「自由な姿勢」を~息や目線で姿勢が変わる車いす「P-5」~

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はじめに

私は、A型事業所でPC作業を、一日4〜5時間ほどしています。その間は、ずっと椅子に座りっぱなしとなっています。

それだけでも、腰が痛くなったり、お尻に違和感を感じたりすることがあります。ずっと、同じ姿勢でいるのは、本当にきついです。

例えば車いすの方も同じような姿勢でいることが多いと思われます。

そんな車いすユーザーのために、「息や目線で姿勢が変わる車いす」が開発されました。

息や目線で姿勢が変わる車いす

こちらのTwitterをご覧ください。

乗っている車いすは、「見るだけで姿勢を変えるP-5eye」という商品で、こちらは、分身ロボットOriHimeを手掛けるオリィ研究所と合同で開発しました。

車いすに乗った利用者さんからは、「さいこうです」との感想を視線入力で頂いています。

筋ジストロフィーの利用者との出会いがきっかけ

「P-5」の車いすを製作しているのは、東京都東村山市の株式会社コボリン(車いす工房 輪)という会社です。

代表を務める浅見一志さんは、“車いす利用者さんと一緒に作る”という信念を大切にしながら、画期的な電動車いすを作り続けています。

主要商品である「P-5」の開発のきっかけは、「進行性の筋ジストロフィー」の利用者さんとの出会いによって生まれました。

筋ジストロフィーの患者さんは、症状が進行して筋力が衰えると重力に姿勢が抗えず、体が左右に曲がってしまうのです。

多くの他社の車いすの業者さんは、座位を保ちやすいシートを作っています。
しかし、体を支えようとすると、どうしても体に痛みが出ていました。

それを目の当たりにした浅見さんは、背もたれが左右上下に身体の傾きに合わせて動かすことができれば、たとえ筋力がなくても長く座っていられるのでは…と考えたそうです。

P-5の機能の紹介

P-5の「P」はPOSTURE(姿勢)の頭文字のPをとっています。

5つの機能により無限の姿勢を作りだすことができます。

電動リクライニング、電動ティルトという一般的に普及している2つの機能に、回旋、側屈、上下の3つを追加しました。

特に左右非対称性の側屈と回旋は他に例をみない動きとなっています。

一般的な電動車いすは、左右対称に背もたれを倒す機能が付いています。

しかし、体が変形した方や骨盤が左右に回旋している方には、体の動く方向とは違う向きに引っ張られてしまうのです。

そこで、三次元的に背もたれを動かせるP-5は、その方の体に合わせて倒すことができるようにしました。

P-5車いす

画像引用:車いす工房 輪

5つの 姿勢変換機能

リクライニング、ティルト、側屈、回旋、上下。

この5つの動きを組みあわせれば、ご自身の好きなタイミングで、好きな姿勢を自分でとることができます。位置は無段階で、好きなところで止められます。

3つの姿勢のメモリー機能

食事姿勢、作業姿勢、休息姿勢などの最大3つまでお好みの姿勢を記憶・再現が可能になっています。

メモリーセットは記録スイッチを押すだけの簡単な操作で、難しいプログラミングや設定は不要になっています。

操作は 簡単、安全

操作は、分かりやすく直感で動かせます。動かしたいスイッチを押しているしている間は、姿勢が変わります。スイッチから指を離せばとまります。

利用者の要望に答えられる車いす

最近ではP-5を組み込んだ、9つの動作ができる電動車いすも完成させたそうです。

動画引用:車いす工房 輪

また、ある利用者さんには息だけで操作できる車いすを提案し、利用者さんを喜ばせました。

「ストローを咥えて、弱く吸う、強く吸う、弱く吐く、強く吐く、という動作を行うと入力信号が送られ、姿勢を変えることができるのです。電動ティルト、電動リクライニングも、全て息で操作します。」

もちろん製品によって異なりますが、車いすの制作期間は半年から1年ほどかかり、その間に打ち合わせや試乗、申請、製作、数回の仮合わせを行ってから、納車という流れになります。

車いすに乗る利用者さんの要望をできるだけ叶えるため、様々な工夫や、機能が搭載されています。

動画引用:車いす工房 輪

最後に

姿勢を変えたいと思うことは、自然なことだと、代表の浅見一志さんはおっしゃっています。

「姿勢を自由に変えたいというのは、人としての根源的な欲求。健常者は座っていても立っていても、無意識に姿勢を変えています。だから、体に重い障がいがあっても自分で姿勢を変えることができるように普及していきたい」

引用:障害あっても「自由な姿勢を」 息や目線で姿勢が変わる車いす、開発の思い

人は15分と同じ姿勢でいられないと言われています。いつもでも動き続けたいのが、本来の姿です。

健常者であれば、仕事などで座りっぱなしであっても、時々姿勢を変えたり、それこそ軽いストレッチを行うことができます。

車いすにずっと、座っていなければいけない車いす利用者さんは、体勢をかえるのも一苦労です。

それが、手元のコントロール1つで、自由自在に姿勢を変えることができれば、体が楽になることもありますが、車いす利用者さんの目線も変わり、いつもとは違う世界を見ることができるのではないでしょうか?

参考サイト

障害あっても「自由な姿勢を」 息や目線で姿勢が変わる車いす、開発の思い

車いす工房 輪

 

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ABOUTこの記事をかいた人

TANOSHIKAライター。うつ病、AC(アダルトチルドレン)、機能不全家族育ち。現代詩を勉強中です。セクシャルマイノリティ当事者。読みやすい、わかりやすいをモットーに様々な記事を書いていきます。