『ピンクマネー』から考えた、分断と差別のあるアメリカでの今後のLGBTQの人たち。

結婚式を挙げる同性カップル

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事は2023年の話となるのですが、アメリカにおけるLGBTQの扱い方をまず取り上げます。

アメリカの南部などでは学校でのLGBTQの教育を禁止したり、全州を通して学校図書館などからLGBTQなどに関連する書籍を排除する「ブック・バン(禁書)」が広がっています。保守派の一部が子ども達へのリベラルな価値観の浸透に抵抗しているからでした。

2023年6月、ニューヨーク中心街の美術館「フォトグラフィスカ」の企画展で、「ブック・バン」運動の標的となった書籍十数冊が並んでいました。LGBTQや性自認を題材としたノンフィクション、白人中心の価値観への違和感を描いたノーベル文学賞作家トニ・モリスンさんの[青い眼がほしい]などの名作です。

これまで公共の図書館や学校で読めるものばかりでしたが、最近の「ブック・バン」運動の広がりで各地の図書館などから撤去されました。企画展は、こうした本を閲覧できる状態で見学者に示し、読書や表現の自由への介入に抵抗するのが狙いです。

主催者の一人である日本出身の芸術家の女性は、「身近な読書の選択肢を無くすことは、貧困家庭を主体とした子ども達の学びの機会を奪い、将来の格差拡大にも結び付きます」と危惧します。

「ブック・バン」運動を主導するのは、保守勢力の強い南部フロリダ州などの保護者団体です。現在は「子と親にとって破壊的な政策と戦う」ことを提唱し、その活動は全米45州に広がります。人権監視団体の報告では、LGBTQなどを教育現場に持ち込むことに抵抗していて、他の極右過激派と合同で各地の図書館や教育委員会に圧力をかけています。

図書館協会によりますと、2022年は全米で1269件の書籍排除の要求があって、2022年の1.7倍に上りました。共和党優勢のフロリダ州、テキサス州、近年の大統領選では激戦となるペンシルベニア州が目立ちます。

この様に、LGBTQへの理解が高い国でも、この様な問題が生じています。この記事で紹介するのは、『ピンクマネー(Pink Money)』です。

『ピンクマネー』とは、LGBTQなど性的マイノリティの人々の消費意欲や購買力のことを指します。ピンクマーケット(Pink Market)や、ピンクエコノミー(Pink Economy)とも呼ばれています。

LGBTQの人口は、世界人口の5%から10%を占めていて、『ピンクマネー』の規模は世界で3.9兆ドルにのぼります。経済的、社会的影響力の大きさから注目を集めています。

今回は、『ピンクマネー』の話題を中心に、アメリカにおける、LGBTQのことを考えていきたいと思います。

活気湧く『ピンクマネー』と、その課題とは?

ピンクはLGBTQの人たちのシンボルカラーだといいます。こうしたLGBTQのコミュニティーの需要に、企業が着目する動きが今、活発になっています。

カリフォルニア州には、LGBTQの人たちを対象にしたツアーを提供する会社もあります。利用者の1人の男性は、より安心して旅行を楽しめる様に、このサービスを活用する様になりました。

男性は、

「旅行先で周囲の人から『妻はどこ?彼女はどこ?』と聞かれると気まずい感じになります。少し値段が張っても、素晴らしい体験をするためにちょっと多くお金を出すのは全く構いません。大切で、快適に扱われていると感じられるサービスにお金をかけたいです」

と述べました。

ニューヨークには、LGBTQの人たちに特化した保険や銀行などの金融サービスの提供を目指すスタートアップ企業もあります。

LGBTQの人たちは、同性のカップルであることを理由に、保険やローンの契約が円滑に進まない事案などもあるためだとします。

その中で、とある企業が、思わぬ反発を招いた事例も出ています。アメリカのビール大手「アンハイザー・ブッシュ」はLGBTQの人たちへの理解を促進しようと、シンボルの虹を描いた缶ビール「バドライト」を販売しました。

「バドライト」は、「バドワイザーのライト版」で、ビールでは20年超に渡ってアメリカの売り上げ1位を保ってきました。

さらに2023年4月、トランスジェンダーの俳優に、本人の顔のイラストが入った缶ビールを贈りました。その結果、伝統的な性の道徳観を重んじる保守派から激しい抗議を受けました。SNS上で「二度と飲まない」「ボイコットする」などといったコメントが相次いで投稿されました。

「バドライト」を買えば、最大15ドル(およそ2150円)を実質的に払い戻す―。アメリカのメディアによりますと、地域によっては事実上、無料になる値引きをせざるを得ませんでした。

「アンハイザー・ブッシュ」は、「人々を分断する議論に参加しようという意図は全くありません」などと声明を発表しましたが、不買運動の広がりで、アメリカでの売り上げトップの座を明け渡す事態となりました。

アメリカ紙のウォールストリート・ジャーナルによりますと、2023年5月になって首位を明け渡しました。2023年6月上旬の売り上げ実績は、2022年と比べておよそ24%も下がりました。

参考:“ピンクマネー(Pink Money)” アメリカ経済に旋風?|おはBiz|おはよう日本(2023年)

テキサス大学オースティン校 エリカ・シスゼック 准教授は、LGBTQに対する社会の考え方が多様化する中で、企業もその姿勢を常に問われる様になっていると指摘しています。

性やジェンダーの概念はより流動化していて、それがさらに一般的になっています。組織やブランドは、性やジェンダーを巡る世論の変化を認識することが重要です

と主張しています。

アメリカでは、いわゆるZ世代の若い世代は、それ以外の年代と比べてLGBTQのコミュニティーに属すると思っている割合が多く、この世代が本格的に働きに出て、お金を稼ぐ様になる時代が到来すると、もっと『ピンクマネー』市場が活性化すると推定されています。

2023年のその他の動き

LGBTQの人々が歩いたニューヨークのパレードは全米最大規模で、30度近い暑さの中、参加した人は多様性を表す虹色の旗や衣装を身に着けて、紙吹雪が舞う目抜き通りをバイクや車、徒歩で行進しました。アメリカのメディアによりますと、7万5000人が行進し、およそ200万人の観衆が集まりました。

パレードは1969年6月にニューヨークのゲイバー[ストーンウォール・イン]に立ち入り捜査した警察に客らが反発した暴動を記念した恒例行事で、2023年6月24日〜6月25日には、全米の主要都市でもパレードなどが実施されました。

アメリカでは2015年に連邦最高裁が同性婚の権利を認定しました。調査機関ピュー・リサーチ・センターの2023年の世論調査によりますと、同性婚への支持は63%と反対の34%を大きく上回っています。

南部フロリダ州からパレードに駆けつけた女性Aさんは、「みんなが表現の自由を持ち、好きな本を手に取る権利があります」と声を挙げました。

また、米連邦最高裁は2023年6月30日、西部コロラド州のウェブデザイナーの女性Bさんが、信仰上の理由から同性婚に関連する仕事を拒否することを支持しました。憲法が定義した信仰や言論の自由に該当するという判断でした。女性BさんはLGBTQへの差別的な扱いを禁止する州法に関して憲法違反だと言い、訴訟を起こしていました。

最高裁判事9人の中で長官など保守派6人による多数派意見でした。今回の判断を受け、LGBTQの権利を保護する法律を制定している他の州にも影響が広がる恐れがありそうです。

この様に、2023年上半期だけでも、LGBTQ関連の様々なことが起きたアメリカ。

2024年は、大統領選があって、連日の様にその報道が取りただされています。どちらが大統領に選ばれるかで、またLGBTQの人たちの立場などが大きく変わると思います。

自由の国と言われていても、分断や差別も多いアメリカ。世界情勢に影響を与える国であることで、どの様な影響があるのか、世界中が注目しています。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。