Braille Neue〜視覚障害者とそれ以外の人達を繋ぐ新しい点字〜

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こんにちは、翼祈(たすき)です。今回は、この間たまたま知った、全く新しい点字について、深掘りしていきます。この記事では点字の歴史、点字を作った人、新しい点字など、様々な点字のお話をしていきたいと思います。

ニュータイプのユニバーサル点字フォント『Braille Nene』

視覚障害者と簡単にまとめても、その見え方は人それぞれ。ギリギリ視力がある人から何も見えない全盲の人、視野の広さが不十分だったり見える範囲がとても狭かったりと視覚障害者の見え方は多種多様ですが、見えない不自由を抱えている事は皆さん同じ。そんな視覚障害者の不自由さを減らすために黄色い点字ブロックが道路に置かれていたり、音声案内が聞こえて来たりと街中で様々な工夫を見る事ができますが、駅や店で見かける物に併記されている「点字」もその一つ。全盲の人でも点字は指で触って点が打ってある部分を文字としてその単語を読解する事ができるものですが、ひとマスに6個の点を組み合わせて表示される点字は63パターン。ひとマスに点が一つもない「スペース」と呼ばれる点字も併せると64通りの点字が現在日本語表記に使われています。

この点字、一文字が6個の点の組み合わせでできているので点字に慣れている人なら指で触って一つの点字にどの仮名や記号を示しているか一目で分かるのですが視力に異常のない、いわゆる「晴眼者」にとっては点字というのは謎の記号と感じている人も多いはず。

「Braille Neue」はデザイナーのKosuke Takahashiさんが開発した「目で読む事ができる点字フォント」。Takahashiさんは「1日1つ発明する」というモットーで活動をしており、この目で読む事ができる点字フォントもその一環。開発したきっかけは「自分が点字が読めず理解出来なかったから」という非常にシンプルな考えからなのですが、それだけ晴眼者にとって点字は身近ではない存在。視覚に関係する福祉関連の職場などでもないとなかなか普段から接するチャンスのない点字ですが、缶や紙パックの酒類や食材、洗剤などの日用品類に至るまで日常生活のどこかに必ず点字は存在しています。視覚障害者の誤飲や誤食などのトラブルを防ぐ為、視覚障害があっても生活の不便をなくす為の身近な存在なのに、文字を目で読める人は点字に触れる事が少ないままなのが現実。点字とは視覚障害者専用の文字となってしまっているのです。

そんな点字をもっと身近に、みんなが読めるものにと開発されたのが「Braille Neue」と呼ばれる新しい点字を意味があるドイツ語。インクなどで書かれる「墨字」と点字を融合させる事で別々だった点字と墨字の文字情報の世界を一つに繋ぐ事ができるのでは……「たった1つの言語や、1つの文字で、今までよりたくさんの世界の人とつながることができるのだとしたら、それはとても素敵な機会だと思う」というTakahashiさんの熱い願いは現在新しい形のユニバーサルフォントとして形になりつつあります。

現在、「Braille Neue」は片仮名とアルファベットを主軸に開発中との事。「今後は平仮名や他の国の言葉にも対応できるようにプロジェクトを進めています。ただ、このプロジェクトはフォント制作が1番の目的ではなく、点字と墨字が一体になったフォントを、一般社会にも広げていくことが目的(Takahashiさん)」という事でツイッター上で届いた意見などをもとに改良を重ねています。

特に苦労した点をお聞きしたところ、「点字のルールと墨字のルールは全く異なる事が多く、点字としてまとめるのはかなり大変でした。目でも、指でも読みやすいバランスを整える作業が一番長かったように思います。その上、点字の広い世界には数符、外字符、略表記といった墨字にない考えもあったりと、まだまだ解決できていない問題は山積しています。」と苦労を語って頂きました。

ツイッター上ではロービジョン(弱視)の為に文字の色をハイコントラストにした方がもっと良い、文字の間隔なども改良の余地があるした方がもっと良いなど様々な意見が寄せられています。また、ディスレクシア(知能に問題はないが文字の認知機能に関わる障害など)の人にとっては一文字の中に点字の点が入っている為読解できるという意見も。

Takahashiさんはこういうツイッターの意見を取り入れながら今後も開発を継続していくという事です。

参考:晴眼者にも、視覚障害者にも。ニュータイプのユニバーサル点字フォント「Braille Neue」開発者に聞く おたくま経済新聞(2018年)

点字の歴史

引用:点字を作った人

元々軍事用だった点字。それが今日の視覚障害者の方を支えている点字となる、その過程と功績が素晴らしいです。

世界点字デー

視覚障害者の権利を守る目的で設立させた世界盲人連合(World Blind Union)が制定。国際デーの一つ。英語表記は「World Braille Day」。日本語では「国際点字デー」「世界点字の日」などとも表記されます。2000年(平成12年)11月に開催された世界盲人連合総会にて議題にのぼり採択されました。その後、2018年(平成30年)12月の国連総会において承認されました。コミュニケーション手段としての点字の重要性に対する認識を高めることが目的。記念日の日付は点字表記を完成させたフランス人のルイ・ブライユ(Louis Braille、1809~1852年)の誕生日にちなみます。英語とフランス語で点字は「braille」と呼びますが、これは彼の名前に由来します。1809年に生まれた彼は、視覚障がい者の世界を変えた人物といわれています。

5歳で両目の視力を失ったブライユは、その才能を認められ、世界初の視覚障がい者学校であるパリ盲学校に10歳で入学。軍事用に開発された夜間読字を改良し、わずか15歳でブライユ式点字をつくりだしました。

卒業後は、同校の教官として教鞭をとりながら、点字の改良に努めましたが、肺結核を患い、43歳で世を去りました。世界最初の盲学校であるパリ訓盲院の生徒・ブライユが指でも読みやすい6点式点字(縦3点・横2列)のアルファベットと数字を完成させ、1854年にフランスで正式に採用されました。これより145年後に、ブライユの功績を称えて、誕生日の1月4日が「世界点字デー」に定められました。

Braille Neneとは?

Braille Neue Projectは、晴眼者が使う墨字と視覚障がい者が使う点字が一体になった、目でも指でも読めるユニバーサルな書体「Braille Neue」の制作・普及を行っていくプロジェクトです。 「Braille Neue(ブレイルノイエ)」は従来の点字でありながら、その上から文字が印刷されている「新しい点字」。視覚障害者は点字に触れることで意味を把握し、そのほかの人は印刷された文字を目で見て認識できます。

Braille Neue(ブレイルノイエ)「新しい点字(※1)」を意味するこのフォントは、Takahashiさんが毎日一つずつ書きためている発明アイデアの中の112番目「目で読める点字」が出発点です。ちなみに、「Braille(ブレイル)」は点字を開発したルイ・ブライユの名前が由来。「Neue(ノイエ)」はドイツ語で、”新しい”を意味します。

参考:cococolor

「僕はなぜ点字が読めないんだろう?なんでこの場所に点字が書いてあるんだろう?」から生まれた、この画期的なアイデアは今後多くの人を助けていけるはずですね。

Braille Neueとコラボ洋服

2020年5月にはブランド・FARPBOISから、Braille Neueの点字が入った、コラボ洋服が販売されていた様です。

このブランドの店員さんかどなたかのブログで洋服の写真を観たのですが、普通にオシャレで、かつ実用性もあって、Braille Neueの点字もいい感じにプリントされていて、素敵でした。

スタイリッシュな点字。

私の周りではまだBraille Neueは観た事ないのですが、青の文字と黒の点字の配色が素晴らしく、今まで観た事ないスタイリッシュな点字だなと思いました。

私も「点字って難しそう」というイメージがありましたが、晴眼者と視覚障害者、どちらの事も考え、読めるこの点字は本当に画期的だと思います。

もっとこのBraille Neueが世間一般に広がって、どんどん認知され、活用されていくと、もっと全員が暮らしやすい社会になると思います。もっとこの素敵な発明が、世界的にも浸透します様に。

参考写真

画像・引用:Braille Neue|100BANCH

関連サイト

きっかけは先輩の無茶ぶり、20代の若き発明家が指でも目でも読める「新しい点字」開発の道のり 東洋経済ON LINE(2022年)

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。