ダウン症の俳優出演、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。 

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

この記事は約 9 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

皆さんは今、ダウン症の俳優さんが出ているドラマをご存知ですか?吉田葵くんという、障害者の芸能事務所に所属している、今回がドラマ初出演の若手俳優さんです。その吉田くんが出演されているドラマが、下記の放送中のドラマになります。

映画[勝手にふるえてろ][ウェディング・ハイ]の大九明子氏が演出と脚本を務め、作家・岸田奈美氏の自伝的エッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』をドラマ化し、2023年5月14日(日)からNHK-BSプレミアムと、BS4Kにて、22:00~22:50、全10話で放送されています。俳優の河合優実さんが連続ドラマ初主演を務め、共演に吉田葵くんほか、坂井真紀さん、錦戸亮さんらが出演します。

2024年7月9日より、NHK総合総合で、毎週火曜22:00に再放送されることが、2024年3月27日に発表されました。

今回はこのドラマの概要と、ドラマ初出演に賭ける吉田くんの想いについて迫りたいと思います。

ドラマ概要

ブログにつづったエッセーがインターネットで拡散され話題となった岸田さん自身の「家族」を描いた作品は、ベンチャー企業家だった父が急逝し、母は突然車いすユーザーに。弟はダウン症、祖母にはものわすれの症状が現れ始める。岸田さんは、そんな家族をめぐる「楽しい」や「悲しい」といったひと言では説明ができない情報過多な日々の出来事をエッセーに。インターネットで発信すると瞬く間に注目を集め、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」とのタイトルで書籍化された。

引用:河合優実、錦戸亮&坂井真紀ら共演で連ドラ初主演「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」 cinemacafe.net(2023年)

ここからは吉田葵くんに密着取材した記事を紹介させて頂きます。

吉田葵くんってどんな俳優さん?

映画やドラマでは、時々障害を抱える役柄の人が登場します。

知的障害を抱える人や耳が聴こえない人、車椅子の人、目が見えない人…。従来、その大半を健常者の俳優たちが演じる風潮でした。

ですが現在において、エンタメの現場である変化が動き始めています。それは「障害を抱える人の役をその障害の当事者本人が演じる」という動きでした。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』に起用されたのは、このドラマの主人公・岸本七実の弟、草太役を演じている、16歳の吉田葵くんという若手俳優さんです。オーディションで選出され、本格的なテレビドラマ出演は今回が初めての出演でした。

ダウン症の俳優をドラマのメーンキャストに起用したのか?、ドラマの演出と脚本を担当する、大九明子氏がこう答えました。

大九氏「原作のエッセイにそれぞれの登場人物として実在する人たちがいて、その登場人物の一人として主人公の弟がダウン症であることがキーマンになっているので、ここはまず絶対に外したくないと。それを実現する時に、ダウン症の当事者である人がその役を演じるか、健常者が演じるかということは迷いが起こらず、即決で当事者にお願いしたいという想いがありました

原作の岸田奈美氏のエッセイは、車椅子の母、ひろ実さんとダウン症の弟、良太さんとの日常が綴られています。

そのエッセイの中には、ダウン症の弟とだからこそ誕生したエピソードも多くあります。大九氏は、同じダウン症の吉田くんにだからこそ演じることのできる「草太」像を作りたかったといいます。

吉田くん「ドラマ出演が決定して、初めは心臓が止まる位えっ⁉︎て驚きました。ドラマに出演できて嬉しく感じます」

撮影現場では、時折、大九氏は「草太くんだったらこういう時どうアクションする?」と吉田くんに問いかけます。

そして、吉田くんのありのままの姿で次々に演出に臨みました。その吉田くんの横に、大九氏からの指示をサポートしている男性が一人いました。

今回、吉田くんのフォロー役に抜擢された、俳優の安田龍生さんでした。プロの俳優として、大九氏の演出の意図を捉えて吉田くんをサポートすることが目的でした。

ですが、安田さんにとっても障害を抱える人のフォロー役は初めてのことでした。現場では手探りで吉田くんをフォローするツールを発見していきました。

まずは、台本の読み込みをする作業。

ドラマ撮影の現場においては、進行スケジュールやセット設置の都合上、台本通りには撮影することができません。今回、吉田くんが演じる草太役は10~25歳と幅広い年齢でした。

吉田くんは知的障害もあって、時間の感覚や数学が苦手で、この日は演じるのはいつのどんなシーンなのか把握できる様に、安田さんは丁寧に確認を取ります。

この日は、姉の七実が「東京」とふと発した言葉に、草太が父を思い出して「東京 パパ」と話すシーンでした。

短い台詞ですが、安田さんは吉田くんに、その言葉を話した背景を把握して欲しいといいます。そして、理解しやすい番号を振りながら演技のアクションをノートに書き出し、確認を取ります。

ドラマの撮影も終盤に入ってた頃、吉田くんにある変化が生まれたことをご両親が教えてくれました。吉田くんが、「プロの俳優さんになりたい」と想いを口にする様になったといいます。

ある日の撮影があった時、台詞が上手く話せなかった吉田くんは、悔しい気持ちが芽生え、歳上のお兄さんに電話で相談を寄せていました。現場では笑顔でいつも「撮影が楽しい」と話す吉田くんですが、芝居ができなかったことに対して悔しさも芽生え始めました。

お兄さんからは「今回悔しい想いをしたなら、次に活かせばいいよ」とアドバイスを受けました。今回の「俳優」へのチャレンジは、吉田くん本人にとっても、家族にとっても大きな収穫でした。

吉田くんは、「僕の演技を観ている人に幸せが届くことを心がけて演じています。ドラマが撮影が終わってもまた次のドラマに出演したいし、映画とかにも出演したいって思っているので精一杯、頑張っています。ここまで撮影を頑張ってきたので、最後までやり抜きたいです

そして、撮影最終日を迎えました。吉田くんは3ヵ月に及んだ撮影を1日も休むことなく完走しました。

クランクアップを迎えて花束をスタッフから頂いた吉田くんは、沢山のスタッフの前で堂々とした挨拶で〆ました。

ドラマの撮影本当にありがとうございました。お別れは寂しいですが、いつかまた皆さんに会いたいです。撮影が大好きです!本当にありがとうございました

と吉田くんの挨拶を受けて涙が止まらない共演者や大九氏始めスタッフをよそに、最後まで笑顔で走り抜けました。

しかしその笑顔の中には、一人の「俳優」としての自覚や凜々しさ、自信も滲み出ていました。

参考:WEB特集 ダウン症の俳優をメインキャストに抜てき あるドラマの挑戦 NHK NEWS  WEB(2023年)

実は、この『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』以外にも「障害を抱える当事者を起用する」という風潮は世界で浸透しつつあります。2022年には、ろう者の当事者たちをキャストに迎えた[コーダ あいのうた]がアカデミー賞の作品賞と助演男優賞を受賞し、大きな熱狂と話題を集めました。

人気の海外ドラマでも、一般的に車椅子の俳優をキャストに迎えるといった変革が起こっています。

ですが日本では、障害を題材にした作品は増えてきましたが、障害を抱える当事者が起用される機会はまだそんなに多くはないです。

大九氏は、「時間の問題、そして商業ベースに軌道させた時に障害を抱える当事者である人よりはもっとネームバリューのある人を起用したい、という慣習がどうしても生まれてしまっている現状です。障害を抱える当事者の俳優がいる中で、その彼らにとって当事者での役が描かれている作品に出逢うチャンスが余り少ないですし、せっかくチャンスがあっても障害を抱える当事者に巡ってくることが少ないのは不公平な世界だと思っています。少しずつ前例を残していきたいと思っています」

と、障害を抱える当事者を起用することの厳しさの赤裸々な実情を説明しました。

吉田くんが所属している、障害を抱える人専門のプロダクションのレッスンでは、色んな障害を抱えるキャストたちが、ボイストレーニングや演技のレッスンを受講していました。

各々の得意・不得意や障害の特性に合わせた指導で表現力を高めていき、ドラマや映画、舞台で活躍することを目標に掲げています。このプロダクションでは、障害を抱えるキャストたちが活躍できるステージが拡大することに期待を寄せています。

プロダクション代表 田中康路氏は、「今回の吉田くんの連続ドラマの起用は、エンタメにとってはとても大きな前進ですが、まだまだハードルはありますし、ずいぶん時間はかかりましたが、障害を抱える人の起用は変化していっていると感じます。自分自身、障害を抱える人達の表現力に心動かされたので、それ以外の人たちにも彼らの演技に共感して頂きたいです」

と述べました。

エンタメが好きだから素直に凄いと思います。

私も特にお芝居というものが好きになって10年以上経って、「自分がこの役を演じたらどうなるのかな?」とか、絶対に叶わない夢も描き続けていました。ハマり始めたあの頃はまだ今より若かったですし、今は「お芝居をしたいなら、レッスンとか劇団に所属とか、色んな作品を芸の肥やしへとするために偏りなく観なきゃダメなのに、何1つしていないし、本当に見果てぬ夢観てたわー」と思います。

昔障害者がドラマなどエンタメに出て来る時は、やっぱり健常者の人が演じて、役者さんだから、障害者に見える様に演じることができる、そんな世界が当たり前でした。

ですが、やっぱり元々が障害者ではないので、細かい癖や仕草とかにはやはりそこまで求めるのは、難しくてー。

最近は障害を抱える俳優さんを起用する作品も増えるなど、障害者がエンタメでも求められる様になり、風向きが少しずつ変わってきたと思います。

私がお風呂から上がっていると母がこのドラマを観ていて、少しだけ観ました。吉田くん、良い演技でした。きっと今後の俳優人生において、今回のドラマは良い経験になったと思いますし、このドラマから「障害者を起用したい」という方が増えて欲しいなと思いました。

noteでも書いています。よければ読んでください。

→HOME

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。