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こんにちは、翼祈(たすき)です。
重篤なアレルギーとして扱われる、アトピー性皮膚炎。子どもの頃でも、大人になっても発症リスクがあり、発症しやすいアレルギー疾患だと思います。
そんなアトピー性皮膚炎ですが、先日子どものアトピー性皮膚炎などの発症リスクを下げることのできる、新たな研究データが公表されました。
和歌山県和歌山市にある和歌山県立医科大などの研究チームは2023年5月24日、1歳までの赤ちゃんの頃に、親の唾液を食事などの口移しで口にした小中学生は、アレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎の発症リスクが低下する傾向があると明らかにしました。およそ3600組の親子を対象に、大規模な疫学調査を実施しました。親の口の中にいる細菌が赤ちゃんの免疫を刺激し、アレルギー予防に結び付く可能性を秘めているとします。
アレルギーを抱える人は従来、2人に1人と想定されていましたが2022年、3人に2人という調査データもありました。
また、小さい頃に湿疹などで皮膚バリアー機能が壊れた時の食べこぼしでのアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症し、次々と他のアレルギーを発症する「アレルギーマーチ」の引き金とされています。花粉症から果物・野菜アレルギーが進行するとも言われ、花粉症の増加傾向でアレルギーを抱える人が増加しているという調査データもあることから、アレルギー発症への予防対策が喫緊の課題です。
子どものアレルギー発症が増加する中で、効果的な予防法開発に発展する重要な結果だとしています。
今回は具体的にはどんな疫学調査だったのか?、詳細を踏まえて述べたいと思います。
小中学生を対象にした疫学調査。何が得られた?
和歌山県立医大、獨協医科大学、兵庫医科大学、高槻赤十字病院の共同研究で、研究チームは2016~2017年、石川県と栃木県の小学1年生~中学3年生の子どもとその親御さんトータル3570組を対象に疫学調査を実施しました。アンケートでは、94.7%が回答を寄せました。
アレルギー疾患の有無や、小さい頃の環境や生活習慣などについてアンケート形式で質問し、疫学調査を実施し、分析を行いました。
この中で、赤ちゃんの頃に親御さんが口に含んで、唾液洗浄したおしゃぶりを与えた人は76人で、スプーンなど食器を共用していた人は336人でした。
疫学調査の結果によりますと、小中学生のアトピー性皮膚炎の発症は、赤ちゃんの頃に親御さんと食器の共有をしていると発症が48%低下し、親御さんが口の中に入れたおしゃぶりを使用していると発症が65%低くなりました。
小中学生のアレルギー性鼻炎の発症は、親御さんとのおしゃぶりの共用で発症が67%低下しました。ぜんそくも明確な関係性は分かりませんでしたが、発症するリスク低下の可能性を大いに推測できるとしました。
おしゃぶりの共有は生後6ヵ月まで、食器の共有はそれ以降の使う頻度が高いことから、早いタイミングで親御さんの唾液と接触する方が、より高い効果が得られたと推定されるとします。
その反面、親御さんの唾液が赤ちゃんの頃に口の中に入ると、虫歯の原因となるミュータンス菌の感染リスクが上がるとされることに関しては、初感染時期が生後19ヵ月から31ヵ月の間に集中しているとし、親御さんからの唾液接触の時期が重要だとの見解を示しました。
アレルゲン耐性の発達に関しても、小さい頃の微生物刺激が不十分だと皮膚などのバリア組織が過敏に働き、アレルギー性疾患が進行する恐れが危惧されていますが、生後12ヵ月までの赤ちゃんの頃に親御さんと食器などを共有し唾液の交換を行ったことで、それから、小中学生になった時にアトピー性皮膚炎を発症するリスクが低下する可能性が非常に高いことが判明しました。
2013年にスウェーデンで同じ様な疫学調査が実施され、赤ちゃんの頃に親御さんの唾液を摂取すると3歳時点でのアレルギー発症リスクが低下する傾向になるとの結果が公表されましたが、これまでは、学齢期の研究はほとんどありませんでした。小中学生にまで拡大させた疫学調査は初めてでした。
参考:小中生のアトピー性皮膚炎、親の唾液で発症低下 3600組疫学調査 毎日新聞(2023年)
研究チームの久保良美・和歌山県立医大博士研究員は「赤ちゃんの頃のどのタイミングで親御さんの唾液に接触するのが1番効果が働くのか、さらなる分析と研究が必要となります。小さい頃に多くの種類の菌を口の中に入れることで免疫システムが成立します。唾液での免疫刺激は良い効果を機能させているのではないのでしょうか」と説明しました。
そして、親御さんの唾液が虫歯の原因にもなる研究データもあることに、久保研究員は「ミュータンス菌は、歯が生えてから口の中で定着します。歯が生える前の親御さんの唾液接触がキーとなります。子どものアレルギー発症リスク低減の仕組みを解明し、安全かつ効果的な小児アレルギー疾患発症の予防法の開発へと発展させていきたいです」とも語りました。
疫学調査の研究データはアレルギー分野の国際専門誌に掲載されました。
口の中には、
かなりの数の菌がいると言われています。この菌が特に口の中に入って来た外からの菌をやっつけ、中には元々ある菌が口の中で悪さをする。
私は赤ちゃんに口移しでの食事は、親御さんの虫歯があれば移るのでは?という考えが先に浮かびました。
ですが、今回の疫学調査では、口移しから運ばれた親御さんの唾液で、アトピー性皮膚炎など、アレルギーの発症を抑えるという、これまでの常識を覆す、全く新しい研究データとなりました。
私はこれまで2つ、アトピー性皮膚炎の改善法の記事などを書きましたが、今回の研究データも、これまでとは又違う、目からうろこな情報に驚かされました。
Aという治療法に該当する人もいれば、AではなくBという治療法に該当する人もいる。こうしてこれまでとは違うタイプの治療法が出て来ることで、アトピー性皮膚炎なども将来発症する人が少なくなるのでは?と思いました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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