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こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事を書いている時、令和6年能登半島地震から、3週間が過ぎました。
能登地方は雨や雪が降って、日差しが少なく、避難所のドアや窓から冷たい風が入って来て、寒いとニュースで、高齢の男性がインタビューに答えていました。
今被災地で積極的に行われているのが、キッチンカーなどの炊き出しです。
まだ個人でのボランティアの募集はなく、団体で炊き出しなどをする場合は認められるということで、飲食店などの関係者が団体で炊き出しのボランティアをしています。
少しずつ温かい食べ物が食べられる様になった被災地。
それでも心配なのが、栄養バランスの偏りです。どうしても非常食が多く、平常時の様な、野菜などバランスの良い食事を摂れるわけではありません。
そんな時にどうしたら良いのでしょうか?
今回は災害と非常食などでの栄養バランスの維持の仕方について紹介します。
災害発生時に栄養バランスに気を配るには?
支援物資が少しずつ行き渡りつつある中でキーワードは「食」です。
バランスの良い食事が困難で栄養不足になったり、逆に摂取し過ぎてしまったりすることで体調悪化に直結する場合もあります。栄養バランスの偏りから災害関連死を防止するために何が重要なのか、日本栄養士会の専務理事である下浦佳之さんに尋ねました。
下浦さんは、避難生活が長期化する中で危惧されることは栄養バランスの偏りだということです。
避難所などでは、手にできる食料が限定され、肉や野菜、魚、果物などを摂取する機会が減少することで、たんぱく質やビタミン、食物繊維などの栄養を摂取するきっかけも減少します。そのことで免疫が低下し、感染症を罹患しやすくなったり、風邪を引いたりする恐れが高くなると主張します。
反対、栄養を摂り過ぎてしまうことにも注意が必要となります。
例を挙げると高血圧の人がカップラーメンなどを食べて塩分を摂取し過ぎることで、持病を悪化させるリスクがあります。
避難生活で気を付けたい栄養のバランス
・野菜ジュースなどで補って栄養バランスを考える
・レトルト食品にもたんぱく質を補給
・カップラーメンをスープの素を入れるのを少し減らして塩分カット
・甘い菓子パンなどの摂り過ぎにも要注意
主菜は、災害が発生した直後は炭水化物を多く摂りがちで、栄養バランスを考えて食べないと、病気や体調不良の素因にも至ります。不足しがちなたんぱく質を摂取するために、主菜として、肉類や魚介類の缶詰がお手軽ですし、缶詰は長期保存もできます。
それ以外にもカレーや丼、パスタソースなどのフリーズドライソース類・レトルト食品、かつお節、充填豆腐、煮干し、桜エビなどの乾物も主菜として応用できます。
専門家「かつお節は70%以上がたんぱく質、それ以外にも旨み成分でできています。そのまま食べても多くの栄養を摂れる優れものです。また、高野豆腐も50%は脂質、たんぱく質が30%で、さらにミネラルやビタミンも豊富に含まれているので推奨します」
災害発生時には、野菜不足からビタミン、食物繊維、ミネラルなどの栄養素が不足しがちとなって、口内炎や便秘を罹患しやすくなります。
そのことで副菜として、日持ちのする野菜を多めに買い置きしつつ、野菜ジュースや乾物、ドライフルーツ、即席スープやインスタントみそ汁などもあると良いです。
専門家「切り干し大根は、災害発生時に心強い栄養源となります。生の大根はほぼ水分ですが、切って干すだけでミネラルと糖分がぐんと増えます。
その上に、梅干しなどの漬物も常備しておくと良く、梅干しの強い酸味はクエン酸をメーンとした有機酸で、整腸作用や殺菌作用、食欲増進に期待が持てます。漬物は保存食として有名ですが、食物繊維もたくさん摂取できることから、災害発生時でも生活習慣病を防ぐことにも役立ちます」
主食には、パックご飯や餅、麺類など炭水化物が豊富なエネルギー源となる食べ物があると良いと言います。
専門家「電気や水道が止まって、ご飯が炊けない時は、パックご飯などを用意しておく他にも、焼き米にして食べるやり方もあります。また、干し芋をストックしておくのも推奨します。餅やご飯がない場合でも、芋があれば炭水化物を摂取できます」
ビタミンやミネラルを手軽に補える果物もあると良いです。ドライフルーツは市販されているものもありますが、手作りすることもできます。
専門家「あんずやレーズン、林檎などを乾燥させておくと保存可能です。特にレーズンは濃密な糖質、カルシウム、カリウム、食物繊維、ポリフェノールなども豊富です」
それ以外にも、ナッツ類などのお菓子や塩、味噌などの手軽に使える調味料も手軽に栄養補給できます。特にようかんは「保存が効く上にミネラルやたんぱく質が豊富なので、非常に優れた非常食にもなります」といいます。
参考サイト
災害時でもしっかり栄養補給できる非常食とは? ウェザーニュース(2022年)
【解説動画】長引く避難生活 “栄養”に注意して食事を NHK NEWS WEB(2024年)
慣れない環境によってストレスを感じることで食が進まない時にも、工夫できる余地があるといいます。特に高齢者や小さいお子さんは、避難所などにいつも食べているような食品が届けられていれば、慣れたものを食べることが安心感を抱けます。
下浦さんによりますと、能登半島北部の珠洲市や輪島市を中心に依然として避難所などの巡回が十分に行えず、栄養価の高い食料が行き届いていない現状があります。
食料が限定される中でも、
①水分をこまめに摂取すること
②食事は可能な限りバランス良く食べること
③何か困った時には手を挙げて周囲に伝え、声を上げて助けを求めること
も必要だといいます。
下浦さんは「特に高齢者は我慢する人が多いことから、重篤になる前に周りのボランティアや支援者などに自分が困っているときちん声を上げることが重要です」と説明しました。
その他、できる栄養バランスの保ち方では、限定された食料の中で行える工夫として、下浦さんが提案することが「組み合わせ」を考えることです。
例を挙げるとカップラーメンに水煮のコーン缶を加えたり、わかめを入れたりする、レトルト食品のカレーにサバのみそ煮缶を加えるなど、できるだけ色んな種類を組み合わせることで栄養バランスを図ることができます。
バランスの良い食事がどんなものか想像しにくい時は信号機を意識するのが良いと言います。『赤、黄、緑』の色を意識しながら、食事の中に多種多様の色を取り入れていくことが重要になります。
カップラーメンの汁を残すということは、以前書きました、高血圧の人が症状を悪化させないためにして欲しいことでも挙げられました。
炊き出しが増えても、バランスの良い食事というものは、まだまだ難しいかもしれません。それでもこの災害を乗り越えるために、もし栄養バランスに気を付けられる様になれば、この記事で書いた様なことを実践して頂きたいです。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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