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こんにちは、翼祈(たすき)です。
線維筋痛症とは、女性が発症しやすく、繰り返し全身を激しい痛みが伴う病気です。「カッターで切り付けられたかの様な痛み」「ズキズキする痛み」「針で刺されたかの様な痛み」など、患者さんによって痛みの程度や種類は異なります。時間帯、天候、精神的な状態などによってもその日の症状が変化するといいます。
2004年の厚生労働省の研究班が行った実態調査によりますと、主な症状として、全身または部分的にリウマチに似たこわばりや身体の痛みを感じたり、「倦怠感」「全身痛」「関節痛」「冷え」「頭痛」「身体のこわばり」「睡眠障害」「しびれ」「ドライアイ」「微熱」などの症状も多くの患者さんに見受けられると言われています。
このことで以前は筋肉リウマチと言われてました。また、不安・抑うつ状態、自律神経失調、集中力欠如、記憶障害などが現れるケースもあって、それらの症状が進行し、慢性的に持続したりします。
激しい痛みが全身に起こっているのに、血液検査や画像検査などを受けても、筋肉、骨、関節に異常は発見できません。そのことで、原因不明と診断されて病院を転々とし、線維筋痛症だと診断を受ける前に間に心身ともに疲れ切ってしまうという事例も少なくありません。
2011年の国の行った実態調査によりますと、線維筋痛症の患者数は国内に212万人と推定されています。ですが、実際に線維筋痛症と診断を受けているのその中のは数万人しかいないと言われ、まだまだ一般には認知されていないのが現実です。
今回は線維筋痛症の原因、診断基準、治療法などについてお知らせします。
▽原因
筋肉、骨、関節などの末しょう組織ではなく、脊髄や脳などの中枢神経系に痛みの原因があるということが判明しています。
人間の身体は、痛みを感じるとその信号が脳まで届きます。すると、脳からセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が送り込まれ、痛みを抑制する機能があります。ですが、線維筋痛症の患者さんでは、この痛みを抑制する経路が上手く機能しないことから、痛みが持続するのではないかと想定されています。
原因①脳内ネットワークの変化
脳内には、動いていない時に活動する神経のネットワークが存在します。線維筋痛症の患者さんでは、この神経のネットワークと、痛み体験に関係する脳の部位との結び付きが強靭になっていることが明らかとなっています。そのことで、何か特別な行動をしていない場合でも、痛みが襲って来る可能性があります。
原因②脳内炎症
脊髄や脳にはミクログリアと呼ばれる中枢の免疫担当細胞が存在し、免役機能を担当しています。線維筋痛症では、そのミクログリアが異常な活動を起こし、痛みに関わる神経回路の周囲で炎症を発生させ、痛みが起こしているのではないかという仮説があります。
▽診断基準
線維筋痛症の診断の基準は全身に至る所にある18ヵ所の「圧痛点」を指で押して、11ヵ所以上で「強い痛み」を覚え、かつ3ヵ月以上身体の広い範囲にズキズキとした痛みが襲っていることの大きく2つが挙げられます。
ですが、どちらも「自己申告」が判断材料となるために、「偏見」に苦しむ患者さんもいます。
日本線維筋痛症学会の公式ホームページに「診療ネットワーク」という、線維筋痛症を診療できる全国の病院をまとめたリストがあります。
また、厚生労働省の承認を受けている「集学的痛みセンター」という痛みを総合的に診察してくれる病院もあります。もし近くに専門的な外来がない時は、近くのリウマチ科、総合診療科、整形外科、ペインクリニック、精神科などを、まずは受診してみて下さい。
▽治療法
線維筋痛症の治療には「薬物治療」と「非薬物治療」の2つとなります。どちらか1つの治療だけで症状が改善されることは困難で、両方取り入れることが有効な治療法となります。
原因不明で特効薬はありませんが、ここ数年で痛みを伝えることをブロックする治療薬が開発されています。
痛みを抑制する「デュロキセチン」「プレガバリン」という治療薬が線維筋痛症に保険適用です。「デュロキセチン」は、ノルアドレナリンやセロトニンという痛みを抑制するのに大切な神経伝達物質の量を増加させます。「プレガバリン」は、脳内で痛みを発信する神経伝達物質の量を減少させます。また、症状に適用させて、抗けいれん薬、抗うつ剤、鎮痛薬なども処方されます。
◉非薬物治療
「マッサージ」「有酸素運動」「ヨガ」「太極拳」「認知行動療法」「マインドフルネス」などの中で、自分に適した治療法をライフスタイルの中に導入していきます。
参考:線維筋痛症とは 全身に激しい痛みを伴う症状や原因、治療法 NHK 健康ch(2021年)
線維筋痛症の治療で大切なのは『不愉快な時間を少なくし、快適な時間を多くする』ことです。線維筋痛症は中枢神経の病気なので、ストレスを軽減させることが痛みを和らげることに直結します。そうするために大切なことが、自分のことをよく理解することです。自分が抱えるストレスの原因を理解し、共存していくことが大事となります。
また、線維筋痛症の患者さんの周囲の人が、『傾聴』を意識することが大切です。専門家は、「痛みのある場所が何か悪いわけではありません。線維筋痛症ではない人は「痛み」が脳まで伝わらない様に抑える神経の回路がありますが、その回路が上手く機能していないのではないかと言われています」と話し、痛みは外見から見て判断できないことで、線維筋痛症の患者さんの中には「健康に見えて、見た目に異常がないのだから痛みがあるわけがない」「疲れた、痛いなどと言ってサボらないで」とそういう風に見られて苦労し、言われて傷付く人もいます。
ですが、線維筋痛症には周囲が想像絶する様な痛みが存在します。線維筋痛症の患者さんの気持ちをきちんと受け止めてあげることがストレスを和らげ、痛みを減少させます。
線維筋痛症を発症しやすい人とは?
線維筋痛症に詳しい専門家は、患者は実直で真面目な人が多く、「増幅した強いストレス」が生じ、「神経」に問題が発生することが発線維筋痛症の発症する素因の1つだと仮説しています。
この難病は全身に激しい痛みが常にある病気です。専門家の人も、「好きな音楽を聴いたり、美しい絵を眺めたり、そういうことを行うと総合的に痛みは軽減されます。痛みの回路と感情の動きは関連していますので、それを上手に活用することが重要です」と説明しています。
私も膝痛を抱えていますが、全身ではないので、線維筋痛症の患者さんの痛みは想像を絶するものでしょう。こちらの病気も、まだこれという治療薬がないみたいですね。私が病気や障害がさらに良くなる薬を待っている様に、線維筋痛症の患者さんにとっても症状が緩和される、良い薬が早くできます様に。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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