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こんにちは、翼祈(たすき)です。
障害者の就労支援施設である就労継続支援A型・B型事業所では、食べ物以外でもオリジナリティー溢れるアイテムを日本各地で製造していることが分かりました。
以前障害を持っていない人が開発した、障害者向けのアイテムの数々をご紹介しました。
今回は逆に障害を抱えている人の視点から生み出された、防火服のリメイク斜めがけバッグ、炊き込みご飯セット、こぎんシューズなど、アイデア商品について、お伝えします。
防火服のリメイク斜めがけバッグ
耐用年数を過ぎ、廃棄予定となった愛知県名古屋市消防局の深緑色の防火服を、市内の障害者福祉事業所の通所者が斜めがけバッグにリメイクしました。
地域のイベントで限定販売すると、あっという間に完売する人気ぶりで障害を抱える人のやりがいにも結び付いています。障害者福祉事業所では第2弾として、地元の大学生も賛同して消防ホースや紺色の制服なども使用したアイテムを考案している最中です。
リメークを手がけたのは、同名古屋市熱田区にある社会福祉法人「名古屋市身体障害者福祉連合会」の名身連第一ワークスに通所する女性。リメイク斜めがけバッグのサイズは縦20〜25cm、幅16cm、マチ7cmで、「消防」と書かれたワッペンや反射材をワンポイントアクセントとし、内と外にポケットをデザインしました。防火服の素材は難燃性で高い強度が実証されているアラミド繊維で作られているので、頑丈さが1番のポイントだといいます。
同名古屋市消防局は年間約200着の防火服を処分していて、廃棄品の買い取り業者を見つけられずにいた時に、同名身連第一ワークスにリメイクバッグを持ちかけました。2021年1月、同名古屋市消防局から同名身連第一ワークスに到着した数10着の防火服で試作を積み重ね、2022年4月にリメイク斜めがけバッグが完成へと至りました。
画像引用・参考:Viaggio Used
1個につき、4800円。
炊き込みご飯セット
新潟県糸魚川市道平にある障害者就労支援施設「ワークセンターにしうみ」は、同糸魚川市内の米農家と協賛を頂き、糸魚川産のにいがた地鶏の「翠鶏(みどり)」と、新潟県のブランド米「新之助」を混ぜ込んだ「炊き込みご飯の素」のセットアイテムなどを販売開始しました。
主戦力のアイテムである炊き込みご飯の素のセットでは、同障害者就労支援施設「ワークセンターにしうみ」と同糸魚川市内の米農家「お米の配達人」などで協賛しました。炊き込みご飯の素のスープは糸魚川産のにいがた地鶏である同障害者就労支援施設「ワークセンターにしうみ」の「翠鶏」のレトルトお肉と、ゴボウや椎茸、にんじんなど具だくさんが自慢の味です。一方の同新潟県のブランド米「新之助」は無洗米を選択し、研がずに手軽に炊飯器で炊くことが出来ることも目玉です。
参考:地鶏+新之助 炊き込みご飯セット 糸魚川の障害者就労支援施設が開発 新潟日報モア(2021年)
紹介カタログ
よりすぐりの「おいしい」をあなたに――。障害者がつくった商品と農産物を案内する「わっくるカタログ」ができた。企画した人たちは、買って食べての応援を呼びかけている。
カタログ(A4判16ページ)は一般社団法人の県セルプセンター(和歌山市美園町5丁目)がつくった。安全▽無添加(低添加)▽原料は県産▽環境配慮▽持続可能――といった基準にかなった会員施設と個人賛助会員の商品と農産物をそれぞれ15点ずつ計30点を紹介。鹿肉バーベキューセット(田辺市)▽サイパン芋スイーツセット(那智勝浦町)▽塩屋の天塩(御坊市)▽有田みかん(有田川町)▽サイパン芋(串本町)▽干物詰め合わせ(日高町)▽みかん蜜・百花蜜セット(海南市)――と県内あちこちの商品いろいろを取りあげている。
ページを読み出すと、読みものとしても読んでも凄く楽しいです。生産している人のお考え、原材料の産地はどこか、この調達を介して地域とどう結び付いているのか分かりやすい文章と鮮明な写真で冊子は構成されています。
ふるさと納税
兵庫県加西市や姫路市の起業家などが、健常者と障害を抱えている人の懸け橋となればと、障害を抱えている女子中学生がモデルを務めるブランド【Studio Ar-ch(スタジオ アーチ)】のアイテムを開発されました。
教材や弁当などを入れるバッグや巾着の《入園入学グッズ5点セット》となっており、同加西市のふるさと納税返礼品に登録されていて、関係者は「これからも魅力的なアイテムを製造していきたい」とコメントを寄せています。
同【Studio Ar-ch(スタジオ アーチ)】は、同姫路市の女性が立ち上げました。知的障害を伴う自閉症を抱えている長女がモデルを務めます。ブランド第1弾として2020年、Tシャツも製作しました。一方、同加西市でスタジオ「KIREI PLUS(キレイプラス)」の経営などを携わる美容師が、撮影する時などのヘアメークなどで協賛。となります。
《入園入学セット》は、幼稚園や小学校ほかで、よく使用される教材や自分の靴を入れるバッグと、弁当や水筒などを入れる巾着3点のセットで、いずれも厚手の綿生地で作られています。色は「インディゴ」カラーと黄色、ピンクの3種類で、「大人でも使いやすいデザインにした」ということです。今回から女性の娘さんの上半身を描いたイラストロゴをアイテムにデザインされています。
女性は「障害を抱えている場合、社会との関わりなしに生活するのはとても困難なこと。ブランドの活動を障害を抱えている人と健常者とを結びつける出発点にしたい」と話します。女性の娘さんは「かっこいいアイテムができて幸せ」と言いました。
ふるさと納税での返礼品の場合、寄付額は2万5千円。特産品販売や飲食の「えぇもん王国」で販売中です。7500円(送料別)。
参考:健常者と障害者つなぐブランド 自閉症の女子中生がモデル ふるさと納税返礼品に 神戸新聞NEXT(2022年)
こぎんシューズ
青森県青森市にある障害者就労継続支援A・B型事業所「障害福祉支援プラザ」の通所者が製造に携わった、こぎん刺しの刺し子がデザインされたオンリーワンの靴が注目を注がれています。見た目のキュートさに加え、デザインや糸の色を選ぶことが可能で、オンリーワンというオリジナリティーも人気を支えています。口コミで評判が拡大し、首都圏からも注文が届いています。
同障害者就労支援A・B型事業所「障害福祉支援プラザ」では20~50代の男女33人が通所。清掃やクリーニング補助、箱折り作業などをこなして勤務しています。
こぎん刺しも仕事の一環で、2017年からオンリーワンのこぎん刺しの刺し子がデザインされた靴も製造しています。支援員の話では「こぎん刺しは、細かい作業もあり、1人で黙々と集中して製造することが得意なメンバーさんの特性を活かすことが可能です」と述べました。
オンリーワンの「こぎんシューズ」は従来から販売の靴に、こぎん刺しの刺し子をデザインしたアレンジアイテムです。同障害者就労支援A・B型事業所「障害福祉支援プラザ」の元支援員が自分のお子さんの上履きにデザインが施せたら-と考案したケースが商品化の出発点となりました。
参考:「こぎんシューズ」人気/障害福祉支援プラザ利用者が制作/模様・糸選び自由 「世界で唯一」魅力 東奥日報(2022年)
刺し子のデザインは伝統的なものに限定せず、りんごやさくらんぼ柄などもあります。要望を受ければ製造可能なものは図案を作成して、臨機応変に対応されています。
デザインの配置は、基本ワンポイントですがご希望次第で数を倍増出来ます。靴は子ども用が1足1980円~、大人用は3080円~。注文から到着までは2週間ほど費やします。注文は「障害福祉支援プラザ」か、また、同青森市青葉のセレクトショップ「雑貨の散歩道」でも販売されています。
着眼点が素晴らしい‼︎
お菓子などを作る障害者施設が多い中、お菓子も含め一般的なお店にも負けない商品を沢山作っている事に気付きました。炊き込みご飯とか、こぎんシューズとか、「どなたが作るって最初に言い出したんだろう?」と思う位、全く私が想像しなかった世界に連れて行ってくれました。
障害者の私達に可能性を感じて下さるのも嬉しいし、励みにもなります。これからもこういう商品開発が進んで欲しいものですね。
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久遠チョコレート
以前別のライターさんが書かれていた、障害者の方が作る、注目の久遠チョコレートの記事を紹介します。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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