼうそうのウイルスに感染する恐れもあることから、推奨できません。

石けんを使い軽く洗い流し、清潔さを維持することが大事となりますが、熱いお風呂に入ったり、長く入るとかゆみが強くなるため避けて下さい。

この場合シャワーが無難だと言えますが、どうしてもお風呂に入りたい時には最後に風呂に入り、ぬるめのお湯に短時間入る程度に留めましょう。タオルで身体を拭く時は、ポンポンと当てる様にして水気を吸い取り、決してこすらない様にしましょう。

また、ご家族の中に水ぼうそうに感染したことのない人がいる時は、お風呂で感染する可能性もあるので、タオルの共有を避け、別々に入浴することなどの注意が必要です。

食事制限はありませんが、口の中に水ぼうそうの水ぶくれが出現している時には、痛みが出るので、すっぱいもの、辛いものなどを避け、口当たりの良いものを食べる様に心がけましょう。

▽再診の目安

  1. 元気がない場合。
  2. 発疹が赤く腫れて化膿している場合。
  3. 4日以上熱が続く場合。

※発疹が水疱に変わり、全部かさぶたになるまでのおよそ1週間は、外出を控えましょう。

参考サイト

水ぼうそう(水痘)について こどもとおとなのワクチンサイト(2023年)

水ぼうそうとは?症状や感染予防について解説  クリニックプラス

水痘(水ぼうそう) 山本医院

水痘(水ぼうそう) 大森前駅前 内科小児科クリニック

水痘(水ぼうそう) 青梅市(2023年)

水ぼうそう 湯川医院

水ぼうそう(水痘) 巣鴨千石皮ふ科

水ぼうそうは、

私はかかっていませんが、母がよく覚えていない位、小さい頃にかかったそうです。熱と身体にブツブツした発疹ができて、治りかけは発疹がかゆくて、かいていたそうです。

顔にも発疹ができて、気になって触っていると、祖母から「痕が残るよ」と言われたそうですが、少し触って、今でも少し発疹の痕が顔に残っているそうです。

その後治癒をしましたが、母には帯状疱疹というリスクがあります。

母が昔働いていた時の職場の上司が、帯状疱疹にかかり、大変な目に遭ったと聞いていたらしく、日頃は飄々としていますが、内心は嫌だな、怖いなと思っているそうです。

2023年、入院する前に母は、通院する病院で、帯状疱疹ワクチンの案内の冊子を貰って来ていました。

私は水ぼうそうのワクチンを打っているのでかかる可能性は低いですが、母は終生免疫とはいえ、帯状疱疹になるリスクは大いにあり、常にストレスを感じているので、帯状疱疹は発症すると、凄く大変なのは、以前記事を書いて知っていますし、母が入院から帰って来たら、ワクチンを打たせる様に、家族でサポートをすることも大事だなと思っています。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。