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こんにちは、翼祈(たすき)です。
人口減少などで適切な医療を受けられない、医療過疎地があるのをご存知ですか?医療過疎地を救いたいー、と医療MaaSや「モバイルファーマシー」などが導入されつつあります。
薬の調剤が可能な車両、移動薬局こと「モバイルファーマシー」。今は医薬品医療機器法などで災害が発生した時しか利用が認められていませんが、平時でも薬局のない医療過疎地で活かせないかと、岐阜薬科大では2022年10月から全国初の実証実験を進行しています。
医師の負担を軽減させ、患者はよりきめ細かな服薬指導を受けられる、「走る薬局」に注目が集まっています。
今回は医療MaaSや、「モバイルファーマシー」といった、医療過疎地での最新の取り組みについてお知らせします。
医療過疎地で行う、医療MasS。
山形大学と山形県酒田市、酒田市にある日本海総合病院、NTT東日本などは2023年4月から酒田市内で新しいオンライン診療の実証実験を連携でスタートすると明らかにしました。
有機ELディスプレーなどを完備した装置を公民館に設け、医師が患者をオンライン診察します。医療と移動手段をかけ合わせた支援「医療MaaS(マース)」も取り入れ、医療過疎地の解消を掲げます。
軽貨物車を改造してオンライン診療装置を搭載した「医療カー」に看護師らが同行して中山間地域の集落を走り回り、リモートで市民の健康相談など対応する計画でいます。
医師と患者が対面しないオンライン診療は、コロナ禍で需要が高まると同時に医療過疎地対策としても期待できますが、パソコンやスマホなどをかけ合わせた従来の装置は会話がメーンで、診断に必要となる臨場感が足りないなどの課題が起こり得ます。
それで山形大がメーンとなり、患者の顔色などを鮮明に映し出す高画質の有機ELディスプレーなどを完備した次世代装置を試みました。2021年10月から、医師が常駐しない離島の酒田市の飛島で実証実験を積み重ねてきます。
「医療MaaS」の効果が確認が取れたことから地域を拡げ、2023年4月から酒田市の日向地区でも実証実験をスタートさせます。
鳥海山のふもとに位置する人口約900人の地区で、高齢化率は50%を超えます。課題の確認や機能の高度化に向けて実証実験を継続します。酒田市の市長の男性は記者会見を開き、「オンライン診療が中山間地域でも実用ができることを確認したい」と説明しました。
参考:「医療過疎地」解消狙う 新たな遠隔診療の実証実験 山形大など 毎日新聞(2023年)
「モバイルファーマシー」とは?
2011年3月に発生した東日本大震災は医療機関に壊滅的損害をもたらしました。当時、宮城県薬剤師会は支援活動に奔走しましたが、被災状況は想定をはるかに超え、既存の災害対策マニュアルの多くは機能しませんでした。このことより災害時の支援において数々の教訓と知見を踏まえ、ライフライン喪失下の大規模被災時に通常の調剤と医薬品の供給が可能な自立した医療支援ユニット(Mobile Pharmacy)(MP)を開発しました。
「モバイルファーマシー」はキャンピングカーを改造した車内に、薬の棚や、一度に飲む量の薬を1つの袋に一包化するなど調剤に必要となる機器を完備します。
2011年の東日本大震災で病院や薬局が被災したことを契機に取り入れられ、2016年の熊本地震や2020年の九州豪雨などで使用されました。現在全国で薬剤師会や大学などが20台ほど所有しており、岐阜薬科大は2017年に日本の薬科系大学で初めて取り入れました。
「モバイルファーマシー」が実際に走る岐阜県
岐阜県岐阜市にある岐阜薬科大学は2022年10月、国の許可を得て日本初の「モバイルファーマシー」の実証実験をスタートしました。
医療過疎地と言われる山県市北伊自良(いじら)地区で住民への有用性を確認し、法令の見直しに充てて「モバイルファーマシー」の普及に弾みをつけたいとします。
実証実験が取り入れられている北伊自良地区には診療所が1ヵ所あり、医師が週2回、出張診療で出向きます。薬局が近くになく、医師が限られた手持ちの薬を処方し、調剤や服薬指導を併せると医師の負担が大きいといいます。
「モバイルファーマシー」を活かすことで在庫がない薬も処方が可能となるほか、薬剤師が調剤して患者に服薬指導を行うことで医師の負担も軽くなるなどのメリットがあります。
実証実験の期間を通して、医療過疎地での有効性の検証を行いました。
薬剤師法によれば薬剤師は法令により薬局以外で調剤が不可能で、「モバイルファーマシー」は規則で災害時以外は認められていませんが実証実験では平常時でも使えます。
被災した都道府県や日本薬剤師会の要請を受けて出動し、実際に2016年に発生した熊本地震では3台が、岐阜薬科大の車両も2018年に岐阜県内の豪雨被災地に出動しました。
この「モバイルファーマシー」の活かす方法に関しては、岐阜県で1台を保有する岐阜薬科大学が平常時でも薬局のない過疎地域での医療サポートに活かそうと、特例的に利用が許可される実証実験の実施を国に申請して、2022年8月に認定されました。
教授の男性は「医療過疎地でも医薬分業を実現できて、患者や医師の利便性がどの程度、高められるか調査したいです。薬局の設置が困難な医療過疎地域などでの活用に期待が持てるのではないか。今回の私たちの実証実験が『モバイルファーマシー』の規制の見直しに直結し、日常での普及の背中を押したい」と説明します。
岐阜薬科大学の計画では、2022年10月から2023年3月末までの半年間、岐阜薬科大学の「モバイルファーマシー」が薬局の役目を担当し、診療所の近隣駐車場に赴き、同行する岐阜薬科大学の薬剤師が調剤を行います。実証実験に携わった医師や利用した患者からの調査やアンケートをベースに現状と比べ、有用性の検証を行い、国に報告します。
画像引用・参考:一般社団法人 宮城県薬剤師会
私の祖母の家も、
医療過疎地だと思います。祖母の家は裏はすぐ山で、家は1番外れにあります。病院などは近所に住む私の叔父さんが連れて行きますが、祖母の家までの交通機関は通っておらず、車がないとまず何処にも行けないです。
オンライン診療はコロナ禍となり導入が進みましたが、医療過疎地に住む人にとっては、大事なツールだと言えるでしょう。祖母が病院に行く時は叔父さんは仕事を休みます。それ位、祖母の家からでは病院に行くのも一苦労です。
高齢者の方にオンライン診療というのは、最初はハードルが高いかと思います。でももしもの時のために使える手段の1つだと良いと思います。人口減少が進む中で、医療MaaSと「モバイルファーマシー」のニーズも高まってくる事でしょう。岐阜県の実証実験が、良い結果をもたらします様にー。
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地域医療 医師確保に苦しむ過疎地域 朝日新聞デジタル(2022年)
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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