インティマシー・コーディネーター〜性描写のあるドラマや映画で精神的なケアをする専門職〜 

インティマシー・コーディネーター

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

インティマシー・コーディネーター」とは、撮影現場で俳優を支え、映画やドラマで性描写のあるシーンを撮影する時に、監督と俳優の間に入って具体的な性描写に関して合意を取り付ける調整役を担います。“インティマシー”とは日本語で「親密さ」のことを指します。

今エンタメ界では俳優の間から性被害の告発が相次ぎ、制作現場における性暴力やハラスメントに厳しい視線が注がれています。その時に、「インティマシー・コーディネーター」というお仕事は現場では欠かせないものです。今回はこの「インティマシー・コーディネーター」というお仕事がどんな感じなのか、踏まえながらお知らせします。

「インティマシー・コーディネーター」のお仕事

まず最初に、参加する映画やドラマの台本を事前に読み込んで、性描写や身体を触るシーンがあるかないかの確認を行います。

次に、監督と協議する場を設置します。台本のト書きには、「ここでキスをする」や「愛し合う」などという簡易な内容しか書かれていないことがよくあるので、どれ程の激しいキスシーンがあるのか、愛し合うシーンではどれ程肌を露出されるのかなど、具体的な演出のイメージを確認するための処置を行います。

そして、監督が要望する性描写のあるシーンを現場で撮影することに問題が起こらないかを事前に俳優に質問します。もし俳優が無理だと感じたシーンやト書きがあった時、監督と俳優の双方の条件を細かく聞き出し、お互いに気持ち良く撮影に臨めるラインを手繰り寄せます。

参考:「俳優に無理強いはさせない」性的シーンの“調整役” インティマシー・コーディネーターの仕事とは NHK(2022年)

「インティマシー・コーディネーター」が認知されて来たのは、映画界の性暴力に抗議を行う「#MeToo」運動が転機となり、2018年頃にアメリカのドラマで導入されたのが最初だと言われています。

2022年に入りアメリカやイギリスなどに「インティマシー・コーディネーター」を育てる団体があり、専門のトレーニングでもサポートします。この様に専門の団体に認定された「インティマシー・コーディネーター」は、2020年時点で世界中に約100人いると言われています。

「インティマシー・コーディネーター」のなり方、研修

ドラマや映画などの映像作品において性描写のあるシーンを撮影する時に監督らと俳優の間に入って、俳優の精神的・身体的安心と安全を保守する役割を任されている「インティマシー・コーディネーター」の存在が今注目を集めています。「インティマシー・コーディネーター」の女性Aさんは日本国内には2人しかいない日本でのパイオニア的存在です。

長いアメリカ生活で習得した英会話の力を活かして、映画やドラマの仕事に携わって来た女性Aさんにとあるきっかけが突然訪れたといいます。2020年、Netflixから「インティマシー・コーディネーター」としての仕事が依頼されました。女性Aさんは「40代に入り子育ても行う中で、『インティマシー・コーディネーター』の資格を取る為のトレーニングが可能なのかとの不安もあった。映像の現場を理解していただけに、現場では嫌がられる存在というのも認識していましたが、俳優の人権に関連することでやり甲斐は感じるな、と1週間で『トレーニングを実践しよう』と即決しました」と当時を振り返ります。

「インティマシー・コーディネーター」になる為の想いの背景にはアメリカのエンタメ界の実情があったといいます。「アメリカでは性描写のある撮影には俳優組合のルールに規定された同意書など細やかな契約をそれぞれが結び、日米合作の仕事をやっているとハリウッドの良さは思い知らされた」と日米の撮影現場の相違を懸念しました。

ですが、「インティマシー・コーディネーター」を目指すためのトレーニングは極めて内容の濃かったといいます。「コロナ禍とあってオンライン会議で毎日3~5時間勉強を重ねる。ジェンダー、ハラスメント、LGBTQ、トラウマ、性的思考…。ケーススタディーのために台本を読み深めたり、疑似性行為に使用する前張りの使い上の注意まで色々な経験を重ねて来た」と明らかにしました。

Netflixから依頼を受けた数ヵ月後にはアメリカの専門機関IPAの資格を取り、「インティマシー・コーディネーター」の仕事を始めました。

しかし現実的にはまだ日本には「インティマシー・コーディネーター」は2人しかいません。「私も経験を重ねていき認知させていかなくてはならない。映画やドラマのエンドロールに『インティマシー・コーディネーター』の名前が書かれることで存在が一般的に認識され、関心を持って頂ける」と述べます。

その反面、「『インティマシー・コーディネーター』の志望したいという相談も多く寄せられますが、『インティマシー・コーディネーター』になる為には、高い語学力は勿論当たり前であり、その上で映像の仕事の経験も積んでいかないとなれません」となれる為の条件はかなり険しいのです。

参考:セクシュアルシーン撮影に不可欠な存在に 「インティマシー・コーディネーター」浅田智穂さんインタビュー 中日スポーツ(2022年)

「インティマシー・コーディネーター」の方がいることでの現場での安心感

2022年8月の都内某所。BS‐TBSで放送中の連続ドラマ[サワコ~それは、果てなき復讐]の撮影が連日行われていました。電子コミックを実写ドラマ化したラブホラーサスペンスとなり、今注目の若手俳優が多数出演しています。

このドラマに出演している俳優の皆さんは、「インティマシー・コーディネーター」の女性Aさんの存在をどう感じているのでしょうか?

共演俳優Bさん

「納得のいく状態でお互いに正直な意見を交わす場面も持てたのかなと思いました。男性の『インティマシ―・コーディネーター』さんも今後出て来たら嬉しいと感じる俳優さんも絶対いると思います」

主演俳優Cさん

「ドラマの撮影現場に行って『え?そういうシーンもあるの?』みたいなシーンが全く撮影がなくて。そういう描写のあるシーンって緊張感とかドキドキする気持ちも、やっぱりあると思いますが、本当に辛抱強く心のケアを行って下さいますし、様々な心境で凄く安心感が持てました」

その反面で、浮き彫りとなった課題も発見しました。

ドラマ[サワコ]監督

「全てのこういう性描写のある作品に『インティマシー・コーディネーター』がいるかと言ったら、そうではない。もっと大元で大問題に上がる制作費の観点とか、製作費が取れない現場も沢山あります。スタッフ全員が『インティマシー・コーディネーター』になっている位の意識を持たないと。“全員がどう意識を撮影現場に持つか”ありきなんですよね」

女性Aさんも撮影現場に「インティマシー・コーディネーター」を置くことで、現場に従事する人たちの「意識」を向上させる転機を構成出来たらと感じています。

参考:“性的シーン”撮影の裏側「ダメなことはダメだと言える雰囲気に」俳優守る“インティマシー・コーディネーター”に初密着 TBS NEWS DIG(2022年)

「インティマシ―・コーディネーター」の女性Aさんは、「(これまでは)これダメないんじゃないかなと考えても、言いづらい空気が撮影現場にあったと思います。ただ現在は、無理な事は無理だ、自分がそう感じたら普通に言ってもいいという雰囲気に変換されていっていると私は体感しています。確実に撮影現場の空気に新しい風が吹いていると肌で感じています」と述べました。

ある話を聞いた。

以前性描写のある映画に出演していた女優さん(今は俳優さんと言いますが)が、インタビューで「キスシーンなどが毎回辛くて、撮影中毎日泣いていた」という記事を読んだことがあります。

特に映画はR18+まであり、この映倫区分に来ると、テレビではまず出来ない位、過激な性描写や台詞が多くなります。この女性は今は俳優歴は長い方になりましたが、この当時はまだまだ知名度も低く、俳優歴もまだ浅かったです。きっと撮影とはいえ、辛い心情だったに違いありません。

「インティマシー・コーディネーター」というお仕事は今回初めて知りましたが、テレビは以前より倫理規定が厳しい中での、性描写のあるドラマ、出演される役者さん達は、制約がある中でも、性描写を撮らなければならない、凄く大変だと思います。「インティマシー・コーディネーター」の方はまだ2名しか日本には居ないそうですが、今後も性描写のあるドラマや映画も制作され続けるでしょうし、よりこの「インティマシー・コーディネーター」の重要性が高まる時代になっていくと感じました。

参考サイト

Intimacy Coordinator Japan|インティマシー・コーディネーター・ジャパン

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。