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こんにちは、翼祈(たすき)です。
急性出血性結膜炎の原因は、エンテロウイルス70とコクサッキーウイルスA24変異株という2種のエンテロウイルスによって感染します。感染してから24時間前後という非常に短期間で発症するのが大きな特徴となります。
潜伏期はエンテロウイルス70が平均24時間以内であるのに対し、コクサッキーウイルスA24変異株では2日から3日とやや長い傾向です。
急性出血性結膜炎はウイルス性感染症で、大流行がない時には発生に季節性は見受けられません。季節に関係なく流行ります。
6歳から7歳以下の小学生以下の子どもと20代から30代の若い世代の感染者が多く、特に集団生活を送る1~4歳に多く見受けられますが、大人が感染することもあります。
感染力は非常に強く、アフリカで発生した流行性結膜炎が世界的大流行を繰り返し、その後1971年以来日本でも流行する様になりました。
1969年に初めて出現し、アポロ11号の月面着陸とほぼ同時期であったことから、以前はアポロ病という名前で呼ばれ、世界中で大流行を及ぼしたことがありましたが、最近は大きな流行はほとんど見られません。
日本では各地での小規模な流行が報告されていますが、大規模な流行は沖縄でのみ過去4回発生しています。
多くはおよそ1週間で自然治癒し、アデノウイルスによる流行性角結膜炎に比較しても軽症で済みます。
今回は急性出血性結膜炎の症状、感染経路、予防策について発信します。
▽症状
画像引用・参考:急性出血性結膜炎 社会福祉法人 恩賜財団 済生会(2023年)
ゴロゴロ感といった異物感や、突然強い眼の痛みで始まり、結膜の充血、特に羞明(しゅうめい=通常の明るさでも眩しく感じる状態)という症状が多く見受けられ、急性出血性結膜炎に感染した後1日以内に引き起こします。
球結膜(白目を覆う表面の膜)に多発性の小さな出血斑(出血によって生じる赤や紫の斑点)が現れ、その後すぐに融合して出血斑に至ります。
さらに白目部分が赤く染まる結膜下出血(結膜の下にある小さい血管が破れて出血すること)を伴って、めやに(眼脂)、まぶたの腫れ(眼瞼浮腫)などの症状も高頻度に見受けられます。まぶたの裏の粘膜にできる小さなブツブツの結膜濾胞(ろほう)、角膜表層の弥漫(びまん)性混濁なども出現し、異物感、眼痛も強まります。
高齢者では結膜浮腫(白目の下に水がたまった状態)が出現するケースが多く見受けられます。
全身症状として疼痛、頭痛、呼吸器症状、発熱が見受けられる場合もありますが、これらは1週間程度で軽快に向かいます。
▽合併症
およそ1週間続いて、急性出血性結膜炎が自然治癒することが多いですが、エンテロウイルス70ではごく稀に感染して6~12ヵ月後に四肢の運動麻痺をきたす場合があります。
▽感染経路
接触感染という、ウイルスで汚染されたタオルや洗面器などに触れること、ウイルスが付着した手で眼に触れることなどで感染します。
このウイルスは、感染力が強力ですが乾燥や熱に弱いです。結膜炎症状があるおよそ1週間は、急性出血性結膜炎に感染する危険性がありますので、感染を広げない様に注意して下さい。
▽診断基準
臨床症状から急性出血性結膜炎と診断します。急性出血性結膜炎が疑われる時には、まぶたの裏にブツブツができていること、結膜下出血があること、目の痛み・目やに・異物感を伴ったまぶたの腫れがあることなど特徴的な症状が出現している否かを確認します。
最も特徴的な球結膜に多発する小出血斑は、上まぶたを引き上げて診察をします。その時に、70~90%の患者さんに結膜下出血が見受けられます。濾胞と結膜に強い充血が発生し、まぶたの腫れや色が薄く粘り気の少ない目やにの漿液性眼脂(しょうえきせいがんし)を伴っている場合が多いです。加えて、耳の前のリンパ節腫脹が見受けられるケースもあります。
潜伏期間はエンテロウイルス70が1日、コクサッキーウイルスA24変異株は2~3日なことから、流行性角結膜炎(はやり目)との鑑別は非常に難しいです。ウイルスを特定する病原診断は結膜をぬぐった液、結膜擦過物(けつまくさっかぶつ)を用いたRT-PCR検査で実施されます。
▽治療法
急性出血性結膜炎の原因となるウイルスに対する抗ウイルス薬は現在のところ開発されておらず、特別な治療法はないことから対症療法となります。症状によってウイルスの感染を予防するため抗菌薬の点眼や、炎症を抑える薬の点眼を施す場合があります。
▽予防策
急性出血性結膜炎に感染する原因となるウイルスに効くワクチンはありません。
・顔や目を触る前に流水で手指を石けんでしっかりと洗うこと、タオルなどの共用を避けることが重要な行動です。
・熱に弱く、急性出血性結膜炎の患者さんの触ったものは、90℃で5秒の煮沸消毒するとウイルスが死滅します。ウイルスで汚染した物品や器具の消毒には、煮沸消毒または次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)やアルコール(80%エタノール)等で拭くことが有効な手段です。
・点眼時など目を拭く時には、ティッシュペーパーなどの使い捨てのものを使い、拭いて乾燥しておくと、滅菌され急性出血性結膜炎の感染拡大を予防することが可能です。
・家族内では、枕、洗面器、タオル、その他目薬など目やにや涙で汚れそうな物の共用は避ける様にしましょう。急性出血性結膜炎の患者さんは洗顔の時に、洗面器を用いず、洗濯を別に分けて洗いましょう。急性出血性結膜炎の患者さんの触る部分は十分にアルコール消毒を行いましょう。
・眼に触れたらすぐに流水と石けんで手洗いをしましょう。
・入浴は家族内で最後にするか、シャワーのみで済ませましょう。
・できるだけ周囲の人との接触を避ける様に心がけましょう。
参考サイト
▽登園・登校の目安は?
学校保健安全法では、病状により学校医その他の医師において急性出血性結膜炎の伝染の恐れがないと認めるまで出席停止とされています。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)として定義され、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。
目の病気で言えば、代表的な感染症は、流行性角結膜炎(はやり目)や、プール熱(咽頭結膜熱)だと思います。
咽頭結膜熱は以前はプール熱ともテレビで紹介されていましたが、大流行が始まった2023年夏頃に、プールを運営する関係者から、「プールに行くと、感染する様な風に言われて、風評被害を受けているから、プール熱とは呼ばないで欲しい」という申し出が多数寄せられ、今ニュースで感染者数をアナウンスする時には、咽頭結膜熱で統一されています。
私が目の感染症にかかったのは、この記事で紹介したものではありませんが、ものもらいです。前の職場に行き始めて、1ヵ月以内にものもらいを発症しました。その時にクセになったのか、時々目やにが溜まったりとなっている時があります。
2023年に2回ほどものもらいになって眼科に行こうとしましたが、1回目になった時に、処方して頂いたのが、ドラッグストアでも販売している、ソフトサンティアで、2回目の時に「あ、そういえばソフトサンティアで治ると言われたな」と思い出して、眼科には行かず、ソフトサンティアを差して完治しました。
急性出血性結膜炎は潜伏期間こそ短いものの、治るのも早いことに安心しました。感染症はどれも嫌ですが、重症化することが少なく、軽症で済む感染症はいつも書いていて、ホッとします。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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