「聞き取り困難症(LiD/APD)」のマークについて -マークを使って、認知度を広げよう-

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こんにちは、金次郎です。

 前回、ご紹介しました「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)「LiD / APD」
 実は、記事が公開される前の12月11日(月)に、NHK(E-テレビジョン)の「ハートネットTV」と言う福祉情報番組で、この症状について放送されました。

参考:(NHK)「聞こえているのに、聞き取れない~LiD/APDと生きる~」          

 12月4日(月)の新聞および民放でのニュースと合わせて2週連続で、この症状の事がマスコミに取り上げられました。

 前回の「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APD」の記事で、この様な方の行動をサポートする「APDマーク」が有ると書きましたが、今回はこのマークについて詳しくご紹介いたします

もう一度「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APD」とは?

 会話は「聞こえている」のに、「聞き取れない」もしくは「聞き間違いが多い」など、音声を言葉として聞き取るのが困難な症状を言います。
 症状としては、以下の様なものが有ります。

騒音の中で、特に言葉が聞き取りにくい。
複数の人との会話だと、誰が何を話しているのか分かりにくい。
電話の声が聞き取りにくい。
・耳で聞いたことを覚えるのが苦手

 特に、この症状の方が困っているのが、以下の3点です。

1・聴覚検査では異常無し
「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APDは、一般的な聴覚検査では異常が見られません。
健康診断や病院で検査を受けても、異常がないために相談にものってもらえない事がほとんどです。
症状の原因が「耳ではなく、脳の障害ではないかな?」とも言われてるからです。

2・症状の認知度が低い
「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APDは、社会での認知がまだ十分とは言えません。
耳鼻科のお医者様ですら、知らない医師の方が多いくらいの新しい症状です。
そのため、聞き取れないことを自覚し耳鼻科の病院へ行っても、「気のせい」とか「異常有りません」と言われてしまう事が多いです。
なので、一般の人はもちろんこの症状について知らず、理解されにくい状況です。   

3・原因や治療方法が、未だ研究段階
「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APDは、新しい症状ですので、治療法が未だはっきり分かっていません。上で書いた様に「耳ではなく脳の障害」とも言われていますので、原因は人それぞれ違うとされています。
LiD/APDは「現時点で治療できないからこそ、上手に付き合うことが大切」な耳の症状です 

「LiD/APD」マークの使い方と、その方との接し方

 この「LiD/APD」になってしまった方々を少しでも助けるべく、北海道のデザインを学んでいる学生が卒業研究で「LiD/APD」マークを制作してくれました。
 色は「パステルカラー」と「ビビットカラー」の2種類有りまして、マークに使われている言葉も

   ひらがな        漢字混じり       ・英語 

と、3種類あります。 

このマークの、缶バッジタイプは服の胸元に着けたり出来ますし、ステッカータイプならノートや下敷き、スマートフォン等に貼り付けてアピールする事が出来ます。
 このマークを着けた方から話しかけられたら、以下の様な配慮をして下さい。

・静かな場所で話す
  LiD/APDの方は、話し声と騒音の聞き分けが苦手です。
  静かな場所で話すことで、聞き取りやすくなります。

・口元が見えるように話す
   LiD/APDの方は、聞き取りにくさをカバーするため、口の動きを見て言葉を予測する人が
  多いです。
  なので、なるべく口元が見える位置で話してみてください

・1対1で話す
  LiD/APDの方は、複数人での会話について行くことが苦手です。
  できるだけ1対1で話すと、理解しやすくなり、正確に内容を理解できます。

・文字で伝える
   LiD/APDの方は、聴覚の情報に弱いぶん、視覚情報に強い方が多く見られます。
  メモ帳やスマートフォンを利用することで、正確に物事を伝えることができます。
 

その他の色々な「LiD/APD」アピールグッズ

 上で紹介した「LiD/APD」マーク以外にも、「LiD/APD」症である事をアピールする色々なグッズがあります

・「LiD/APD」マークのキーホルダー 
・Tシャツ
・トートバッグ
・ショルダーバッグ

参考:(APDマーク)グッズ販売

 これらのグッズの販売は、作ることが苦手な方や、サービスの利用方法が分からない方のために、販売しています。印刷環境のある方はグッズを自作できますし、プリントサービスを利用してノベルティを作ることもできます。
 「LiD/APD」マークは、個人・商用問わず誰でも自由に利用することができます。
 ただし、利用規約を一読してから制作して下さい。

参考:(APDマーク)利用規約

終わりに 

 「ハートネットTV」の放送前週に、新聞とテレビの情報番組で、この症状の記事を見ていましたので、ある程度の知識を持って観ていました。

 番組では、2人の「聞き取り困難症(聴覚情報処理障害)LiD/APD」の方が紹介されていましたが、1人の方は、この症状のせいで転職を余儀なくされたそうです
 もう1人の方は、旦那さんが経営する料理店を手伝っていますが、アルバイトの方は勿論、お客様も奥さんの症状を理解しており「この料理を頼んだけど、分かったかな?」と、優しく接してくれていました。奥さんは、手首に着けているリストバンドに、注文された「料理名」を書いて忘れない様にしています。
 良く見ると、奥さんのエプロンの胸あたりに「LiD/APDマーク」の缶バッジを着けていました。
 早く、この症状の研究が進み認知度が上がる事を望みます。

参考:(APDマーク)はてなの耳のコアラくん、知っていますか?

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4 件のコメント

  • 私がこの話題について初めて知ったのは、2018年12月9日放映の NHKG『おはよう日本』でした。このとき解説していたのは、国際医療福祉大学准教授で言語聴覚士でもある小渕千絵氏で、それまでに100人ほどの患者を診察し、詳しい原因解明はされていないけれども、理解ある人いれば、本人の困り感は軽減される、周りの理解がとても大事だと述べており、アナウンサーは、厚生労働省が今後の研究の成果を踏まえて対応を検討したい、と話していました。検索したところ、2021年7月9日付記事において、<専門家で作る研究グループはこうした症状がある人がどのくらいいるか実態を把握するため、大阪と首都圏を中心におよそ5000人の子どもを対象にした初めての大規模調査を始めることにしています>という話題が掲載されているくらいで、国の対応はまだまだのようです。聴力検査では正常と判定されるけれども困難を抱えているというのは、知能検査で問題のない学習障がい者も文字の読み書きに困難を抱えたりしているし、言語障がいや緘黙等、発語に心理的な困難を抱えている人にも、周りの理解や配慮が大事だ、ということと共通していると思いました。今回の『ハートネットTV』では、当事者の描いた漫画が、その困難の社会的理解を広げるのに役立っている、という話題提供でもあるのでしょう。https://www3.nhk.or.jp/…/20210709/k10013129051000.html

    • 堀田哲一郎様。
      コメントありがとうございます。初めて大規模調査を行ったと言う事で、マスコミ各社も取り上げたのだと思います。
      今回の調査以前の色々な情報等、参考にさせて頂きます。

  • 記事を読ませていただきました。聞こえにくいとか聞き間違いなどを防ぐためのバッチや
    シールなどが、まわりの人に分かりやすくなってよかったなぁ!と思いました。外見ではまだわかりづらい症状をもった人にも、明るい話に繋がるといいですね。次の記事を楽しみにしています。

    • コメントありがとうございます。
      私も駅のアナウンス等で聞き取れなかった時、駅員さんに耳の補聴器を指さして「聞き取れなかったので、教えてください。」と言って質問しています。
      私は、ただの「難聴」ですが「このバッジを付けようかな?」とも思いました。

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