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はじめに
私が、この病気の名前を知ったのはごく最近になります。
お知り合いのママさんから、ご相談を受けたのがきっかけです。
相談というのは、お子さんが難病の「シトリン欠損症」という病と戦っているのですが、なかなか「シトリン欠損症」という病気自体を知っている人が少ないこと。知ってもらう機会も少ないということでした。
私にできることは、AKARIの記事にすることで、そんなに多くはないかもしれませんが、「シトリン欠損症」という難病があることを発信するということです。
今回は、実際に「シトリン欠損症」を持つ、ママさんにインタビューをしました。
ぜひ、一人でも多くのひとに読んでほしいと思います。
「シトリン欠損症」とは?
「シトリン欠損症」とは、身体の中(主に肝臓)で、「シトリン」という 輸送体タンパク質を上手に作ることができない(欠損する)病気です。
シトリン欠損症では新生児・乳児の時と大人の時では症状が全然違うので、それぞれの時期の病状にあわせて、下のような別な名前が付いています。
「新生児・乳児期のときの病名:新生児肝内胆汁うっ滞症」
(NICCD : neonatal intrahepatic cholestasis caused by citrin deficiency)
「成人での病名:成人発症 II 型シトルリン血症」
(CTLN2: adult-onset type II citrullinemia)
実録インタビュー
お子さんの病気に気づいたのは、いつくらいですか?
生後2ヶ月の時に、便の色がとても薄くなっていることと、また、同時に体重の増加も思わしくないということもあり、それがきっかけで、何か疾患があるのでは?と疑いを持つようになりました。
新生児のスクリーニング検査では引っかかっていなかったものの、その後の体重増加や便の色、2度目の尿検査で生後4ヶ月の時にようやく診断されました。
難病という診断を受けた時のお気持ちを聞かせて下さい。
初めての子育てで、全てが不安な中、聞いたこともない、ましてや情報も少ない疾患が我が子にあるという現実をなかなか受け止められませんでした。
ショックで、何もかもネガティブにしか捉えることができず、座右の銘(笑)の「なんとかなる」という言葉が全く響きませんでした。
現在のお子さんの症状はどのようなものですか?
幼稚園に通い出す前の2歳後半頃から食に対する興味も出だし、食癖が顕著になって現れてきたため、肉や卵、牛乳などタンパク質や脂質を多く含む食事を提供しながら、すくすく元気に育っています。
ですが、時々お米を食べ過ぎたり、運動量に対して食事が少ないことなどが低血糖に繋がった時は顔色が青白くなり、嘔吐をして寝てしまう…。
嘔吐下痢などに感染したりなど、もっとひどい時は入院せざるを得ない状態ですが、小さい頃に比べて日帰りの点滴で済むこともあり、ずいぶん体力がついてきたなぁという印象です。
シトリンは、糖分からのエネルギー産生、尿素回路でのアンモニア代謝などに関わっていて、シトリン欠損症患者は、糖質や飲酒を嫌い、乳製品や肉類、大豆食品などの高蛋白食・高脂質食を好む食嗜好が見られます。シトリン欠損症は新生児から老年までの幅広い年齢にわたり、また、それぞれの患者で異なる症状があらわれます。
治療法など、治療に関することを教えて下さい。
乳幼児期は、離乳食などを全く食べず、病院からもらっていた「特殊ミルク(MCTミルク)」で育ちました。
現在は、胃腸炎や嘔吐下痢などに万が一感染すると、口から摂取することができずいつも以上に低血糖を起こしやすいため、嘔吐が出たら、すぐに市内にある大きな病院へ行き点滴をして、吐き気などが治ったら徐々に口から食事をとる、という感じで対処をしています。
特殊ミルク(MCTミルク)とは?
特殊ミルクとは、栄養成分を調整した医療用のミルクのことです。
このミルクを使うことで、先天代謝異常症や、特定の疾患を抱える患者さんの治療を行うことができます。特殊ミルクの見た目は普通の粉ミルクと同じく乳白色の粉末で、お湯に適量を溶かして使われます。
MCTとは?
中鎖脂肪酸100%の油のことをMCT(Medium Chain Triglyceride)といいます。
MCTは、一般的な油よりもすばやく消化・吸収され、すぐにエネルギーになりやすいという特長を活かし、医療現場・スポーツ分野における栄養補給や、生活習慣病予防など、様々なシーンで利用されています。
参考サイト:特殊ミルクとは? 先天代謝異常症などの治療に使われる特殊ミルクについて専門家が詳しく解説 | メディカルノート
シトリン欠損症は、食事療法(高脂肪・高蛋白・低炭水化物食)が大切だとお聞きします。日頃のお食事などで気を付けていることはありますか?
朝晩は、牛乳にマクトンオイルを小さじ1杯混ぜて飲ませてます。
もはやそれが主食です。
主治医からは、特殊ミルクを飲まないのであれば、マクトンオイルは1日に小さじ3杯程度必要になると言われてますので、野菜などにドレッシング代わりにかけたりなど、何かしらの形で摂取できるよう工夫しています。
また、おかずですが甘い味付けよりも塩味が一番好きなので、塩味で肉や魚などを炒めたりして出すようにしています。
給食に関しては、米と麺、など糖質が多い献立の時は、ゆで卵や常温保存可能な牛乳、チーズなどを捕食で持たせています。
糖質に関してですが、全くダメ!という事はなくエネルギーとして多少は必要なため、本人にどれくらいなら食べられそうかを聞いてから、お米などはつぐようにしています。
マクトンオイルとは?
マクトンオイルは中鎖脂肪酸油85%に、長鎖脂肪酸油15%を配合した液体の油脂です。
食品によく混ざりやすく、加熱調理もしやすいので、ドレッシングやスープ、炒め物など幅広く使っていただけます。
参考サイト:マクトンオイル・マクトンゼロパウダーの使い方 | CKD患者さんの食事療法のポイント | キッセイのヘルスケア情報 おいしい365日
シトリン欠損症を知ってもらうためにも、どのような活動をしていらっしゃいますか?
同じ疾患のお子さんをお持ちのお母さんや、疾患を抱える成人の方などと情報共有できるように、インスタグラムを開設し、日々の食事などを発信しています。
【インスタグラム】
最後にメッセージをお願いします。
食癖などは「わがまま」ではなく「体を守る本能」だと、より多くの方に理解してもらえると嬉しいです。
また、私自身、当初はとても悲観的で、これまでの経緯や食事療法など振り返った際に「大変だなぁ」と思うこともたまにありますが、主治医の先生から言われた、「お母さんこれはね、病気じゃなくて体質だから」という言葉に救われています。
汗っかきだったり、暑がり寒がり、インドア、アウトドア、人それぞれ色々な体質や性格と共に生活をしていますが、この「シトリン欠損症」という症状も、一つの体質であって個性である、と感じながら育児をしています。
これからこの疾患と関わっていく方には、どうか悲しむことなくむしろ楽しみながら関わっていってほしいと感じます。
さいごに
私の母も、難病の多発性硬化症を患っていました。母は、脳の病気でしたが、私も最初に難病と聞いて、そして治療法がないことを聞いて、はじめは泣いてばかりいたことを思い出しました。
誰しもが、家族には健康であってほしいと願います。
それが、親であろうと子供であろうと変わりません。
「シトリン欠損症」のように、まだだれも知らない難病がたくさんあります。
まずは、「シトリン欠損症」からでもかまいません、知るということからはじめてみたい。記事を書いていて、そう思いました。
参考サイト
特殊ミルクとは? 先天代謝異常症などの治療に使われる特殊ミルクについて専門家が詳しく解説 | メディカルノート
マクトンオイル・マクトンゼロパウダーの使い方 | CKD患者さんの食事療法のポイント | キッセイのヘルスケア情報 おいしい365日
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