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趣味は美術鑑賞
白鳥建二さんの趣味は、美術館巡りです。
しかし、白鳥さんは全盲の視覚障がい者なのです。目の見えない白鳥さんはどうやって「絵を見る」のでしょうか?
絵を見る、絵を聞く
白鳥さんが美術館に行くときは、同行者が同行します。
その同行者が絵を見て、白鳥さんにどんな絵が描かれているのか説明するのです。
同行者は、美術に詳しい専門家という訳ではなく、一般の友人です。
ある日、現代アートの展覧会にきた白鳥さんは、映像作品の前にとまります。
その映像作品を説明をする同行者は、「今、レコードを食べています。」と見たものをそのまま白鳥さんに伝えます。
すると白鳥さんからは、「食べられるレコードなの?」と質問が飛び、「いえ、レコードをバラバラにして、食べてるように映像を繋げているようですね。」と次々と質問と、同行者の感想などで会話がはずみます。
これが、白鳥さんの「美術鑑賞」の仕方なのです
美術鑑賞のきっかけ
白鳥さんが美術鑑賞に行くようになったきっかけは、大学生の時にお付き合いをしていた健常者の女性との美術館デートがきっかけだそうです。
はじめて美術館に足を踏み入れた白鳥さんは、その場の足音や人の気配を楽しんだそうです。それがきっかけとなり、美術館通いが始まりました。
はじめは、一人で通って「どうすれば美術館を楽しめるか実験していた」と言います。
そのうち、美術館にいる他のお客さんに「ここにはどんな絵がありますか?」と話しかけるようになり、現在のように聞いて楽しむ美術鑑賞のスタイルができあがったようです。
同行者にも変化が
白鳥さんに同行する同行者にも、変化がありました。
白鳥さんに絵の説明をしていくうちに、「絵の見え方が変わってきた」そうです。
白鳥さんは、専門的な説明はいらないと言います。見た人がどう感じる絵なのかを聞きたい。
例えば、作品の大まかな形を想像して、色はまるで連想ゲームのように考えるそうです。
同行者同志でも、絵の見え方には違いがあり、1つの作品について1時間以上、話をしたこともあるそうです。
話をしているうちに絵の印象がまるで変わっていく時もあるそうです。
「最初は暗いイメージだった絵も、話をしているうちに明るいイメージなのかもと思うことがあります。」と同行者は語ります。
視覚障がい者×アート
白鳥さんのように、視覚障がい者にむけてのアート展は、次々と開催されています。
触って楽しめる3Dプリンターを使った立体的な絵画や、「香り」を楽しむアート展なども海外では開催されています。
最後に
白鳥さんとの美術鑑賞をノンフィクション作家の川内有緒さんが本にしました。
~あらすじ~
「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
友人マイティの一言で、「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るというユニークな旅が始まった。白鳥さんや友人たちと絵画や仏像、現代美術を前に会話をしていると、新しい世界の扉がどんどん開き、それまで見えていなかったことが見えてきた。
視覚や記憶の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒にいること。
そこに白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。
見えない人とアートを見る旅は私たちをどこに連れていってくれるのか。
軽やかで明るい筆致の文章で、美術館めぐりの追体験を楽しみながら、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる、まったく新しいノンフィクション!
参考サイト
音を「目で」楽しむ。耳が不自由な人のためのPodcast番組 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
全盲で美術館を楽しむ白鳥さん。「見えないから大変」の言葉がしっくりこない | ハフポスト
【ビジネスのつぼ】リコー「触れる絵画」(立体複製画制作技術) – SankeiBiz(サンケイビズ)
「香り」で楽しむ、視覚障害者のためのアート展。 | TABI LABO
目の見えない白鳥さんとアートを見にいく | 集英社インターナショナル 公式サイト
【全盲】「新しいアートの楽しみ方」目が見えない方のオリジナル鑑賞法とは?作品を言語化&シェアすることで発見も?障害者と芸術を考える|#アベプラ《アベマで放送中》
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