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あなたは「粉瘤」もしくは「アテローム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
粉瘤、もしくはアテロームとは、皮膚にできる良性腫瘍の一種です。
聞いたことがない、もしくは言葉だけは聞いたことがあるという人がほとんどではないかと思います。
ツワブキもまた、実際に自分の体に粉瘤ができるまで、言葉を聞いたこともありませんでした。
今回の記事では、そんな粉瘤について、どんなものなのか、治療法はどういったものなのかなどを書いていきたいと思います。
吹き出物? ニキビ?
ツワブキがまだ高校生だった頃の話です。
ある時、私は右足の付け根に何か小さなこぶのようなものができているのを見つけました。
「吹き出物かな? それともニキビ? どっちにせよ、変なところにできるなあ」
ちょうど下着の触れる位置だし嫌だなあ、と思いつつ、まあ自然に治るだろうとその時は放っておきました。
しかし、しばらく放っておいているうちに、こぶがだんだん大きくなってきました。そのうち、赤く腫れて熱を持つようにもなりました。
こぶがある場所が場所なものですから、腫れてしまうと歩くときに擦れて痛みます。そのせいで妙な歩き方になりながら、私はやっと「まずいのでは?」と思いました。
腫れたこぶが何かの拍子で破れたのか、どろっとした膿のようなものが出てきた時もありました。いよいよまずいような気がして、私は病院に行くことにしました。
何科にかかればいいのか分からず、一応肌に出来ている謎の物体だから、ととりあえず皮膚科に行ってみることにしました。
妙な場所に出来た妙な吹き出物の話を医師にして、実際に診てもらうと、あっさり妙な吹き出物の正体が分かりました。
曰く、それは「粉瘤」というものだというのです。
「粉瘤」ってなんだろう?
粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂が溜まることによってできる良性腫瘍の総称です。
角質や皮脂は本来、皮膚から自然に剥がれて落ちるものですが、それが剥がれ落ちずに溜まってしまうため、粉瘤は徐々に大きくなります。
体のどこにでもできる可能性がありますが、顔、首、背中、耳の後ろなどにできやすい傾向にあると言われています。
粉瘤は数mmから数cmのやや盛り上がった半球状の腫瘍です。中央に黒点状の開口部が見えることもあります。
ほとんどの粉瘤は、医学的な分類で言うと「表皮嚢腫」というものに分類されます。表皮嚢腫は、毛穴の上方部分の皮膚がめくれかえって皮膚の下に袋状の構造物ができたものです。袋の部分は、表皮と同じ構造をしています。
引用元:皮膚科Q&A-アテローム(粉瘤) Q2 アテロームにはどんな種類がありますか?
そのほか、外毛根鞘性嚢腫や多発性毛包嚢腫と呼ばれるものもあります。
外毛根鞘性嚢腫は頭部に発生することが多く、表皮嚢腫よりもややかたく触れることが多いとされています。また、多発性毛包嚢腫は、多発性とある通り腕や首、脇などにたくさんできるものです。
どの場合も全て良性の腫瘍であり、命に関わるようなものではありません。
また、悪性化することもほとんどありません。
しかし、ツワブキがそうだったように、皮膚開口部から細菌が侵入し、化膿してしまう場合はあります。化膿すると、患部が赤く腫れ上がり、痛むようになります。この状態の粉瘤を、炎症(化膿)性粉瘤と呼びます。
軽い炎症の場合は抗生物質を服用することで治りますが、炎症がひどい場合は膿が溜まってしまいます。その場合は抗生物質を服用するだけでは効果が少ないため、表面を少し切開して膿を出してしまった方が良いこともあります。
「粉瘤」はどうやって治療する?
粉瘤の治療は、外科的切除手術によって行われます。
簡単に言えば、メスを使って粉瘤を表面の皮膚ごと切り取って縫ってしまうということです。
粉瘤の手術では、表面皮膚の切開は最小限にすることができるため、皮膚の傷跡は小さく目立たなくすることができるので安心です。
よほど大きなものでなければ、局所麻酔かつ日帰り手術が可能なところも助かります。
また、へそ抜き法(くり抜き法)と呼ばれる簡単な手術法もあります。
へそ抜き法とは、局所麻酔をした上で、粉瘤の表面の皮膚開口部の部分にディスポーザブルパンチという直径4mmほどの円筒状のメスを刺し込み、表面の皮膚とともに袋状構造物の一部をくり抜く方法です。
くり抜いたあと、内容物を揉み出しながら、袋そのものもできるだけ掻き出します。傷口は縫わないので、完全に塞がるまでには約2週間〜3週間ほどかかります。傷跡は、最終的にはニキビ痕程度のへこみになります。
通常の方法で切除するよりも施術時間が短いというメリットがありますが、完治までの日数が長くなるデメリットを持ちます。また、足の裏にできた粉瘤や、内容物が完全に固形化した粉瘤には適しません。
しかし、どの手術法でも粉瘤が化膿している場合は手術ができません。その場合は、まず抗生物質を服用するなどして炎症を治してから改めて手術をすることになります。
また、粉瘤はあくまでも良性腫瘍なので、切除をするかしないかは本人の意志に委ねられます。しかし、粉瘤を放置すると炎症を起こしたり、非常に大きくなってしまったりということも考えられます。そのため、ある程度以上の大きさになったものは切除する方が良いと考えられています。
ツワブキは、また化膿して歩くのに支障が出るのは嫌だったので、思い切って手術をしてもらうことに決めて粉瘤を切除しました。
その後粉瘤ができることは今のところなく、何事もなかったかのように生活できているので、あの時切除を決めてよかったと思っています。
あれ?と思ったら病院へ
粉瘤は良性腫瘍であるため、気にならない場合は放置しても問題になりにくいです。
しかし、化膿したり巨大なものになったりするリスクがある以上に、病院へ行かず自己診断して終わらせてしまうのが最も危険な行動です。
大したことはないだろうと思って放置したら、もっと別の病気が隠れていた。
そのような事態を防ぐためにも、粉瘤というものについての知識をつけてもらうとともに、決して自己診断せず、気になることがあったらぜひ病院で診てもらうことをここでお勧めしておきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考サイト
・皮膚科Q&A-アテローム(粉瘤)
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/index.html
・Doctor‘s File-粉瘤
https://doctorsfile.jp/medication/341/
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