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こんにちは、翼祈(たすき)です。
それぞれ各都道府県で名称は違うと思いますが、『日本障害者歯科学会認定医』という肩書きを持った、障害者専門の患者を担当する歯科医が存在します。果たしてどういう歯医者さんなのか?どうすればなれるのか?
今回は公式サイトを踏まえつつ、『日本障害者歯科学会認定医』について、症例を交えながらお伝えしていきます。
日本障害者歯科学会認定医とは?
日本障害者歯科学会の研修を経て、障害の種類や重症度に合わせた治療を提供できると認められた歯科医。体が不自由で治療の体勢を取りにくい人や、診療に極度の恐怖感がある人への配慮も学びます。
参考サイト
日本障害者歯科学会とは?
日本障害者歯科学会は昭和48年前身は日本心身障害児者歯科医療研究会として立ち上げ、昭和59年には日本障害者歯科学会と名称を変え、平成30年度現在では約5,000名の会員で構成されています。平成11年4月より日本歯科医学会専門分科会に参入し、平成15年からは認定医制度、平成20年度からは認定歯科衛生士制度、平成29年度からは専門医制度を創設しました。
日本の障がいを抱える人のための歯科医療は、昭和初期からスタートし、1920年代までは篤志家的活動でした。しかし1940年代から、大阪府をはじめとする歯科医師会による地域医療活動を発足し、その後全国に拡がりました。
また病院歯科や医学部歯科口腔外科が積極的に障がいを抱える人を受け入れ、とくに積極的に進めたのは歯学部小児歯科でした。この動きは世界的な動向でもあり、最初は障がいを抱えた子ども達への対応が中心であったものが、時代のニーズに合わせ障がいを抱える人が急増(日本の障害者391万人のうち18歳末満は22.3万人であるー平成23年版障害者白書―)したためです。そこで昭和51年日本大学松戸歯学部において特殊診療科が開設され、現在5歯科大学に障害者歯科学講座も開設され、他の歯科大学でも附属病院に障がいを抱えた人に対する診療科も開設されています。
日本障害者歯科学会認定医の活動
心身に障害を抱え、一般の歯医者では治療をすることが難しい患者を診療する『日本障害者歯科学会認定医』。和歌山市内で歯科医院を営む男性もその1人です。2年前に開院して以来、自閉スペクトラム症などの発達障害やダウン症、脳性まひなどの障害を抱える人も積極的に診て来ました。2021年4月現在、全国には1200人を超える認定医がいますが、和歌山県内ではわずか6人にとどまります。
「1、2、3。上手や。次これいくで」
2021年7月上旬、和歌山市手平の「こたに歯科」の個室。男性が発達障害の1つである自閉スペクトラム症の児童に、歯ブラシや歯間ブラシの絵が書かれたカードを見せると、児童は自ら口を大きく開けました。
発達障害の症状の自閉スペクトラム症の児童は、言葉で物事を考えるのが苦手で、また終わりが見えない物事に恐怖を感じやすいとされています。児童も「口を開けるのは何が何でもイヤ」というほど、歯医者が嫌いでしたが、男性が1、2、3とカウントを取り、次に起きる物事を視覚化することで、歯の治療は快調に進行ました。
「こたに歯科」を受診する障害を抱える人は、幼児~50歳代までと幅広い年代です。どんな治療法がその人に適しているかも人それぞれです。カードを見せたり、残り時間を1、2、3と数えたり、好きな音楽を流してリラックスして貰ったりと、対処法は数え切れないほどあると男性はいいます。
保護者は「今では家と同じぐらい安心していると思う。病院だけじゃなくて家の中でもできることがちょっとずつ増えている」と喜び、男性は「健康寿命とお口の健康には密接な関係がある。認定医が増え、誰もが安心して治療を受けられるようになればいい」と話したといいます。
障害者福祉施設で口腔ケア
横浜市神奈川区の重度重複障害者通所施設「若草」は、口腔清掃用機器や一人ひとりの利用者に1番合っている歯ブラシを使用し、毎日30分間の口腔ケアを実行しています。歯科衛生士らと連携したことで通所者の口腔状態は大幅に改善しました。「通所施設ならではの専門性の高さ」と家族からは高評価を受けています。
口腔ケアを始めたきっかけは、重度障害者への支援の1つに健康維持が1番にあり、そのためには口腔ケアが外せないと考え、開所準備中に神奈川区歯科医師会に協力を依頼した経緯があります。和枝福祉会はこれまでに知的障害者施設を運営していましたが、重度障害者への支援依頼は全く初のことで口腔ケアの技術も何も兼ね備えていませんでした。
知識も技術も全くないところからスタートさせた口腔ケアは、毎週1回神奈川県から派遣される歯科医師や歯科衛生士の援助に支えて頂き、一人ひとりの利用者に1番合った歯磨き方法を模索するところから始動させました。障害の度合いや体の動きの早さ、口腔状態などでは各個人で相違があるので、各々に適した方法を発見するまでは苦労の積み重ねでした。職員が歯の磨き方を模索し実践しては、歯科衛生士からご指導を受けることの繰り返し。歯ブラシが本人に適していない時などでは、家族に連絡をし歯ブラシを替えて頂くなど配慮をして頂きました。
参考:障害者の通所施設で口腔ケア 歯科衛生士との連携で大幅改善 福祉新聞(2015年)
「口腔ケアには歯科でなければできないこと、家庭で日々行うことがある。通所施設としての支援の範囲を考えなければいけない」と話した施設長。家族に口腔状態を伝えたり、適した歯ブラシを提案したり、歯科に行くよう伝えたり、家庭では行き届かないケアを補うなど通所施設ならではの役割を果たしたいといいます。
私がこの記事を書くきっかけは、
母が「隣の県では、[障がい者歯科保健地域協力医]という名前で、ずっと前から障害者専門の歯医者さんが沢山いて、ここにこういう名前の障害者専門の歯科がありますとか、マップになって紹介されているよ」と聞いた事がきっかけで、この記事を書く事にしました。
私も昔は歯の磨き方が悪くて、いつも学校の歯科検診で「歯医者に行って下さいね」と言われて、随分お世話になりましたね。大人になってから、ようやく磨き方が頭に入って、それからは虫歯はありません。
前歯が痛くて歯医者に行ったら、「健康な歯を抜く訳にはいかない」と言われた位、今では歯が痛む事はありません。口の開け方も子どもの頃より開けられる様になりましたね。
私も歯医者はあの大きい音が苦手ですよ。でも健康でいる為には、歯のケアも大事ですからね。「普通の歯医者苦手だな」という障害などを抱えている方は、この記事に書いた『日本障害者歯科学会認定医』がお住まいの地域にあるか、調べてみるのも良い手段かもしれませんよ。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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