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皆さんこんにちは。Pinkです。「メンタルヘルス」は長い間、社会問題のひとつとなっていて、日本では「精神疾患」の総患者数が2020年には、614.8万人に達したとのことです。
3年前と比べると、約1.5倍の大幅な増加だと言われていて、アメリカや他の先進国にも同じような傾向が見られ、改めて「メンタルヘルス」の問題に注目が集まっているとのことです。
一般的に「精神疾患」には色々な治療法があり、症状が軽い場合は「精神科」に通いながら医師やカウンセラーと共に、薬や認知行動療法で治療していくとのことですが、症状が重い場合は「精神病院」に入院する必要が出てくるそうです。
今の時代、ジムやカフェテリアなど快適に過ごせる施設が整った「精神病院」も多いそうなのですが、患者は自宅で過ごす日常とは離れた生活を送らなければならないとのことです。
そのような「メンタルヘルス」のケアに、一風変わった方法で長年取り組む町があるという記事を読み、今回紹介したいと思います。
ベルギーの町-Geel(ヘール)
ベルギーの町「Geel(ヘール)*」(*以後ヘールと記載)には、「うつ病」や「統合失調症」といった「精神疾患」を抱える人々を、同じ町に暮らす家族が「里親」として迎え入れる制度があるとのことです。
患者は、病人としてではなく、一個人として尊厳をもって扱われることが特徴で、里親家族とゲームをしたり、家事を手伝ったり、テレビを見たりなど、きわめて普通の日常生活を送るそうです。
滞在期間は無期限で、里親家族が可能であれば何十年も同じ家族と暮らし続ける患者も多く、その多くには、里親家族と暮らす中で自信を取り戻したり、生きる気力を得ることができたり、大きな効果が出ているといいます。
私は「精神病院」に入院したことはないのですが、閉鎖的なイメージがとても強く、初めてこのことを知って、とても素晴らしい制度だと思いました。この制度はいったいいつから、どのようにしてできたのでしょうか。
「里親制度」の始まり
「ヘール」で「里親制度」の元となる仕組みが出来始めたのは、なんと!700年以上前の13世紀にまで遡るそうです。
NPRの記事によると、「ヘール」には、アイルランドから紀元600年頃に、聖ディンプナという聖職者が町を訪れ、「精神疾患」を抱える人々のために生涯を捧げ、この地で亡くなったという伝説があるとのことです。
この伝説を根拠に、彼女を称賛するため、14世紀に聖ディンプナ教会が建てられ、ヨーロッパ中で「精神疾患」を抱える人々や、その家族に人気の巡礼地となったそうです。
また、1480年ごろには、巡礼者を収容するための小さな「ホスピス」を教会の脇に建てたそうなのですが、教会の人気が高まったことで収容人数を超えてしまったため、市民に巡礼者の一部を受け入れてもらうようになったとのことです。
その後、制度は時代を経て整えられ、1860年代には、市の「州立精神病院」による専門的な支援が始まり、心理的な治療や、カウンセリングを提供することができる「デイケア施設」も作られていったそうです。
「里親家族」について
里親家族の中には、両親が「里親」をしていたため、子どもの頃から「精神疾患」を抱える人と一緒に育ち、自分が大人になってからも「里親」を続けているという人もいて、知り合いや親戚が里親家族となっている人も多いとのことです。
里親家族のひとりである人によると、これが普通で皆彼らと共に育ったので、他の方法(生き方)を知らないと記事で話しているそうです。「里親制度」は市民の生活に溶け込み、町のDNAとなっているとのことです。
現代では、女性も外に出て働く人が多くなり、制度が始まった中世のように家庭で常に患者と共に過ごすことが難しくなったことにより、それまでは1,000以上存在した里親家族の数は120にまで減っているといいます。
しかし、「ヘール」はこの仕組みを継続するため、より多くの家庭にアピールするための取り組みを行っているとのことです。その努力の甲斐もあり、近年ではこの里親制度がユネスコの文化遺産にも登録されたとのことです。
参考サイト:精神疾患を抱える人々の「里親」に。ベルギーの町で700年続く
下記より、YouTubeを見ることができますが、外国語となっています。
最後に
今回ベルギーにある「ヘール」という町の「里親」制度を知ったことで、日本の「メンタルヘルス」の問題において、参考になることが多いのではないかと思います。
最初に書いたように、「精神疾患」の治療は、「精神科」への通院や、「精神病院」への入院となると思いますが、社会問題のひとつとなっている今、別の方法で「メンタルヘルス」のケアをおこなう可能性もあるのではないでしょうか。
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noteでも記事を書いているので、よかったら読んでみて下さい!
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