ペインクリニックでの医療と今後の課題

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こんにちは、改めましてM. Jです。

この記事をご覧の皆さんは、「痛みを中心に診ていく医療」についてご存じですか?

従来、病院などの医療機関では、痛みの治療の方法として「臓器別・部位別」に治療されることや、「痛みの原因を取り除くこと」が中心になることがほとんどでした。

また医療機関では、軽度な外傷など「完全に治る病気」に対して治療していくことが主流でした。

その一方で、「神経痛」「慢性的な(=ずっと続くような)痛み」「ストレスなど精神的なものが原因の痛み」に対しての医療は、あまりなされていなかったようです。

冬になると「痛み」が強くなって、日常生活に支障を来たすかたも多くなります。

「神経痛」「慢性的に痛みの強い方」などによって、従来の医療では対応できない人たちも多くなってきています。また、「精神的なものが原因の痛み」「幻肢痛(=主に、脚を切断した後の痛み)」「骨折の後の金属による痛み」などの人たちも多くなりました。

これらの痛みは、素人が右往左往してもどうしようもない部分が多く、医療機関で「痛みに対する治療」を行うことが大事です。

そこで、最近になって「ペインクリニック」という診療科が創設されました。

しかし、まだまだ十分に認知されているとは言えず、治療方法はあるものの「QOL(生活の質)の向上」という部分では、「課題」があることも事実です。

今回は、そんなペインクリニックについて「治療内容」と「課題」について以下の項目に沿って書きます。

  •   ペインクリニックなどの医療
  • 「心因性疼痛」に対する「精神面の治療」
  • 「カウンセリング」の効果 
  •   痛みによるストレスに対してのセルフケア《1》
  •   痛みによるストレスに対してのセルフケア《2》
  •   今後の課題
  •   痛みとさようなら!充実した生活へ! 

ペインクリニックなどの医療

ペインクリニックは「痛みの診療所」と言われています。

実際、どのような医療を行なっているのでしょうか?

ペインクリニックとは

患者の「痛み」を中心に診断・治療していく医療機関

  • 心臓・肺・腰など「臓器別」や「部位別」に診るわけではない。
  • 痛みが長く続いた時に対応する医療機関。
  • 身体的・精神的・社会的な要因に対して治療を行う。
  • 主に「神経ブロック」を用いて痛みの治療を行う。

《交感神経の緊張を和らげる・リラクゼーションを行う》

神経ブロックとは

注射器などを用いて局所麻酔薬で痛みをとる治療法

  • 痛みのある部位や痛みの原因となっている神経に注射をうつ。
  • 注射は手術の局所麻酔に使用されているものと同様で、非常に安全な薬を使用する。

神経ブロックの作用の仕組み

《1》感覚神経・運動神経・交感神経を遮断する
     ↓
《2》筋肉や組織の血流が改善する
     ↓
《3》老廃物や発痛物質が排出される
     ↓
《4》痛みが消失する

対象となる病気】→詳しくは文献に記載しています。

股関節痛 ●膝関節痛 ●頭痛 ●三叉神経痛 
●坐骨神経痛 ●肩関節周囲炎 ●線維筋痛症 など

神経ブロックの種類】→詳しくは文献に記載しています。

星状神経節ブロック

  • 首にある交感神経の集まった部位に局所麻酔薬を注入する。

硬膜外ブロック

  • 背中の痛み・腰痛・両脚の痛みに適応している。
  • 長い針を脊柱管に入れて局所麻酔薬やステロイド薬を注入する。

腕神経叢ブロック

  • 鎖骨の上部(首・肩・腕の神経が集まっている部位)に局所麻酔薬を注入する。

トリガーポイント注射

  • トリガーポイント(痛みが集中する部位)に局所麻酔薬とステロイド薬を注入する。

神経根ブロックルートブロック)

  • 頚椎や腰椎の病気で痛みが残る場合に適応している。 
  • X線透視下にて直接麻酔薬を注入する。

その他の神経ブロック

⚫︎三叉神経 ⚫︎後頭神経 ⚫︎肩甲上神経 ⚫︎椎間関節 ⚫︎腰部交感神経

以下の文献には、神経ブロックの種類について詳しく記載されています。
ご覧いただけると有り難いです。

参考:三軒茶屋ペインクリニック:神経ブロック

以下の文献は、主にペインクリニックで用いられている痛みの評価法です。
ご覧いただけると有り難いです。

参考:リハビリくんブログ:【痛みの評価スケール】VAS・NRS

ペインクリニックの主な治療の方法として「局所麻酔」による注射が用いられることが多いようです。神経痛などの「神経障害性疼痛」に対して効果が見られます。

痛みのある部位によって、さまざまな神経ブロックが実施されているようです。

「星状神経節ブロック」や「硬膜外ブロック」といった治療を希望される場合は、医療機関への受診が必要になります。

しかし、これらの神経ブロックによっても改善することが難しい「痛み」があります。

それは「心因性疼痛」といった精神的なものが原因となっている「痛み」です。

これらの痛みに対して、現状の「ペインクリニック」では対応できていないケースが比較的多いです。これらについては、カウンセリングなど「精神面の治療」が必要になります。

次の項では、「心因性疼痛」に対する「精神面の治療」について書きます。

「心因性疼痛」に対する「精神面の治療」

痛みは「身体の活動」に悪い影響を与えますが、「精神状態」にも悪い影響を与えます。

「ペインクリニック」の定義では、「身体的・精神的・社会的な要因に対して治療を行う」とされていますが、実際に「精神面の治療」がなされているペインクリニックは少ないです。

ここからはどんな「精神面の治療」が行われるのかについて、お伝えしていきます。

カウンセリングとは

心理的な問題を抱える「相談者」に対して、心理学の専門知識をもつ「カウンセラー」が行う心理相談です。相談者の心の中を掘り起こしたり、相談を通して問題解決の糸口を見つけていくことが目的です。

カウンセリングの種類

《1》来談者中心療法

相談者の悩みにカウンセラーが傾聴し、相談者の存在をしっかりと受け止める。

カウンセラーの役割

相談者に対して肯定的な関心を持つ。

相談者の話に対して共感する。

相談者の感情を要約して伝える。

《2》認知行動療法

相談者の認知のゆがみを修正し、相談者の考えをより良い捉え方に導く。

カウンセラーの役割

相談者の問題解決を小さなところから行う。

小さな問題→大きな問題へとステップを踏む

《3》精神分析

相談者が自分の頭に思い浮かんだことを伝える。

カウンセラーの役割

◆自我の種類:エス(本能)・エゴ(自我)・スーパーエゴ(超自我)

→相談者はスーパーエゴとエゴでエス(本能)を抑えている。

相談者の抑圧されたエス(本能)を引き出す。

《4》家族療法

相談者の悩みを家族全体の課題としてアプローチしていく。

カウンセラーの役割

家族の対応の変化を求める。

本人の精神状態を悪化させない対応を求める。

長く続く痛みやストレスなどの精神的な痛みに対しての医療は、まだまだ不十分であると言えます。

その理由として、ペインクリニックに「心理の専門家」が不足していることです!

「公認心理士(国家資格)・臨床心理士(民間資格)」などの専門家による医療が明らかに不足しています!

原因となるものを除去すれば良い「痛み」だけではないので、痛みを軽減して「充実した生活」を送るためにも「精神的なフォロー」は必要不可欠です。

カウンセラーが行う「対話」などのアプローチは「心理学的な知識を用いた方法」で行われるので、痛みのある方にとっては「癒し」の要素があります。

その結果「痛みが軽減する」こともあると思われます。

そんなカウンセリングの効果には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

次の項では、「カウンセリング」の効果について書きます。

「カウンセリング」の効果

【カウンセリングの効果】

話すことで安心感を得ることができる

⚫︎相談者が1人で抱えきれなかった感情を解放する。

⚫︎カウンセラーが受容的な姿勢で相談者を受け入れることで相談者は精神状態が良くなる。

話すことで相談者が自分の考え方を把握することができる

⚫︎現在置かれている状態の良い部分を発見し、前向きな思考を見つけることができる

相談者が問題を客観視できる

⚫︎相談者が現在の自分自身の状況を認識し、混乱を解消することができる

⚫︎相談者が心の中を整理することができる。(=気持ちの落ち着き)

相談者がストレスとつき合えるようになる

⚫︎相談者が自分の抱えているストレスを分析できる

⚫︎カウンセラーと一緒に解釈の方法を考えたり、問題を解決したりすることができる

相談者が前に進むようになれる

 

以下の文献は、痛みに対して精神療法を実施している医療機関です。

お探しの方は、ご覧いただけると有り難いです。

参考:慢性の痛み情報センター:病院のご紹介

   汐田総合病院:痛みと心の不思議な関係

カウンセリングを実践することによる効果はものすごく大きいです。

特に、慢性痛のあるかたにとって上記①〜③のことはかなり重視されます。

痛みが続くと「QOL(生活の質)の低下」「精神状態の悪化」につながります。

痛みのあるかたが「前に進む行動」を取るためには、自分のつらい部分を「受け入れてもらう」ことが必要不可欠です。よって、「人に話を聴いてもらうこと」や「自分の状況を人に受け入れられる」ということはものすごく大事なことです。

少しでも多く「痛みのあるかたに対するカウンセリング」が実践されることを願っています。

長く続く痛みに対して「ペインクリニックでの精神療法」は有効ですが、現状では難しい部分も多いです。そこで、痛みに対して「自分で行うストレス解消」が重要となってきます。

行動・思考・言葉の部分で深く掘り下げていこうと思います。

次の項では、痛みによるストレスに対してのセルフケアについて書きます。

痛みによるストレスに対してのセルフケア《1》

自分で行うストレス解消:行動

腹式呼吸を繰り返す

呼吸は「吐くこと」が基本!吐くことから。

《「いーち、にー、さーん」とゆっくりお腹をへこませるように息を吐く

《「いーち、にー、さーん」とゆっくりお腹を膨らませるように息を吸う

リラックス状態をつくる

「オンとオフの切り替え」を促進する。

《気持ちが「休まる状態」、オフの状態を意識的につくる

《自分が「こころを開ける状態」をつくる》

自分のペースで過ごせる時間をつくる

自分が日頃できている「当たり前のこと」に感謝する。

自分が「できたこと」などプラスのことを振り返る。

息抜きの時間をつくる》

自然に触れる

公園など自然豊かなところに行く。

《できれば「森」「滝」「山」「海岸」で自然観察をする

《少なくとも月1回は自然に触れる

こころに響く映像や本をみる

「感動すること」はものすごく大事!

こころを動かされるような物を観ること!》

音楽を聴く・歌をうたう

音楽を聴くことで「こころと身体」が快適になる。

アップテンポの音楽:エネルギーや活力を与える》

スローテンポの音楽:不安や緊張を和らげる》

感情を引き出せる精神状態が改善する》

自分で行うストレス解消の行動ですが、上記①〜⑥のいずれも大事です。ストレス解消の方法は「さまざまな方法を持つ」ことが大事で、選択することができるということが大事です。

「腹式呼吸」や「息抜き」は、どこでもできるストレス解消の方法と言えます。

これらに加えて「感動すること」や「音楽を聴くこと」などを実践すると「痛みによるストレス」は解消されると思いますので、積極的に実践していただきたいです。

痛みに対してストレス解消の行動は大事ですが、それより「もっと大事なこと」があります。「ストレスを溜めない思考と言葉」です。

ストレスに対してしっかり対応するためには「自分の考え方」「自己暗示」「自分が発している言葉」などに気をつけることも必要です。

具体的にどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか?

次の項では、痛みによるストレスに対してのケア:②について書きます。

痛みによるストレスに対してのセルフケア《2》

【自分で行うストレス解消:思考・言葉】

《1》ポジティブ思考で考える・行動する

物事をポジティブ(=良い方向に)考える。

肯定的な表現を言葉にする。

《2》今の状況の良い部分を考える

自分自身の存在を認めること。

マイナスの思いに対して反対の考えを持つ。

楽観的な考え方を信念とする》

《3》生かされていることに感謝する

「ありがとうございます!」は大事!

《感謝は気持ちだけでなく「言葉」にして出すこと!

《4》セルフトーク→こころの中で言葉を唱える

ポジティブ(=前向き)な言葉を出すこと!

《セルフトークで自己暗示効果が出現する》

ネガティブな言葉は禁止!

《5》思っていることをノートに書き出す

頭の中で考えるよりも実際に書くこと!

書くことで悩みと距離が取れる。→客観的視点

良い部分が見えてくる

自分の思いを書き留めることで気持ちの整理ができる》

モヤモヤしているものが消える》

《6》自分の「できている部分」に目を向ける

目標は「実行しやすい・達成しやすい」ものにする。

成功体験を得ることが大事→小さなことでも良い!

《最初の目標を達成できたら「自分をほめる」こと!》

ストレスを溜めないようにするには「思考と言葉」が大事です。上記にあるような「ポジティブな考え方」「楽観的な考え方」は必要不可欠といっても過言ではありません!

痛みがあるとどうしても「ネガティブ」「悲観的」になってしまうので、思考を「修正すること」が必要となります。起こった出来事を「良い方向に考える」ように修正することができれば、ストレスは解消されると思います!

また、生かされていることや今できていることに対して「感謝すること」ができれば、充実した生活を送ることができると思います!

最終的に「自分のできている部分」「良い部分」に目を向けることが出来れば、「QOL(=生活の質)の向上」が図れると思います!

今後の課題

今後課題になるとすれば、こういった認知行動療法などのカウンセリングが、現在ペインクリニックにおける診療報酬に含まれていないということです。
医療はあくまで診療報酬に基づいて行なっているので、現状だと併設している心療内科等に別に患者さんが行って治療を受ける必要があります。

これではせっかくの効果的な心理的ケアも、実施しても診療報酬にならなければクリニック側も人を雇うのが難しいですし、ケアが必要な人に十分届かないという問題があります。

現在ペインクリニック学会では、2024(令和6)年度診療報酬改定に向けて、「認知療法・認知行動療法を診療報酬に含むこと」などについて、要望書を提出しているそうです。

この点が今後改善されることを、私を含め多くの方が望んでいると思います。

診療報酬に関する内容は、以下の文献を参考にしました。興味のある方はご覧ください。

参考:健康保険検討委員会について

痛みとさようなら!充実した生活!

以上、ペインクリニックでの医療と今後の課題でした。

冬の時期に出現するまたは強くなる「痛み」は、ものすごく「厄介」です。

特に、慢性的な痛みに対して、十分な医療がなされているとはいえない状況です。

今回、痛みに対しての医療の課題を挙げていきました。原因を取り除けば完治する痛みばかりであればいいのですが、中には「神経痛」や「精神的なものが原因の痛み」など、長い付き合いが必要な「痛み」もあります。

よって、カウンセリングのような心理療法を用いることで「充実した生活」ができる人が多くなることを願っています!そのためにも、ペインクリニックに1人でも多く「心理の専門家」が従事させることができるように法改正が進むことを願っています。

また、これに加えて「セルフケア」が重要となってきます。

セルフケアは「痛みのあるかた」に対してだけではなく「精神の病気のあるかた」に対しても効果があると思います!

痛みとさようならして「充実した生活」を送っていきましょう!

記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!

 

今回の記事は、以下の文献を参考にしました。

参考:三鷹痛みのクリニック:ペインクリニックとは?

   日本ペインクリニック学会:神経ブロックとは   

   デイクリニック天神:ペインクリニック(慢性の痛み)

   メディカルフロンティア:ペインクリニック:適応疾患・治療法

   KIMOCHIーCAREネット:カウンセリングとは?内容・効果・料金

   大阪メンタルクリニック梅田院:カウンセリングについて

   PCAクラウド:カウンセリングの効果と高める方法

   厚生労働省:こころもメンテしよう

   ラフールサーベイ:メンタルトレーニング9選

   エディテージ:7種類のセルフケア実践法 

今後について

興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、天は知っている:日大アメフト部の事件に学ぶ、感染症への対応:基本的な感染対策と保健所の役割、意外とこわいレジオネラ症-症状と治療、予防法や保健所への届け出についてがあります。

皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!

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2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。個人の痛みには強い、弱いなどがあります。痛みから解放されたり、痛みが和らいで動きやすくなることはいいことです。こうしたクリニックが近くにあるなら行ってみたいと思っています
    。次の記事を楽しみにしています。

    • にわとり様、コメントどうもありがとうございます。申し訳ないです、返信が遅くなりました。ペインクリニックの件ですが、少しはあります。徐々に増えてきている状況です。しかし、長く続く痛みを抱えている方の数からするとまだまだ足りていません。また、治療法も多いとはいえない状況です。もう少し増えていくことを願っています。素敵なコメント、ありがとうございます。

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