災害関連死で多い、災害で被災した後の高血圧の悪化。注意したいポイントとは? 

高血圧 災害

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事を書いている時、令和6年能登半島地震から、2週間が経ちました。

2週間が経ってから、災害関連死で亡くなる人のニュースをよく耳にする様になりました。

被災地では避難生活が長期化する中で、命を守るために被災者の健康の管理が重要な鍵です。

地震や豪雨などでの災害は、健康への大きな損害をもたらします。特に高血圧で発症するきっかけになる重篤な病気が急増します。阪神・淡路大震災が発生した時に実施した実態調査では、脳卒中で亡くなった人が1.9倍、心臓病で亡くなった人が1.5倍に急増しました。

過去に見舞われた災害では、血圧に異常が見られなかった人も避難所で高血圧を発症していたケースが多く見受けられました。阪神・淡路大震災では、発生した1~2週間後に上の血圧(収縮期血圧)が平均で18mmHgまで上がりました。

災害が発生する前は上の血圧が120程度だった人も、災害が発生した後血圧が180以上になったという人も中にはいました。

上の血圧が20mmHg高くなる毎に心臓血管系の病気にかかるリスクは2倍になると推定されています。いつもは血圧が120の人が180まで上がると、発症するリスクは8倍近くに達してしまいます。

これは災害が発生した時間経過と、特徴的な死因を表したものとなります。

今回は災害と高血圧の因果関係を専門家の話を交えながら、お伝えしたいと思います。

災害発生時に、高血圧を悪化させないためには?

重大な病気に直結する高血圧へのリスクとその予防に関して、循環器内科が専門で、自治医科大学の苅尾七臣教授が回答しました。

災害が発生した直後は災害そのものによる「外傷、溺死、圧死」が死因では最多となり、1週間経過する前は不整脈などでの「突然死」が死因で目立ちます。

最も長引く疾患が、「心筋梗塞、脳卒中、心不全」など高血圧に関する病気で、災害が発生した後から数ヵ月間、比較的長い期間に高血圧のリスクが急増していきます。

過去の【災害関連死】でも、心筋梗塞や脳卒中、心不全、大動脈解離などで高血圧が原因で、亡くなった人が多く見られました。

高血圧が悪化した大きな原因は、精神的ストレスや生活リズムの乱れと推定されています。交感神経の機能が強まることで、身体から塩分を排出する働きが落ちます。その後で血液中の塩分が増加し、血圧が大幅に上がってしまいます。

また避難生活での感染症、日中活動量が低下し、脱水することなどといった、交感神経の機能が強まることが積み重なることで血液が固まり、血栓が血液中にできやすくなります。このことで脳卒中や心筋梗塞を発症していました。

過去の震災では、大きな余震が幾重にも続いたことや、もっと大きな余震が来るのではないか?という心配や恐怖、不安がストレスの原因になりました。

また避難所の暮らしでは睡眠リズムが乱れやすいです。

周りの人の歩く時の振動や出す声、音で眠れず生活リズムが乱れやすく、気になります。こうした環境の変化やストレスで、いつもは高血圧でない人でも高血圧を発症します。

避難生活の中で重大な病気を予防するために、苅尾教授が確認して頂きたいと呼びかけているのが以下の項目です。

10つの注意するポイント

・寒さ対策ができているか

・生活リズムが崩れていないか

・睡眠が乱れていないか

・運動が維持できているか

・体重が維持できて、減っていないか

・良質な食事を取れているか

・感染症を防いでいるか

・(高血圧の)治療薬を継続して飲めているか

・血栓を予防できているか

・血圧を管理できているか

その中でも、寒さ対策は重要で、室温が10度下がると血圧が10上がると推定されています。

特に高齢者の方は血圧が上昇する傾向が強く、衣服を着込み、靴下は足首までしっかりと履くなど少しでも身体を温める様にして頂きたいと言います。

また、苅尾教授が発信しているのが、起床時間と就寝時間を一定の時間にすることです。

規則正しい生活をすることで生活習慣の乱れを予防し、血圧の上昇を抑制できることに直結するからです。

そして寝る時は消灯し、睡眠環境を整備することも大事です。

また、日中は身体を動かす様に呼びかけています。最も効果的な運動は歩くことで、血液を循環させ、循環器を保護することが可能です。歩くのが困難であれば、その場で足を動かしたり、足踏みをしたりするだけでも十分な効果があります。

この様な軽めの運動は血栓ができない様に防ぐことにも結び付くといいます。

ジッと動かないでいると、4人に1人程度は血栓が血液中にできると言われていて、苅尾教授は意識的に身体を動かす様に呼びかけています。

▽5つの高血圧の予防ポイント

①非常食でも減塩を心がけること

カップラーメン、おにぎり、缶詰などの非常食は多くの塩分が入っている傾向です。

カップラーメンでは5g、梅干しおにぎりだと2gも塩分があります。高血圧の持病がある人の食塩摂取の目標値は6g未満と言われているので、一瞬で目標値を超過します。

大事なことは、おにぎりの具や、カップラーメンの汁など塩分を多く含んだものを残し、塩分摂取を抑制することです。

災害が発生している時に食べ物が限られる中で、食べ残しにくいという状況だと思います。実際に被災地では「周りの目が気になる」「せっかく支援物資で提供して頂いた食料だから」と全部食べてしまう人が多くいました。

1日1食しか食べられない様な状況下ではしっかりと食べた方が良いと言えますが、十分に食料が確保できる様になれば、周りの人に事前に高血圧患者だと伝え、食べ残しましょう。

②トイレや水分補給は我慢しないこと

過去に起きた災害では寒くて暗い屋外に仮設トイレが多く設置されていて、トイレを我慢してしまう事例が多かったといいます。トイレを我慢してしまうと水分を我慢してしまい、脱水症状を引き起こすなど病気のリスクが上がります。

1日1リットル以上を飲むことを目安に、水かお茶などの水分補給を意識して下さい。

塩分の入った飲料水や甘いジュースは避けて下さい。

③高血圧を発症するリスクは、仮設トイレを利用する時にも注意です

仮設トイレは寒くて暗い外に設置されている場合が多く、暖かい建物の中から移動する時に血圧が上がります。

また、洋式トイレだと、冷たい便座に身体が触れることで血圧が上昇することがあります。

その上で、便秘などのある場合は強くいきむことで血圧が上がり、高齢者になればなるほど血圧の上昇の割合が高い傾向です。

便秘にならないためには、いつもきちんと食事と水分を摂取し、運動も行い、身体を温めることが大切です。

④毎日、血圧を測ること

災害が発生している時は血圧の変動も大きい上、その血圧の変化は無自覚で分かりません。健康状態を把握する上で、自分自身で身体を確認することが重要です。

血圧計は避難所などに設けている場所が多いので、どの程度発症するリスクがあるか事前に確認しておくことが大事な行動なので、毎日血圧を測って下さい。

上の血圧(収縮期血圧)が3日連続で140mmHgを超えた場合は高血圧の可能性があります。お近くの医療従事者に相談して下さい。

⑤夜間の睡眠と日中の運動

睡眠中は副交感神経が機能して血圧を下げますが、睡眠の質が悪い状態だと副交感神経が働かず高血圧が悪化します。災害が発生した後の大変な中なので出来かねるかと思いますが、日中に運動を行うことで血流を促進しつつ、疲労で夜眠れる様にして下さい。

1日20分程度のウォーキングを行うことも良いでしょう。

参考サイト

災害時は高血圧に注意!死亡リスクも上昇 非常食での減塩など対策 NHK 健康ch.(2021年)

【解説動画】避難生活の高血圧 注意点は? NHK NEWS WEB(2024年)

普段の生活から1週間分の治療薬を持ち歩きましょう。

主治医と相談した上で、治療薬は常時手元に残る様にしておくと、非常時に安心できます。

お薬手帳に書かれている情報も重要となります。東日本大震災では発生した直後からDMATなどが被災地入りしましたが、ほとんどの人は自分が飲んでいる治療薬の名前を把握していなくて、現場が混乱しました。お薬手帳は通帳と同程度大事だと思って、コピーを財布に入れておくといった、治療薬の情報を迅速に持ち出せる様にして下さい。

災害が発生した時の高血圧は、事前の備えや現場での対策を図ることで防げます。その後を健康に過ごせる様に普段の生活から準備を始めておきましょう。

ニュースを観ていて、

他人事では思えない話がありました。

私が2023年に記事に書いた、移動式薬局、[モバイルファーマシー]が、被災地で薬を届けているというニュースの中にありました。

「薬が足りなくなったから、助かります」という笑顔を見せる声もありました。

ですが、さすがに全てのお薬に対応できるわけではないようです。

「私、糖尿病で、手持ちの薬が余り無くて、薬が欲しいのですが」という女性に、薬剤師の方が「すみません、糖尿病の薬は、持ち合わせていなくて、処方できないんですよ」と話されており、私と同じ基礎疾患の女性が、薬を処方して貰おうと思って、貰えなかったという話でした。

このことを見ていて、他人事には思えない、当事者には身に染みる話でした。

その前に、薬手帳のコピーを取っていて下さいという話は、少しだけ耳にしていて、今回この記事を書いていて、その必要性に気付きました。

災害関連死も、もちろん何の病気かは知りませんが、持病をお持ちの方が多いみたいです。

その人に持病があったか分かりませんが、体温が25度まで下がり、低体温症で亡くなり、早く病院に連れて行けば良かったと悔やみ、亡くなった女性の息子さんが涙を浮かべる姿も映っていました。

能登半島地震を受けて、基礎疾患があったり、障害者などの災害弱者は、本当に生きていくのも過酷なことを痛感しています。そういう人が環境の変化に弱いことも知っています。

私自身は今元気なのですが、それはあくまで薬があるからです。今は元気であっても、災害が来たら、と思うと、災害が長期化したら薬が足りなくなるだろうなぁとか、考えさせられる今回の記事でした。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。