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こんにちは、翼祈(たすき)です。
生まれた時の性別とは違った性別を自認するトランスジェンダーの権利と尊厳を訴えかけるパレード『東京トランスマーチ』が2022年11月、東京都新宿区で開催されました。2021年に続き2回目の開催でした。
この記事では、2回目となった『東京トランスマーチ』について、ノンバイナリーの人がイギリスで発売のトランスジェンダーの関連本の翻訳をしたことに関して、振り返ります。
2022年11月12日、『東京トランスマーチ』開催!
トランスジェンダーの権利や尊厳への平等性を訴え、トランスジェンダー当事者や支援者らが街中で声を発信していく『東京トランスマーチ』が2022年11月12日、東京都新宿区内で開催されました。2022年の『東京トランスマーチ』の主催者発表によりますと、約1000人が「自分らしく生きていく」「トランスの権利は人権でもある」「トランス差別に抗議する」などのプラカードを掲げて行進し、『東京トランスマーチ』をPRしました。
【トランスマーチ】は世界各国で行われ、日本の東京では2021年に続き2回目の開催となりました。1998年11月、迫害の対象になり、望まない形で亡くなったトランスジェンダー当事者を追悼する11月20日の「国際トランスジェンダー追悼の日」を前に、トランスジェンダー当事者として情報発信をしてきたTransgender Japan 浅沼智也共同代表や畑野とまとさんが今年の『東京トランスマーチ』を企画しました。
今年の『東京トランスマーチ』の参加者は新宿中央公園から行進を始め、約3.4キロを歩きました。トランスジェンダーの人権活動で使用される水色、ピンク、白色の3色の旗などを持ちながら、沿道を歩く人に手を振りました。
華やかなドレス姿を着て『東京トランスマーチ』に参加したショークラブ「ひげガール」のキャストは、「私たちも日中も堂々と歩いていたい。好きな格好でなりたい自分になれるということを発信出来たら」と話しました。
青森県から来た20代の『東京トランスマーチ』の参加者は「この『東京トランスマーチ』では差別されない安心感を感じます。賛同して声を上げて下さっているところに元気を貰いました。同じ仲間が沢山いて、楽しかったです」と述べました。
日本でもここ数年、トランスジェンダーへの誤解や誤った偏見で差別的な言葉が目立っています。トランスジェンダー当事者は、学校や職場、医療など日常生活の色んなシーンで差別に遭遇しやすいと言います。
ここ数年はデマや中傷がSNS上などで激しい言葉が書かれています。海外では、トランスジェンダーへの嫌悪や偏見のためトランスジェンダー当事者が迫害される事件が発生し、日本でもトランスジェンダー当事者が自死に追い込まれるケースが起こっています。
『東京トランスマーチ』に先立って、浅沼共同代表は「LGBTQという言葉は世の中に浸透していきましたが、トランスジェンダー当事者の問題が解決され、どんな生き方でも否定されない状況になったのかといえば、まだそうではありません。トランスジェンダーであるということで社会から迫害を受け、差別的な言葉を投げられる現状が存在する」と懸念しています。
「(『東京トランスマーチ』を介して)孤独を感じるトランスジェンダー当事者には『一人じゃないよ』ということを伝えていきたい。当事者ではない人に関しては、トランスジェンダーの人たちが身近に生きている、共に現在を生きているということを理解して頂ければと思います。連携してトランスジェンダーの問題の議論を浸透させていきましょう」と語りました。『東京トランスマーチ』に参加したトランスジェンダー女性で当事者サポートの「乙女塾」代表である西原さつきさんは「自分が好む洋服で堂々と街中を歩いていこうと発信したい」と述べました。
参考:トランスジェンダーの人権と尊厳訴え 1000人が新宿で行進 毎日新聞(2022年)
ノンバイナリーの准教授、イギリスのトランスジェンダーの関連本翻訳
「トランスジェンダーへの迫害は国に関係なく社会の構造的な問題ではないのか?その実態を認知して頂けたら」。群馬大の准教授は倫理学が専門で、法律を整え、トランスジェンダー当事者が暮らしやすい社会の構築を説いています。准教授自身は性別が男性にも女性にも該当しない「ノンバイナリー」でもあり、その性別を活かしトランスジェンダーを主人公にした海外の本を翻訳するなど、社会の理解を高めるべく活動しています。
トランスジェンダーは日本の人口の1%もおらず、性別適合手術を受けて戸籍の性別変更をしている人もいたり、外見だけを変化させ生活する人まで理由は色んな選択肢もあり複雑となっています。「ホルモン治療などを行いながら性別変更することは、現代ではまだまだ命がけの手段です」と懸念します。
そう語る准教授が、「日本のトランスジェンダー当事者へ向けて翻訳したかった」という1冊の本がありました。2021年、イギリスで出版され、トランスジェンダー当事者の直面する困難や法律の制度の疑問点を投げかけた話題書となります。
准教授が翻訳し明石書店から刊行された本の題名は、ショーン・フェイ氏の「トランスジェンダー問題—議論は正義のために」。著者はイギリスのトランスジェンダー女性で、学校や仕事、地域社会でトランスジェンダー当事者が直面する困難や法律の壁、医療分野、労働環境の問題に警鐘を鳴らす1冊です。
2012年の冬、イギリスで「クリスマス休みを終えたら、女性として仕事に復帰する」と保護者向けの通信にこう記載した32歳のトランスジェンダーである教師が数ヵ月後、自死しました。この翻訳本はこのエピソードが序章となります。地元の報道機関が「子どもが困るのでは?」と一報し、著名な執筆家が「間違った仕事に就いたからだ」と攻撃的に書いたり、トランスジェンダーである教師は精神的に追い込まれていったということです。
それからイギリス国内ではトランスジェンダー当事者の社会参加に対して議論が長くなり、2020年の労働党党首選では全候補者にトランスジェンダーを巡る質問が重ねられました。准教授は「日本でもトイレや更衣室を使う時、スポーツでの男女区分などがあり、トランスジェンダー当事者の社会参画が加速したら性犯罪が倍増するかのような言論が拡大しています。イギリスの様にならない社会にしたい」と強く祈ります。
そして「トランスジェンダー当事者は社会で問題を起こす存在だと誤解されやすいが、これはトランスジェンダー当事者への激しい差別やいじめ、法律の整備、貧困など社会的な問題は議論も行われない。差別的な社会構造に目を逸らさず共に発信して欲しい」と言いました。
私は、
当事者ではありませんが、LGBTQの話だけではなく、トランスジェンダーに関する記事も、幾つかAKARIで書いて来ました。私がライターだから気付くというのもあるかもしれませんが、今年2022年はトランスジェンダーの方を取り巻く大きな出来事が沢山あった様に感じます。
去年の東京トランスマーチの記事も今回書くにあたって観てみたのですが、2021年の記事より、今年2022年の記事の方が当日の写真や動画が沢山使われ、記事の数も多く、長いものが増えていました。それだけ、トランスジェンダーの人は身近にいて、声を上げやすい世の中になったのではないかと思います。
この東京トランスマーチに関しては、これからも継承されて行くものだと感じます。声を上げることで世の中が変わることもあるー、そういう記事を沢山書いて来た私だからこそ、実感する今年の東京トランスマーチでした。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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