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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ALSは全身の筋肉が次第に衰える神経の国の指定難病で、根本的に改善できる治療薬は現在もありません。
そんなALSですが、パーキンソン病の薬を飲んで、症状を遅らせる治験が現在、行われていることが分かりました。
慶應大学などの研究チームは、全身の筋肉が動かなくなる難病「ALS」の患者に、パーキンソン病の薬を投与する最終段階の治験を2024年にも始めることを発表しました。少人数を対象にした初期の治験においては、ALSの進行を遅らせる効果があったと確認済みだとします。
具体的にはどれ程効果があったのか?今回はその治験データについて、お知らせしたいと思います。
ALSの患者にパーキンソン病の薬投与の治験。どれ程の効果が?
ALSに使う治療薬の候補は、パーキンソン病の治療薬として使用されている『ロピニロール』でした。研究チームは、ALSの患者の血液からiPS細胞を合成し、神経細胞に変換させました。1232種類に及ぶ様々な症状に使う既存薬を分析した結果、パーキンソン病の治療薬として使われている『ロピニロール』に効果に期待が持てることが明らかになりました。
2018年からALSの軽症患者のおよそ20人を対象にスタートさせた初期の治験では、1年間飲み続けた患者は、最初の半年は偽薬(プラセボ)、その後の半年は『ロピニロール』を飲んだ患者に比較して、進行し重症に至るまでの期間がおよそ7ヵ月半延びました。国際的なALSの症例データベースを使用し、『ロピニロール』を飲み続けていない患者176人と比較しても、1年間飲み続けた患者の方がALSの進行が遅かったとします。
さらに、患者由来のiPS細胞から合成した神経細胞の実験では、『ロピニロール』を投与すると情報をやり取りをするための神経細胞の突起の長さが平均レベルで1.2倍、『ロピニロール』の効果が特に高く得られた患者では1.6倍の値になっており、突起の長さを分析すると『ロピニロール』の効果を予測可能な範疇にもあるとされています。
慶應大学の研究チームによりますと、IPS細胞で新しい治療薬を発見する「iPS創薬」は、実現可能となれば世界初の取り組みです。
この研究チームを率いる生理学が専門の慶應大学の岡野栄之教授は「この『ロピニロール』は神経細胞の中でのコレステロールの作ることを妨げることで、ALSへの効果を発揮している可能性が証明されました。最終段階の治験に入り、国に新しいALSの治療薬として承認を目標にしたいです。世界中のALSの患者さんが使用できる様に早期の承認を掲げています」と説明しました。
参考:ALS抑制にパーキンソン病の薬投与、来年にも最終治験…慶大チーム 読売新聞(2023年)
研究チームが『ロピニロール』の成果を記載した論文が2023年6月2日、アメリカの国際的な科学誌[セル・ステムセル]に掲載されています。
ALSに詳しい東邦大学で脳神経内科が専門の教授の男性は、 「次の最終治験で効果の検証を行う必要がありますが、パーキンソン病に使用する『ロピニロール』という既存薬を応用し、安全性の確認が取れたというポイントでも大いに評価します」と述べました。
以前ALSとパーキンソン病の記事を書いた私が思う感想。
どちらも今の医療では治すことができず、症状を少しでも遅らせる方法しかないことに、酷く心を痛めました。発症すると、どんどん進行し、本人もご家族も辛いと思っています。
今回の治験は、パーキンソン病の薬がALSの進行を遅らせることができるという、素晴らしい研究となりました。
確かに別の病気で通常用いられる薬が他の病気にも効果がある、という話は以前からありますし、私も他の病気にも使われるある薬を飲んでから、理由もなく起こっていた症状が緩和されたという実体験があります。
この様に難病同士であっても、他の難病の症状を遅らせられる、そのことが再度証明された研究でした。もっと研究が進めば、ALSの進行をさらに遅らせられるのではないか?との希望も感じられた研究でした。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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