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2019年(平成31年/令和元年)5月1日、平成天皇の譲位により即位した令和天皇(今上天皇)。
令和天皇は、初代の神武天皇から数えて第126代の天皇です。
この「令和」という元号名は、ここ福岡県の太宰府市がゆかりの地です。
それで私は、元号が変わる頃に太宰府市にある「都府楼跡(太宰府政庁)」遺跡に行ってみたところ、令和と言う元号の元になった「万葉集」に掲載されている和歌が書かれた案内板も建っていました。
その様な歴史のある元号や天皇家ですが、今国連から、「女性差別」ではないかと指摘を受けています。
これはいったい、どういうことなのでしょうか?
今回は、日本史大好き「金次郎」が、日本の天皇制や女性差別について書いてみます。
国連、皇室典範を女性差別と〝改正勧告〟
国連の女性差別撤廃委員会は10月29日、スイス・ジュネーブで、日本の皇室の皇位継承を男系男子に限る皇室典範の規定は、女性差別撤廃条約の理念と「相いれない」と指摘し、皇室典範の改正を勧告しました。
皇室典範には
・第1条「皇位継承者は、男系男子に限る」
という文言があるのですが、この文言を「女性差別だ」ということで、訂正する様に求めているというのが今回の顛末です。
これについては日本政府も
・皇位継承のあり方には歴史や伝統が背景にあり、国家の基本をなすものであるため、委員会がわが国の皇室典範について取り上げることは適切ではない
と反論しています。
この女子差別撤廃委員会は、8年前の2016年にも皇室典範の見直しを求めようとしましたが、日本政府の強い反論を受け、草案の段階で削除されてしまった経緯があります。
詳細については、下記参照元記事や「皇統を守る国民連合の会」会長の葛城奈海氏の講演を記録した画像をご覧ください。
参照元:(zakzak:夕刊フジ)国連、皇室典範にとんでも〝改正勧告〟皇位継承を男系男子に限る規定に「女性差別」 葛城奈海氏「日本自身が毅然と決めること」(2024年10月30日)
引用元:(日本会議チャンネル)日本人が受け継いできた美学・葛城奈海氏(ジャーナリスト・女優)(2022年12月28日)
天皇制の始まり
日本の天皇制は縄文時代まで遡ります。
紀元前660年2月11日(神武元年)、初代天皇である神武(じんむ)天皇が即位します。
神話上の天皇とも言われていますが、実在したと言う証拠も現在少しずつ出て来ています。
現在の皇居に当たる神武天皇の居所は
・「延喜式」では 「畝傍橿原宮(うねびのかしはらのみや)」
・「古事記」では 「畝火の白檮原宮(うねびのかしはらのみや)」
・「日本書紀」では「橿原宮(かしはらのみや)」
引用元:(京都通百科事典)神武天皇(じんむてんのう)
と、全ての古文書の記述から、奈良県橿原市に有ったと推定されています。
また、橿原市役所にも以下の様に書かれています。
記紀によると、東征により大和を平定した神武天皇はヒメタタライスズヒメ(三輪山に座すオオモノヌシの娘)を妃とし、畝傍山の東南・橿原の地で宮を建て、初代天皇として即位したとされています。
その橿原宮の推定地に、1890(明治23)年に建てられたのが橿原神宮です。明治時代には神武天皇即位の日を西暦BC660年2月11日とされ、紀元節の祝日となりました。
現在、2月11日は建国記念の日となっています。
引用元:(橿原市役所)記紀と「橿原(かしはら)」(2023年3月28日)
実は、過去に8人も存在する「女性天皇」
「皇室典範」は、1889年(明治22年)に明治政府により発布された「大日本帝国憲法」とともに、制定されました。
この時に「皇位継承者は、男系男子に限る」という条文が初めて制定されます。
ですので、明治時代以前には「女性天皇」も存在しました。
古墳時代
・第33代 推古(すいこ) 天皇
飛鳥時代
・第35代 皇極(こうぎょく)天皇
・第37代 斉明(さいめい) 天皇
・第41代 持統(じとう) 天皇
・第43代 元明(げんめい) 天皇
奈良時代
・第44代 元正(げんしょう)天皇
・第46代 孝謙(こうけん) 天皇
・第48代 称徳(しょうとく)天皇
江戸時代
・第109代 明正(めいしょう) 天皇
・第117代 後桜町(ごさくらまち)天皇
※皇極天皇は斉明天皇として、孝謙天皇も称徳天皇として2度即位しています。
専門用語で「重祚(じゅうそ又はちょうそ)」と言います。
参照したホームページでの説明にも書いてありますが、ほとんどの女性天皇は皇太子様が幼少の為に中継ぎとして即位された方が多いです。
ですので「男系」という系譜は、初代神武天皇から守っています。
参照元:(nippon.com):歴代の女性天皇 : 過去の10代8人はいずれも 父方に天皇の血筋を引く“男系”(2020年6月26日)
世界各国の王室はどうか?
では、世界の王室はどうでしょうか?
国王制をとっている国は、29ヶ国ありますが内訳は以下のとおりです。
・男子にのみ継承権を認める国:17国
・女子にも継承権を認める国 : 7国(カナダとオーストラリアの2国はイギリス連邦に所属します)
・男女で優先順位をつけない国: 5国
国王制をとっているのはヨーロッパの国々が多いですが、イギリスとスペインは昔から王室の女子に王位継承権を認めています。
それ以外の国ですと、 約100年前にオランダとルクセンブルク、そして1953年にデンマークが
・ 男子の継承者が存在しなかった
と言う理由で、 女子が君主の地位につくことを認めるようになります。
ただしこれは、 男子がいなかった場合にのみ女子が継承するという制度です。
1979年には、スウェーデンが男女を問わず第一子優先で継承権を認めるようになります。
その後、 オランダ・ノルウェー・ベルギーがこれに続きます。
現在、イギリスではウイリアム王子がエリザベス女王の後を継ぎましたし、 スペインや デンマークでも 王位継承権の男女平等化が議論されています。
参照元:(国立国会図書館)諸外国の王位継承制度 ―各国の憲法規定を中心に―(pdf形式19ページ)
現在の日本の皇室の現状
この様に、世界の王室でも男女平等の時代に合わせようと言う機運が高まっています。
日本の国会でも天皇制については、女性天皇も含めて議論されています。
・2700年近く男系で続いてきた天皇制の伝統を現代で途切れさせて良いものか?
が焦点になっています。
それは、現在日本の皇室で男系男子の皇位継承者が継承順位順に
1位:秋篠宮文仁(あきしののみや ふみひと)親王(58歳)
2位:秋篠宮悠仁(あきしののみや ひさひと)親王(18歳)
3位:常陸宮正仁(ひたちのみや まさひと)親王(88歳)
の3人しかいないからです。
参照元:(宮内庁):皇室の構成図
※ この記事を書いていた11月15日午前6時32分、三笠宮百合子様がお亡くなりになりました。
参考元:(毎日新聞)三笠宮妃百合子さま逝去 101歳 皇室最高齢、宮家を支え(2024年11月15日)
それで一案として
・第二次大戦後、日本に進駐したGHQ(連合国最高司令官総司令部)により、皇室維持の経済的理由から皇籍離脱(臣籍降下)を余儀なくされた旧宮家を復帰させる
と言う案も出ています。
この時臣籍降下した宮家は11宮家有りましたが、既に5つの宮家で男子の跡継ぎがいなく断絶しており、残り6つの宮家の1つ伏見宮家も博明王(92歳)に男子がおらず、断絶見込みの状態です。
旧宮家の戦前戦後の様子については、以下の記事に詳しく掲載されています。
参考:(nippon.com):皇位継承で注目される「旧宮家」とは(前編):「もう一つの天皇家」の歴史をひもとく(2022年4月18日)
終わりに
男性と女性、生まれる比率は「女子を100」とした場合、「男子は105」と若干男の子が多いと言うのは参議院議員調査室の調査でも明らかになっています。
参照元:(参議院常任委員会調査室・特別調査室):都道府県別、時系列及び国際比較で見た出生時の男女比(pdf形式4ページ目)
しかし、現状街中や通学途中の学生を見ていると、女性の方が多い様な気がします。
私が卒業した高校(男子校)も、他の男子校に続いて来年から男女共学になる事から「参議院の報告とは逆で、男性は少なくなっているのでは?」と感じています。
戦後の天皇は国王ではなく「象徴天皇」でして、国事行為への出席以外に色々な分野の研究も行っておられます。
・昭和天皇(植物や菌類の研究)
・平成天皇(ハゼの分類の研究)
・令和天皇(「水上交通」をテーマに水にまつわる研究)
世界的に見ても長い歴史のある家柄ですから「なんとか男系で続けられる方法は無いのかな?」と思いますが、後継者の人数を見る限り厳しそうです。
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記事を読ませていただきました。今後の皇室がどうなるのか?気にはなります。男子が産まれても危惧な状況は解消できないのでは?と思います。これからも記事を楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
現在の皇位継承者3人を見ても、お二方は年齢的に難しいです。
旧宮家の方を復活させても、おっしゃる通り難しい事は同じだと私も考えています。