「暑さ指数」(WBGT)から考える、猛暑の中での部活で、子ども達を熱中症から守る対策とは? 

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

9月になっても、気温が下がらず、暑い毎日ですね…。

連日の酷暑で熱中症やその疑いで救急搬送される事例が日本各地で相次いでいます。

2023年の夏も体育祭当日やその体育祭の練習をしている時などに、熱中症やその疑いで救急搬送される事例も報告されています。

夏の甲子園でも大会初日に出場した選手の6人が熱中症の症状で手当てを受けました。

こうした酷暑の中でも各地の学校では部活の練習や大会などが実施されています。2023年7月には山形県米沢市で部活動を終え帰宅途中だった女子中学生が熱中症とみられる症状で救急搬送され、その後、亡くなりました。

どうしたら子ども達を熱中症から守ることができるのでしょうかー。

今回は「暑さ指数」(WBGT)から考えた、真夏の部活の在り方について考えていきます。

とある茨城県の剣道部での暑さ対策。

「そろそろ練習を止めよう!」

練習を始めてから20分経過した時のことでした。

かけ声に合わせて竹刀を素振りする部員たちに、茨城県立守谷高校女子剣道部の監督の男性が呼びかけます。

面を取った部員たちはすぐさま2リットルのペットボトルに口づけ、水分補給していました。

顔からは大粒の汗が滴り、頭に巻いた手拭いまで汗で濡れていました。

練習を止めたのは、下級生が練習する体育館内の気温が上昇したからでした。

2台の大型扇風機を使用していましたが、手元の温度計は37度を示していて、茨城県立守谷高校女子剣道部の監督の男性は気温の上昇などで練習を止めたり、練習時間を短縮したりする対策を取りました。

隣の体育館ではレギュラーの上級生たちが2023年10月に行われる国民体育大会に備え、滋賀県の高校と合同練習を行いました。

それぞれ4台ずつ大型のクーラーと扇風機を体育館には設置しています。

クーラーは「室温19度」の設定をしていますが、それでも体育館の温度計は30度をさしています。

2023年8月、北海道で開催されたインターハイで日本一を極める直前の6月末から7月にかけて、茨城県立守谷高校女子剣道部の監督の男性は「部員たちを熱中症から守る」ためとしてトータル3日間、練習を当日に中止しました。

湿度や気温、「暑さ指数」(WBGT)が上がったことに加え、部員たちが学校イベント参加での疲労などから、熱中症のハイリスクがあると判断したためでした。

茨城県立守谷高校 剣道部の監督の男性は、「県予選大会直前の期間は指導者の立場では“最後の詰め”の練習時間を確保したいと思いますが、インターハイの直前であっても練習を中止する日がありました。熱中症を予防するための判断なので、迷いはなかったです」と述べました。

一般的に、部活の取り組みや当日の中止の判断は学校現場に任されています。

熱中症から部員たちの命を守る立場として酷暑の中での部活動を行うことをどう感じているか質問すると「とても責任が重いです。正直、重圧でもあります」と語りました。

茨城県立守谷高校 剣道部の監督の男性は、「剣道は、面を付けて精一杯10分間練習すれば、喉が渇き、汗が大量に吹き出ます。とにかく部員たちの体調面や顔色を伺い、10分間練習をして、様子を観ながら、状況によっては細かく水分補給をさせています。現在は時代は変化し、練習では量よりも質を意識すべきで、部員たちの健康第一で、その先に大会の結果があると思います」と説明しました。

「暑さ指数」(WBGT)から考える熱中症対策とは?

日本スポーツ振興センターは学校の管理の元や通学中などに発生した事故に関して、児童や生徒に医療費や見舞金を給付する制度を行っています。

制度へ申請の時に獲得した情報を事故の再発防止へと結び付けるためにデータ化して総括しています。

日本スポーツ振興センターでは、2005年度から2021年度までに、亡くなったり後遺症が残ったりなどして給付金が給付された8729件に関して、発生日時や都道府県などが記されたデータを参考に詳細にまとめました。

熱中症やその疑いで亡くなった児童や生徒は2005年度から2021年度の18年の間で28人に上っていました。

28件の熱中症事故がいつ発生したかまとめた結果、

部活での熱中症発生件数

5月には1件

6月には1件

7月には10件

8月には14件

9月には2件

となっており、特に暑さが厳しい7月と8月に事故が集中していました。

その上で事故が発生した時の気象条件に関しても詳しくまとめました。

注目してみたのは、熱中症の危険度を指す「暑さ指数」(WBGT)と事故発生での因果関係です。

「暑さ指数」(WBGT)は湿度や気温、日差しの強さの影響をベースにした熱中症の危険度の指標で、環境省が全国約840地点を発表しています。

環境省が公式ホームページ上で掲載の、2010年以降の「暑さ指数」(WBGT)のデータと照合して検証してみました。

過去の事故発生の報道などから市区町村が判明したものについては最寄りの観測地点を選択し、不明なものについては県庁所在地の「暑さ指数」(WBGT)を検証に活用しました。

そうすると、確認が取れた2010年以降の死亡事故15件の中で、原則、運動は禁止と定義している「危険」(WBGT31以上)を超過していたのが2件、激しい運動の中止を要求する「厳重警戒」(WBGT28~31)を超過していたのが10件と、全体の8割を占めている結果だと分かりました。

参考:全国制覇の強豪校も悩む “夏の部活” データから見えた危険 NHK NEWS WEB(2023年)

医師で熱中症の予防が専門の国立スポーツ科学センター元センター長の男性は、「湿度が高いと熱中症で亡くなるケースは気温が30度以下でも発生し得ます。こうした実態をきちんと把握した上で湿度なども加味した『暑さ指数』(WBGT)を現場で正しく活用して頂きたいです。『暑さ指数』(WBGT)が「危険」の推移に達したら運動を中止する判断が必要となります」とし、

熱中症の予防すべく、夏の部活で可能な対策では、「なるべく暑くない時間帯、例を挙げると夕方など気温が下がった状態で運動を始めるのが1番良いのではないかと考えます。また、休憩を頻繁挟んで、水分補給や身体を冷やすことも重要な取り組みで、酷暑の日には、20分や10分に1回といった、細かく休憩を挟むことも対策では有効となります

と説明しました。

酷暑の2023年の夏の甲子園での暑さ対策の難しさ

選手たちが熱戦を繰り広げた2023年の夏の甲子園。コロナ禍の行動制限がなくなり、4年ぶりの本格開催でスタンドも応援に熱が入りました。その反面、災害級の暑さで、従来よりさらに熱中症への対策が注目を集めました。地方大会を含めて運営側は対策を行いますが、倒れる選手も少なくありませんでした。甲子園では選手30人以上が熱中症の疑いで手当てを受けました。年々深刻さを増す気温上昇に、関係者は頭を抱えています。

2023年8月23日に閉幕した夏の甲子園では、5回終了した時に10分間の休憩時間「クーリングタイム」が2023年度から初めて導入されました。選手たちはベンチ裏で、水分補給をしたり、額や首に氷囊(ひょうのう)を当てたりしました。理学療法士も同伴し、足首やストレッチ、膝の関節運動などを助言しました。試合に出場している選手たちは、サーモグラフィーで体表温度を確認し、温度が高い選手は身体冷却をメーンに、それ以外の選手はスポーツ飲料を積極的に摂る様に促しました。

都道府県の地方大会でも各高校野球連盟が独自に、対策を始めました。

千葉県では、ベンチに大型扇風機を設け、2、5、7回終了後に10分間の給水タイムを設置し、大量のスポーツ飲料を用意しました。東京都も、各チームにベンチへの扇風機の持ち込みなどを許可しました。埼玉県では5回以外に、2023年から3、7回後にも3〜5分程度の給水タイムを設置しました。

神奈川県では、開会式を暑さが落ち着いた夕方から行い、開会式後の試合を中止しました。開幕日に試合をしないのは全国的に見ても初めての試みでした。

この様な熱中症対策に関して、ある地方高野連の担当者は「昔と暑さが異なることも重々承知しています。その中でできることを一生懸命やっています」と説明しました。大会事務局によりますと、甲子園に出場した選手34人が熱中症の疑いで理学療法士の手当てを受けました。担架で運ばれた選手もいました。そして応援に来ていた観客ら241人が救護室で手当てを受けました。

夏の甲子園に出場した選手の父親は「熱中症で倒れて障害が残った場合、選手はどうなるのですか?安心して息子を任せられません。旧態依然でなく、思い切って方針転換しないと駄目な時期に差しかかっています」と言いました。

参考:夏の甲子園「熱中症」続出 クーリングタイム導入しても…酷暑の高校野球、もはや限界? 東京新聞(2023年)

部活はキツかったなぁ…

私は運動全般が苦手ですが、中学時代運動部に入っていました。入ったきっかけは、小学校の時の友達の多くが、その部活に入ったからでした。

走り込みでは、他の人より、10周以上遅れていることがいつもありました。何とか走り切ったら、他の人は私が走っている間に休憩していて、私はみんなの元に行くと、休憩終了、慌てて水分補給、みたいな。

大会に出ても、もちろん一勝もしません。別の学校との練習試合でも、勝った記憶がないので、多分ないです。

そんなにダメダメでも、3年間続けた理由がありました。それは別の記事で触れています。

今の学校生活は大変だと思います。常に熱中症のことがあるので。先日まであった夏の甲子園でも熱中症が多発して、2023年度からクーリングタイムが設けられましたが、選手が休憩する際に身体を冷やすと、足がけいれんを起こし、何人もが選手交代をする学校もありました。

今の部活は暑さ対策をベースにして活動していますが、それは運動部でも文化部でも必要なことです。

万全の暑さ対策をした夏の甲子園でさえ、様々な事態が起こったので、今後夏の気温が下がっていくことはないでしょうし、その中でも部活と、部活をする子ども達の安全の2つを、どう両立していくかが、今後の鍵ではないでしょうかー。

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<Q&A>夏の高校野球にも警鐘 専門家に聞く、スポーツ熱中症を防ぐには? 体を鍛えていても起こるの? 東京新聞(2023年)

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。