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こんにちは、翼祈(たすき)です。
ヘルパンギーナとは、5歳以下のお子さんが発症しやすく、夏に患者が増加するウイルス性の感染症の1つで、38度超の発熱が1日から3日前後続くことがあり、喉の奥が赤く腫れ、小さな水疱が一杯できます。水疱は2〜3日で潰れて黄色い潰瘍ができ、強い痛みが生じるのが大きな特徴です。
2〜4日で解熱し、7日程度で治癒します。集団生活をする保育園・幼稚園などでは、お子さんの生活距離が近いので集団感染が発生しやすいと想定されます。
口の中が痛くて、食べることや飲むことが発症中は困難になります。高熱による倦怠感や喉の痛みが強いことで、食事や水分を受けつけなくなることから、「脱水症状」を引き起こす原因にもなります。夏季(主に4~10月ごろ)に発症することがほとんどで、毎年5月頃に幼児を中心に流行します。
専門家は「喉に刺激の強いものは控え、プリンやゼリーなど飲み込みやすいものをお子さんにあげて下さい。注意して頂きたいのが、喉の痛みで水分が摂りづらいことで引き起こす脱水症状です。ぐったりしていたり、おしっこが長時間出なかったりしたら、早急に病院を受診して欲しいです」と説明しています。
今回はヘルパンギーナの、原因、予防策、治療法などを多角的に紹介します。
▽原因
主にコクサッキーA群ウイルスによります。ポリオウイルスやエコーウイルスと同じグループで、これらをまとめてエンテロウイルス、腸管ウイルスとも呼びます。
ヘルパンギーナに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は通常3日から6日です。ヘルパンギーナの最初に出る症状は、発熱です。患者の喉や鼻の分泌物あるいは便の中のウイルスが、手などによって、口や鼻の中に運ばれて、発症します。喉や鼻の分泌物の中のウイルスからの感染は、症状が現れてから2、3日までが発症しやすいです。
▽悪化した時の症状
全身倦怠感、四肢痛、のどの痛み、嘔吐や、口腔内の疼痛で機嫌が悪くなることや哺乳障害、よだれが出る、食欲不良を引き起こし、乳児では脱水症を引き起こすケースもあります。
1週間ほどで熱も水疱も治る場合がほとんどですが、発症して2~3日目以降にさらに発熱が悪化して、吐き気や頭痛をあるケースでは、脳や髄膜にウイルスが侵入している恐れがありますので注意を払って下さい。また、まれに発熱した時に熱性けいれんを引き起こしたり、無菌性髄膜炎、ポリオの様なまひ、急性心筋炎を合併するケースがあり、その場合は速やかに入院して治療を施します。ほとんどは予後良好で治ります。
▽感染経路
ヘルパンギーナは鼻咽頭分泌物や便中などにウイルスが存在し、飛沫感染(咳、つば、くしゃみなどにより、飛び散った唾液や鼻水などを吸い込んで、口や目などの粘膜に侵入し感染)、 接触感染(汚染された手に付着した飲食などを通じたことでの感染)、 経口感染(糞便中に排泄されたウイルスが、食物、手、水などにより媒介され感染)で感染します。症状が消えた後も、3週間から4週間は便にウイルスが排泄されるので、手洗いやうがいという予防の徹底を呼びかけています。
▽診断基準
ヘルパンギーナには、迅速検査はございません。発熱の経過や喉の所見、周りの人の流行の状況などを顧みて医師が診断します。
▽治療法
特別な治療の手段は無く、症状に適した対症療法が行われます。ヘルパンギーナに対する特効薬もありませんが、発熱や口の中の水疱の疼痛、頭痛などに対して解熱鎮痛薬で痛みを緩和したり、粘膜保護剤の軟膏などが病院で処方されることもあります。
ワクチン(予防接種)はありません。脱水症状への治療が必要なケースもあります。水分を摂取することを心掛け、栄養と安静に気を付けることが必要となります。
▽感染した時の食事
エンテロウイルス属の宿主はヒトのみですので、ヒト-ヒト感染を予防します。もしお子さんがヘルパンギーナだと診断を受けた時は、自宅で安静にし、脱水症状を引き起こさない様に水分・栄養補給を十分に摂取させることを意識して下さい。口の中が痛くて食事を摂ることを嫌がることもあります。
痛みを増強させないためには、刺激物や酸味、固くない物、味の濃い食べ物は避け、喉に痛みもあるので、オレンジジュースなど柑橘系のジュースは酸味があって強く、染みてさらに強く痛むので避け、牛乳などは比較的痛みが軽いものが摂取しやすいと言えます。例えば、麦茶や冷めたスープ、牛乳など口当たりやのどごしの良い、少し冷たい飲み物を推奨します。
食べ物は、例えば、プリン、ヨーグルト、柔らかく茹でたうどん、ゼリー、冷めたおかゆや雑炊、豆腐、アイスクリームなど、刺激が余りなく、噛まずに飲み込める、消化が良く、柔らかく、薄味の食事にしましょう。
ぐったりと活気が無くなり、発熱・頭痛・嘔吐がひどい場合は、早めに病院を受診して下さい。
▽登園・登校の目安
ヘルパンギーナは、主たる症状から完治した後でも、コクサッキーA群ウイルスなどは長期に渡り便から排泄されるケースがあることから、急性期のみの登園・登校の停止での学校・保育園・幼稚園などでの厳格な流行阻止効果は余り期待が持てません。
ヘルパンギーナの大部分は軽症であることから、登園・登校に関しては他の三大夏風邪と同じ様に、感染者本人の体調で判断して下さい。
熱が落ち着き、喉の痛みが消えて、普通に食事が摂れる様になると、登園・登校も可能となります。
▽獲得免疫
園児以上の年齢層の多くは既にヘルパンギーナのウイルスの感染(不顕性感染を含む)を発症しているケースが多く、 大人での発症はほとんどありません。
参考:ヘルパンギーナ(夏風邪) 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
感染予防対策では、
予防対策では、発症した人も、その周りの人も、手をよく洗い、うがい、マスクを装着することです。患者の便には1ヵ月程度、ヘルパンギーナの病原体のウイルスが体外へと出ている恐れがあるので、特に発症しているお子さんのおむつを交換した後などは、よく手を洗って下さい。
発症した人は、トイレの後で、周りの人は、鼻をほじる前や食事を摂る前に、特に注意を払いよく手を洗って下さい。おしりを拭いた時などにヘルパンギーナのウイルスが付着する恐れがあるので、おむつなどに着いた排泄物の処理では、使い捨てのゴム手袋を使うなど、十分に気を付けて下さい。発症した人と食器やコップ、タオルなどは別に分けて下さい。
ヘルパンギーナを発症するエンテロウイルスなどは、一般にはアルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が強いことで知られていますが、最近では有効性の高い新しい「酸性アルコール消毒剤」も開発されました。アルコールなどでは不十分で、ノロウイルスの感染予防をする時にも使う次亜塩素酸ナトリウムも使用すると良いです。また、熱水(98℃15~20分)で消毒もできます。
一度感染したウイルスに対する免疫は持続することで、同じウイルスに再び感染することはありませんが、エンテロウイルスの1種であるコクサッキーA群にも色んな型があって、またB群や他のエンテロウイルスが関連するケースもあります。一度ヘルパンギーナを発症したからといって二度と感染しない訳ではなく、繰り返し違う型のヘルパンギーナを発症する恐れもあります。
今回はヘルパンギーナについてお伝えしました。子どもは免疫力が弱い分、感染症にかかりやすいです。今色んな感染症が流行っていますので、気を付けて頂きたいと思います。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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