この記事は約 13 分で読むことができます。
こんにちは、改めましてM. Jです。
皆さんは旅行に行くのはお好きですか?
コロナ禍で旅行控えが起きて、旅行会社は多くの客を失いましたが、今年コロナがあけて、客足が国内外から戻りつつあります。
何らかの障がいを抱える方にとっても、旅行と言うのは楽しみの一つですが、どうしても旅行会社のパック旅行は健常者を相手としたものが中心となっています。
身体障がい者や介護の必要な高齢者に対してのパック旅行は、各地で実施されているようですが、『精神疾患を抱える方を中心としたパック旅行を実施している』といった話を私は聞いたことがありません。
精神疾患を抱える方が外出することは、精神状態の改善または安定させるために大事なことです。社会にとっても経済効果はあると思いますが、それぞれの症状や飲んでいる薬の関係などで、全員が自動車などを運転して自由に活動できているとは言えない状況です。
そうした状況では、誰かに行先まで運転して連れて行ってもらえたり、案内してもらえるパック旅行は助かるものですが、前述したように専用のプランがありません。
そうした状況を踏まえ、今後は精神疾患を抱える方が快適な旅行を出来るための「新たなパック旅行を考えてくこと」が必要になってくると私は考え、今回の記事を通じて、その実現のためにどんなことが必要か、提案させていただきます。
今回は以下の項目に沿って、記事を書いていこうと思います。
- 障がい者に対する法律の概要
- 障がい者のパック旅行を実践するために・・・
- 精神疾患を抱える方のパック旅行:押さえておくべきこと
- 精神疾患を抱える方のパック旅行:必要なサポート《1》
- 精神疾患を抱える方のパック旅行:必要なサポート《2》
- 精神疾患を抱える方のパック旅行をもっと多く!
今回、精神疾患を抱える方という表現にしましたが、旅行の対象者は「精神障がい者手帳を持っている方」です。ですので、旅行に行く時は精神障がい者の手帳を提出する必要性があります!
この記事をご覧の皆さんも、自分が精神疾患を抱える方になったと思って、一緒に考えていただければと思います。
障がい者に対する法律の概要
精神疾患を抱える方のパック旅行について書いていく前に、障がい者に対する法律のことについて触れていきます。
【障がい者に対するの法律の概要】
- 平成以前までは、障害者に対してのバリアフリーの法律は制定されていなかった。
- 平成12年に障害者などの公共交通機関の移動の円滑化に関する法律(交通バリアフリー法)が制定された。
- 平成18年にバリアフリー新法が制定された。
→その後、障害者基本法改正・障害者差別解消法が成立した。 - 平成28年に障害者差別解消法が施行されるようになった。
→この法律が施行されるようになって「障がいを理由とする差別」が禁止になった。 - 現在、観光事業に関わるすべての人が「障がい者」の旅行への対応が必要となった。
障がい者の旅行についての法律ができたのは、案外最近のことだと知って驚いています。まだまだ認知度も低いのかもしれません。
「障がいの有無に関わらず旅行に行ける社会」ができるようになれば、日本経済の活性化につながりそうな感じがします。
精神疾患を抱える方のパック旅行においてどのようなことが必要でしょうか?
次の項では、障がい者のパック旅行を実践するために必要な要素について触れていきます。
精神疾患を抱える方のパック旅行を実践するために・・・
障がい者のパック旅行において、旅行会社側に必要なことを書いていこうと思います。
【障がい者の旅行において必要なこと】
◆障がい者のことを知る
◆地域の状況を知る
◆情報を発信する・観光案内へ生かす
【障がい者の旅行:観光施設・宿泊施設の職員に必要な対応】
◆障がい者のニーズの把握や苦情への対応をする
◆できるだけ多くの人が参加できる方法の構築
◆旅行における介助同行者を育成する
障がい者のパック旅行において、障がい者の「基本的な特性」「意見・ニーズ」の把握はものすごく重要なことです!
そのためには「実際に本人と会うこと」「障がいの把握のための研修」は必要不可欠です!
できれば、観光施設・宿泊施設などの事業所が「障がい者の旅行」に対応できる体制づくりを実践していくことが望ましいです。
次の項からは、精神疾患を抱える方に特化したパック旅行について深く掘り下げていきます。
精神疾患を抱える方のパック旅行で押さえておくべきこと
【精神疾患を抱える方のパック旅行におけるポイント】
①旅行会社・宿泊施設などの職員が「障がいに対する基本知識」を持つことが必要不可欠!
②サポートするかたが必要!→障がいの重さ・人間関係・予算などを考慮して配置する。
③サポートする人数:本人との関係悪化の場合があるため。2〜3人は必要な場合もある。
④主治医の助言が必要となることがある。→客観的な視点で助言が必要な場合がある。
⑤体調や気分の不良による突然の予定のキャンセルを考慮する。→代替案を必ず用意する。
⑥どのような保険が適応するのかを把握することが必要。
⑦バリアフリー情報をしっかり把握する。→身体障がいなどを併用している場合もある。
精神疾患を抱える方のパック旅行で押さえていくべきこと(ポイント)がわかりました。
上記の7つの要素のほかにも、必要なシステム(サポート)があります。
精神疾患を抱える方に特化したパック旅行は、ほかの障がい者のパック旅行と「考え方を変えていく必要性」があります!
精神疾患を抱える方に特化した旅行は人的資源(以下、マンパワー)などの「ソフト面」と特別なスペースといった「ハード面」のサポートが必要となってきます!
次の項からは、精神疾患を抱える方に必要と思われるサポート《ソフト面》を挙げていきます。
精神疾患を抱える方のパック旅行に必要なサポート《1》
精神疾患を抱える方に特化したパック旅行には、「今までにない考え方」が必要となってきます。精神疾患を抱える方にとってのパック旅行で必要なサポートはどのようなものでしょうか?ここからはマンパワー《ソフト面》について書いていきます。
精神疾患を抱える方に「特化」したパック旅行において、旅行会社のほうで必要なスタッフ(職種)は以下の通りとなります。
【旅行会社において必要な職種と仕事の内容】
①精神科病院または精神科クリニックの勤務経験のある看護師
◆精神疾患を抱える方(以下、本人)に対応するためには必須の職種。
◆旅行の際、本人の「身体的」「精神的」な状態を把握し、それに応じた対応をする。
◆複数の人が旅行するので、「対人関係・問題解決能力など」をサポートする。
◆「本人について」家族からの情報収集をしっかり行う。
◆旅行の「内容」「どんな危険性があるか」を丁寧に説明する。→しっかり関わる。
◆必要に応じて本人の「権利の擁護者・代弁者」となり発言する。
◆ほかの職種との「連携」をすすめる。会議の「主催者」となる場合が多い。
②カウンセラー(臨床心理士など)
◆臨床心理学的な技法を用いて、本人の「心のサポート」をする。
◆本人の話をしっかり「傾聴」する。→「受容的な態度」が重要。
◆本人の「表情」「言動」「考え方」などを観察して対応する。
◆本人の「自己肯定」「感情のコントロール」を中心に考えて行う。
◆危機介入や環境調整を行うこともある。
③精神保健福祉士など、社会福祉に詳しい職種
◆旅行においては「内容の説明」「経費の説明」「行動の方法の説明」などを行う。
◆旅行の際、公共交通機関・観光施設・宿泊施設などとの「連携」を行う。
◆他職種との連携によって「旅行のプラン」をまとめる。
◆本人に対して「社会資源などの情報提供」を行う。
④看護師(要看護師免許)
◆内臓の病気などの「病気に対するフォロー」が必要な場合は必要な職種。
→場合によっては、緊急時の処置が必要なこともある。
⑤マッサージ師
◆精神疾患を抱える方は、対人緊張が強いため「筋肉の緊張を軽減する必要性」がある。
◆筋肉の緊張を軽減するためには「マッサージ」が最も効果的。→施術する人が必要。
◆精神疾患を抱える方の「血行改善やリンパの流れを良くする」ために、いた方がよい。
◆必ずしも必要とはいえないが、居れば精神疾患を抱える方の健康増進につながる。
上記の中でも特に必要な職種は、①精神科医療の経験のある看護師、②カウンセラーです。精神状態が急に悪くなることも想定しておかないといけません。
精神疾患を抱える方を対象にした旅行は「本人の精神状態を悪化させないようにするか」を考えることは重要なことですが、そのためには「マンパワー」は必要不可欠です!
「人が関わること」、特に「精神科の専門職が関わること」は最も欠かせないことです!
これに加え、精神疾患を抱える方は「対人スキル」が低い方もいるので、観光施設・宿泊施設などとの交渉が難しい場合があります。よって③の精神保健福祉士など、社会福祉に詳しい職種が「交渉の仲介」に入ることも時には必要です。
身体障がいを抱える方が対象の場合の違いは「サポートする人によって対応力などが大きく変わってくる」ということだと思います。それを考えると、精神疾患を抱える方の旅行に「特化」していくのは、大変な部分はあるかもしれませんが、ニーズはあると思います。
精神疾患を抱える方のパック旅行という点では、精神疾患を抱える方を「サポートする人」はものすごく重要です!前述したように、本人とサポートをする人の「関係悪化」も考えられるので、「2人以上のサポート」は必要になってきます。
次の項では、精神疾患を抱える方に必要と思われるサポート《ハード面》を挙げていきます。
精神疾患を抱える方のパック旅行:必要なサポート《2》
ここからは環境的なもの《ハード面》について書いていきます。
精神疾患を抱える方にとってのパック旅行で必要な設備はどのようなものでしょうか?
精神疾患を抱える方に「特化」した旅行で最も必要なものは「個室」です。
相談内容などが「デリケートなもの」が多いので、「配慮」が必要となってきます。
オープンスペースの場合、本人にとって「大きな苦痛」が出現するため、どうしても「クローズな部屋」は必要となるのです。
【旅行会社において必要な個室の種類】
①カウンセリングルーム
◆精神疾患を抱える方(以下、本人)自身の「心の問題を楽にする」「心の問題の根本的な解決を促す」手段として必要。
◆本人が「自分の感情を吐き出す」「心の整理をする」ために必要。
◆家族や周囲の人に「見せられない悩みを吐き出す」ために必要。
②リラクゼーションルーム
◆本人にとって「質の高い息抜き(リラックス)」ができるので必要。
◆「感情のコントロールを促進する」効果が期待できるので必要。
③マッサージ室
◆精神疾患を抱える方は「筋肉が緊張していることが多い」のでマッサージ室はあったほうが良い。(特に、精神疾患を抱える方が女性の場合は必要)
◆旅行の中で、精神疾患を抱える方の「健康管理・疲労除去」をするためにあったほうが良い。
④処置室
◆基本的には必要ではないが、内臓の病気などの「病気に対するフォロー」が必要な場合、処置する部屋は必要。
上記の①〜④は、施設を特別につくるのではなく、宿泊施設の中に「カウンセリングルーム」などの機能を持たせた「個室」を別に用意することでどこの施設でも対応できると思います。
「集団の中での緊張・外的環境による緊張」を考慮していかないと、精神疾患を抱える方の「精神状態が安定・改善すること」はできなくなります。「個室」があることで精神疾患を抱える方の持っている問題も解決していくのないでしょうか!
精神疾患を抱える方のパック旅行をもっと多く!
以上、精神疾患を抱える方の旅行促進の構想でした。
精神疾患を抱える方に特化した旅行促進・・・実際に行われている事例がほとんどないので、今回構想を立てるのがものすごく難しかったです。
「パック旅行」において、精神疾患を抱える方に対するサポートで重要なことは「サポートする専門職が必要なこと」と「個室を提供すること」です。
身体障がい者への対応との大きな違いは「関わる人によって精神疾患を抱える方本人の精神状態が大きく変わること」です。
また「カウンセリング」や「リラクゼーション」をするための「個室」があることによって「旅行に対しての満足度」が変わってきます。
これに加えて、精神疾患を抱える方の「パック旅行」が多くなっていくことによって、「日本の経済の活性化」につながっていきます!
精神疾患を抱える方の「パック旅行」を「充実したもの」にするためには、今までの旅行についての「考え方」を大きく「改革」していかなければなりません!
今までの旅行にはない「魅力的なアイデア」を出していくことがものすごく大事です!
旅行会社の人が「ユニバーサルな思考」となることは必要不可欠です。
今後、精神疾患を抱える方を対象とした「パック旅行」がもっと多く増えていくことを願っています!
記事をご覧いただきどうもありがとうございました。
今回の記事は、以下の文献を参考にしました。
参考:障がい保健福祉研究情報システム:旅ではじまるいきいきライフ
株)ALL IN ONE:精神障がいを抱えながら旅行に行くなら船旅は?
情報かる・ける:臨床心理士とはどのような仕事?具体的な業務内容
KIMOCHIーCAREネット:カウンセリングとは?内容・効果・料金
現在、要介護者の旅行については以下の文献に詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。
参考:介護ワーカー:要介護者の旅をサポートする旅行介助士資格を解説
旅行介助士資格:日本介護旅行サポーターズ協会(リョコサポ)とは
かなり前に書いた記事ですが、無形のものから創り出しているという意味では関連しています。ご覧いただけると有り難いです。
今後について
興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、やせ過ぎに潜む危険!女性に多い摂食障害やその改善方法・海外の事情、骨を大切にしよう!骨折を防ぐ、《介護》地域包括ケアシステムの勉強会に参加して感じた問題点と改善案があります。
皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!
→HOME
コメントを残す