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ichihimeです!前回に引き続き、ディズニー実写映画についてです。今回は『マレフィセント』について考察してみます。
わたしは女性なので、どうしても女性目線での解説になってしまいます。そのあたり、ご理解いただければと思います。
マレフィセント(2014年)について
マレフィセントは、ディズニーの『眠れる森の美女』がベースとなった、悪役の魔女マレフィセントを主人公にしたフィクション映画です。圧倒的な演技力で、悪役であるマレフィセントを「人の心を持つ妖精」として演じあげました。
美しいながらも恐ろしい姿は意外とハマリ役ですが、人気ハリウッド女優を悪役に据えるというのはディズニー至上類を見ない試みでした。
しかし、彼女の演技には「私たちの知るマレフィセントの恐ろしさ」と、「知らなかった美しい心」が確実に同居しており、まさに圧巻です。
この映画を見れば、あなたのマレフィセント観は変わる…、その立役者はなんといってもマレフィセントを演じたアンジェリーナ・ジョリー、その人です。
マレフィセントのあらすじ
舞台はヘンリー王が支配する人間の王国・隣接する妖精の国、この2つの国が対立する中、妖精の国の翼を持つ少女・マレフィセントは、妖精の国に入り込んだ人間の少年・ステファンと出会います。一度は恋に落ちる2人でしたが、時を経て、ステファンの心は人間界の野望へと向かっていくようになり、2人の仲は疎遠に。
そして、妖精の国に侵略戦争を仕掛けたヘンリー王はマレフィセントを討った者を娘婿に迎え、次代の王とすると宣言します。
これを聞いたステファンは、マレフィセントを騙して近づき、彼女の翼を切り落として、次期王の座を勝ち取ります。
恋人の裏切りを知り、悲観と憎悪に苦しむマレフィセントでしたが、ステファン王と王妃との間に王女のオーロラが生まれたことを知り、初めてステファン王の城に現れます。
そして「16歳の誕生日の日没までに糸車に指を刺され死の眠りにつく」という呪いをかけます。呪いを解く唯一の方法は、「真実の愛のキス」。ステファン王は3人の妖精にオーロラを託し、オーロラは城から離れてかくまわれて育ちます。
少女へと成長したオーロラは、やがてマレフィセントに対面し、「フェアリーゴッドマザー」と呼んで慕うように。無邪気なオーロラの心に触れるうち、マレフィセントは呪いをかけたことを後悔するようになりますが…。
マレフィセントのテーマ
ディズニープリンセスは、多くが「女性の自立」をテーマとしています。『美女と野獣』のベルは顕著な「学問をする自立した女性」ですし、『アナと雪の女王』では婚姻が幸せな結末ではないことを描いています。
「女性の自立」には、「男性からの解放」、男性に頼らない女性像というのが裏テーマです。そしてこの作品のもうひとつのテーマは「母のと娘の繋がり」です。
では、あらすじに沿って見ていきましょう。
物語が象徴しているもの
マレフィセントと再会したステファンは、マレフィセントの力の象徴である羽根を切り取っていきます。「背中の羽根=自由の象徴」です。それを奪い取っていく男性は女性から自由を奪った、と考えられます。そもそも、眠らせて女性を傷つけるところが暴力の表れといえます。
マレフィセントは「真実の愛など(自分がそうだったから)存在しない」と言って、産まれたばかりのステファン王の娘・オーロラに永遠の眠りの呪いをかけます。隠れるように、そのオーロラを育てる妖精たちの育児はめちゃくちゃです。陰で見守っていたマレフィセントは、「呪いが効果を表すまで死なせてはだめだ!」と、自ら子育てに挑戦します。
そして物語はこのあたりから様相を大きく変えてきます。それまでは「男に傷つけられてきた女性の憎悪と悲哀」に満ちた作風だったのですが、無垢な女の子が登場することで画面が華やかにマレフィセントの心がほどけていくのがわかります。「男性の暴力によって傷ついた女性の心を癒すのは自分よりも弱い、庇護するべき存在」ともいうのでしょうか。
「真実の愛」とは…。
大きくなったオーロラは真実を知ります。自身がプリンセスであること。「ゴットマザー」として慕っていたマレフィセントが呪いをかけたこと。絶望した彼女はお城に行って、糸車の針に刺されて永遠の眠りについてしまいます。
「ステファンの娘」は憎悪していましたが、「オーロラ本人」は愛していたマレフィセント。呪いを解こうと通りすがりの王子を招きますが、失敗に終わります。
やはり通りすがりの王子では「真実の愛」など与えられないのです。そう、愛とは見えない、気が付かないもの。本当にオーロラを愛しているのは「お母さん」であるマレフィセントなのです。
マレフィセントのキスで呪いが解かれ、目を覚ましたオーロラ。そしてクライマックスで、マレフィセントは愛する娘の手により「背中の羽根=自由の象徴」をステファン王から取り戻します。
アンジーは、「リアル」マレフィセント
マレフィセント役のアンジェリーナ・ジョリーと、この映画の背景を知っているととっても面白いです。アンジーと言えば、3人の養子を育てているお母さんです。「血は繋がっていなくても、私はあなたのお母さんなのよ」というメッセージとアンジーの母性をオーロラ登場シーン以降、映画全体から感じることができます。
結局オーロラはマレフィセントに育てられたようなものです。「育てているうちに情が移った」なんてよくあることなのでしょうか。彼女の傷ついた心は無垢な少女によって癒されたために、愛情を取り戻したのです。
ディズニーが『眠れる森の美女』を実写化して、伝えたかった事
基本的に母性と言うものをディズニー映画では見かけません。女性はだいたい少女であり、守られるものか運命を自分で切り開くもの、が多いです。ここまで「母親」を全面に出したメインキャラクターはあまりいません。親子関係を描いたものもありますが、大体が父子の関係だったりします。「母と娘」というテーマの作品自体少ないかもしれません。その意味でこの映画は随分と冒険している気がします。
原作の『眠れる森の美女』では、マレフィセントは悪の象徴として描かれていますが、実写版では自由の象徴・母の愛情として描かれています。“現代性”と“ディズニーの伝統”のバランスがうまく融合している作品となっています。母の無償の愛は、いつの時代になっても変わらないのですね。
彼女は生まれつき悪い人ではないの。彼女は人々を傷つけたいのではなく、自分が信じることのために戦う人なのよ。私たちは時に、自分の居場所がないように感じることがある。そして“人と違う”ことに悩みを抱える。マレフィセントは、その個性こそが大切であることを教えてくれて、その個性に居心地の良さを感じさせてくれる存在なのではないかしら。
この映画を見たひとは…
アンジェリーナジョリーの名演が冴え渡る作品。
The 童話の悪役のifストーリーですが心温まるとはこの事と言わんばかりの出来栄え。
ディズニーの実写シリーズは本当に大好きです。
音楽、映像の美しさは流石ディズニー。
子供から大人まで楽しめる作品だと思います。
『眠れる森の美女』は子供のころ、とくによく観たディズニー映画のひとつ。それが実写化、しかも悪役であるマレフィセントが主役と知ったときはかなり驚き興味津々で映画館に観にいった。
最初はオリジナルの物語をマレフィセントの視点から描いた作品なのかと思ったが、ストーリーが大幅に改変されており、ほぼ別の作品といい切っていい。かなりドロドロしたハードなストーリーで、派手なアクションシーンも多いためオリジナルのアニメを知らない大人が観ても十分に楽しめるだろう。
本作はただの実写化ではなく、古典的な作品に新たな角度から光を当てた力作だろう。
10月18日には、続編『マレフィセント2』が公開されます。
オーロラ姫の結婚の裏に隠された罠とは…。
マレフィセントは愛する娘を守ることができるのか!?
究極の愛が、今試される…。
という、あらすじらしいです。
公開前なので、わたくしichihimeもまだ観てません。
映画館で鑑賞するのが楽しみですね~♪
消費税増税で鑑賞料が上がったので、要注意です!!
今回は、『マレフィセント』について考察してみました。
次回は、『シンデレラ』に迫ってみたいと思います。(※予定は変更になる可能性があります。)
マレフィセント公式HP
https://www.disney.co.jp/movie/maleficent/about.html
マレフィセント2公式HP
https://www.disney.co.jp/movie/maleficent2.html
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人間誰しも、怒りや妬み…
大人になるにつれ汚れてしまう心
でも、心の奥底には昔の頃の優しい気持ちや心が残っている。
その気持ちを、悪いものに囚われず優しい心を忘れないで生きていくことが周りや自分を幸せにするのだなぁと感じました。
許すことは自分を許すことにも繋がっているのかもしれませんね…
と深いことを考えさせられました。
私的には面白い作品でした。
アンジー演技も、やはり見応えがありました。
美しい…