【循環型就労】障害者の新しいワークスタイルと就労に注目

循環型就労

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 個人的なことになりますが、現在わたしは一般就労を目指して求人情報とにらめっこしています。AKARIで書いている記事はライティングという作業になりますが、このような仕事は数が絞られ、どうしようかと考えている毎日です。

 他の業種も視野に入れて探していますが、なにが適して長く続けられるかというのを模索しつつ、就職とはめぐりあわせのような要素も関わってきて、なかなか思い通りにはいきません。私と同じように就職の壁みたいなものを感じて、もがいている人はたくさんいると思います。たとえそこから就職できたとしても、続けることができるのだろうか? というようなことも同時に考えてしまいます。

 そこで気になるのは、障害者の就職率と定着率です。そのデータをもとに、新しい就労の形「循環型就労」というものまで誕生しています。今回はそういった障害者の就職や就労の進化を紹介していきます。

1.障害者の就職率と定着率から見る動向

 現在日本において障害者の総数は936.6万人18歳以上65歳未満になると約200万人いると言われています。しかしそのうち働いている障害者の数は53万人、内訳を見ると身体障害者が約34.6万人、知的障害者が約12.1万人、精神障害者が約6.7万人という状況です。(下記グラフ参照)

(総数約53万人)

 圧倒的に働く数も低いうえに、特に精神障害者の就職率はガクッと減っていることが、分かります。これと合わせて1年後の定着率も見ていきましょう。

 29年度の厚生労働省の障害者雇用の現状等という資料を見てみると、1年後の定着率は身体障害者が60.8%、知的障害者が68.0%、精神障害者が49.3%というように身体障害者、知的障害者は安定していますが、こちらも圧倒的に精神障害者が低いことが分かります。

 1年後にはその半数が辞めてしまうということですが、専門的なサポートがあれば定着率は2割ほど上がるというデータもあります。このデータを基に株式会社スタートライン(以下スタートライン)が提唱する「循環型就労」を紹介します。

2.育成+支援という新しい形「循環型就労」とは

 上記のデータを基にすると、例えば精神障害者はA型就労を終えて、就職してもそこでA型就労で受けていたサポートは切れ、通院している病院でアドバイスを貰い精神的な支援は受けても仕事の面でのサポートを受けたり、病院の介入は難しいでしょう。

 企業側も精神障害者について専門的な知識や人間なのでひとりひとり違い、マニュアル化も難しく、どうサポートして育てるのかと悩んでいるのが現状だと感じます。その結果上記のようなデータが出ているのではないでしょうか。

 そんな現状を打破するシステムをスタートラインが立ち上げて実行しています。精神障害者個人の問題ではなく、企業側の課題である「どう育成と雇用をしていくか」という視点から「循環型就労」を打ち出しています。

障害者の新しい働き方「インクルヴィジットサポート」

 循環型就労とは障害者のオフィスワークが変わる新しいワークスタイルです。インクルMARUNOUCHI(以下インクル)という企業で実際に取り入れている働き方です。まず1つ目が「インクルヴィジットサポート」というので、社内で就業する障害者の安定就労と周囲の総合理解を進める支援サポートです。

 インクルスタッフは訪問支援とICT支援を併用しながら、応用行動分析学に基づくフィードバックを行ない、セルフマネジメントの向上を図ります。また専門的なアセスメントを進めながら企業と就業者の配慮事項を整備し、障害者と周囲の総合理解を深めて、働きやすい職場づくりを支援します。

企業側への人材確保「インクルサポートオフィス」

 インクルサポートオフィスは本社と連動した「循環型オフィス」という新しい働き方を提供するサービスです。企業側がサポートオフィスを活用することで、就業者の体調・業務・キャリアに合わせながら働き方を選択することができ、障害の特性を活かした生産性の高い働き方が可能です。インクルには専門スキルを有するスタートラインのスタッフが常駐している為、オフィス開設から稼働に関わる業務準備、採用、定着支援および働き方についてご一緒に進めていきますので、ご安心してサポートオフィスを活用することが可能です。

 まとめると障害者の不安点として就職してからのサポートがないことだったり、企業側は人材は欲しいけど定着しない、どうサポートしたらいいか分からないという問題をこの循環型就労というシステムで障害者と企業のブリッジをしていると分かりやすいと思います。

 もっと具体的にいうと、循環型就労は効果的に就業フェーズを進められるということです。例えば週5日のうち3日はインクルで働き、残りの2日は本社で働くといったスタイルで行いながら、セルフマネジメント力を身に着けます。この循環型就労は体調や配慮に合わせた働き方に対応しながら、徐々に本社にスライドしながら定着していくという良さと強みが特徴ではないでしょうか。

まとめ・障害者や企業の未来を変えるきっかけ「循環型就労」

 私も障害者に加えA型事業所に通いながら一般就労を目指していますが、果たしてうまくいくのかという不安に駆られながら日々を送っています。例え就職できてもそこからやっていけるのかという、新しい壁もできるでしょう。

 こういうことは実際問題、当たり前だと思っていました。不安がない人なんて居ないし新しい場所や新しいことをすれば、壁にもぶち当たります。しかし精神障害者や心が弱い人はその不安や壁が何倍にも感じてしまいます。甘えと一括りにされてしまうとそうかもしれませんが、やはりデータとして数字が出ている以上、対応策が必要だと考えます。

 そこに着目した循環型就労は個人的に素晴らしいと思いますし、これからスタンダードになってほしいなというのが率直な思いです。これから増え続けるであろうと言われている精神障害者の働き方、就職の仕組みに一石を投じるこの動きは、企業も障害者も何かを掴むきっかけになってほしいと強く願っています。

参考・START NEXT たんぽぽ Challenge Lab 厚生労働省(・PDF1PDF2PDF3PDF4

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