水耕農園や身体障害者向けの農園が続々と。「農園型障害者雇用」には否定的な声も。

いちご農園にあるいちご

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

障害を抱える人の農業で1番思い浮かぶのは、「農福連携」ではないでしょうか?私もそうです。「農福連携」では普通の農家でもなかなか作らないでしょう?と思う様な、胡蝶蘭やメロンを作っているところもあったりします。

そんな障害者の働く農業ですが、神奈川県に新しい企業向けの貸農園や、沖縄県には身体障害を抱える人が働く農園があります。また、2022年に調査したデータでは、「農園型障害者雇用」に否定的な声が多く上がったと聞いています。

今回は障害者の農業にまつわる話を様々な視点から考えていきます。

2022年7月22日、神奈川県に『わーくはぴねす農園Plus横浜』開園

のどかな農園

障害を抱える人の就労を目標とした企業向けの貸農園『わーくはぴねす農園Plus横浜』が神奈川県横浜市都筑区でスタートし、2022年7月22日、開園式が催されました。障害を抱える人の就労支援もする、東京都千代田区にあるエスプールプラスによる雇用促進の一環で、同『わーくはぴねす農園Plus横浜』による企業向けの貸農園の開設は神奈川県内で初となります。契約企業43社、129人の障害者雇用の創出が目標です。

同『わーくはぴねす農園Plus横浜』が企業向けの貸農園を開園し、障害を抱える人の雇用を希望する企業側に農園を貸し出し、就職を望んでいる障害を抱える人をマッチングします。企業は同『わーくはぴねす農園Plus横浜』に農園の賃料や就業紹介料などを支払い、障害を抱える人を雇用し、障害を抱える人は農園で働き、3人1組で仕事をします。この同『わーくはぴねす農園Plus横浜』から借りた農園で収穫した野菜は販売以外にも、企業向けの食材にしたり、子ども食堂へ提供も行います。

横浜に開園した同『わーくはぴねす農園Plus横浜』は鉄筋コンクリート三階建て、延べ約2600平方mの屋内型となっています。障害の特性に応じて体温調節が苦手で屋外作業ができない人もいるので、安全に作業が可能な様に同『わーくはぴねす農園Plus横浜』が屋内に開発した水耕栽培装置を完備しています。

厚生労働省の2021年版の資料によりますと、日本の障害を抱える人の937万人の中で、一般企業で働く18歳から64歳までの障害を抱える人は約46万人と5%未満となっています。一般企業で働く人の多くは身体に障害を抱える人に集中していますが、同『わーくはぴねす農園Plus横浜』の調査結果では、農園で仕事をする68%は知的障害のある人、27%が精神障害のある人の順で、1年以上の定着率も92%と高い水準で推移しているとします。

参照:神奈川県内初開設「わーくはぴねす農園Plus横浜」にて開園式を執り行いました 株式会社エスプール

農園で働く人の声in沖縄県

みかんのある農園

沖縄県沖縄市池原にある、車椅子を使う人でも作業が可能なバリアフリーのビニールハウス農園を完成させた【うりずんファーム】が先日、農業×福祉の先進事例を表彰する「ノウフク・アワード2021」を受賞しました。「ノウフク・アワード」は、農林水産省や厚生労働省が民間とで設立した共同団体が行っています。2022年で2年目となり、沖縄県内からの受賞は初となりました。「ノウフク・アワード」の事務局によりますと、農業分野では知的・精神障害を抱える人の受け入れが加速されていますが、身体障害者向けの農園は全国でも珍しいケースだとします。

代表の男性は2012年に【うりずんファーム】を開園し、2021年4月、車椅子専用のビニールハウス農園(約3千平方m)を併設しました。

代表の男性に車椅子生活の経験はなかったといいますが、約10年前、妻の父が脳梗塞で倒れて車椅子生活となりました。バリアフリー化がされたトイレや広い通路などを想定すると、妻の父の外出先はホテルや大型商業施設に集中したと当時を振り返ります。

たまたま代表の男性のビニールハウスに妻の父が来た時に、手を伸ばして野菜を「触わやー触わやー」していた姿が鮮明で、車椅子がUターンするスペースがなかったものの「ここに来て息抜きするのもいいね」と家族で話したのを記憶に新しいといいます。

それから、中部地区障害者就業・生活支援センター[花灯(はなあかり)]などの賛同で身体に障害を抱える人に農園をチェックして頂き、車椅子にも対応可能な【うりずんファーム】が完成しました。

「障害の程度によりますが、『自分にできることって?』を数えるより『できないことは何だろう?』を数える方が早いです。身体に障害を抱える人のできないことって少なくて、水やりをすることを農薬をまくためにホースを引っ張る位なんです」と代表の男性は説明します。

【うりずんファーム】内の苗の高さは車椅子に合わせて低めに設定されています。車輪が沈まない様に、足元の砂利は防草シートで覆いました。自力でUターンが可能な様に、苗を植えた箱と箱は約110cmと感覚を空けています。車椅子に対応していないハウスと比較すると栽培面積は3分の2に減ってしまいますが、利用者は「【うりずんファーム】の中は広いんで、車椅子の私たちにとっても超使いやすいんですよ」と自然と笑顔になります。

参照:「うちらにとっても超使いやすいんですよ」車いすで農作業OK アワード受賞したビニールハウス農園 沖縄タイムス(2022年)

この様に水耕農園や、身体に障害を抱える人の働く農園がある一方で、実際に農業に従事して働く障害を抱える人に聞いた、↓のリアルなアンケートデータもございます。

「農園型障害者雇用」に対するリアルな声

東京都千代田区にあるindAgent株式会社は、障害者雇用に農業を導入するなど多様化する障害者雇用に対する「障害者雇用の実態調査」を実施しました。民間企業で勤務する男女20代~50代の身体・知的・精神障害のどれかに障害を抱える人約1000人を対象に、インターネットでの調査を行いました。データの分析では、雇用率充足を目標と掲げる「農園型障害者雇用」で働く約7割の障害を抱える人が否定的な意見を抱いていることが分かりました。

「農園型障害者雇用」のデータ

障害者雇用率の充足を目標とする「農園型障害者雇用」に関して回答を頂いた1017人の中で、402人がとても良くない働き方だと選択し、次いで302人が良くない働き方だと選択しました。良い働き方、とても良い働き方だと選んだ人は1017人中52人でした。

「農園型障害者雇用」のデータ

データの分析では、回答を頂いた1017人の中で、“農福連携”に関して、とても良い働き方だと回答した人が386人で、次いで良い働き方だと選択した人が319人という結論となりました。

画像引用・参考:「農園型障害者雇用」に7割の障害者が否定的意見 「障害者雇用の実態調査」結果発表 PR TIMES(2022年)

現在、障害者雇用を行う企業で数多く導入される様になった「農園型障害者雇用」。一般的には国が提言する“農福連携”との違いも分かりにくいところはありますが、今回、障害を抱える人の7割が「農園型障害者雇用」に否定的な意見を抱いている事が明らかとなりました。

私と農業。

私の農業との最初の出会いは、確か保育園で毎年借りた土地で作った、さつまいもを秋に掘ることだったと思います。私は紅はるかとか甘いお芋が好きなのですが、私が小さい頃は甘いお芋はなく、でも美味しかった覚えが。何でしょうね?青空の中、みんなで囲んでお芋を食べたので、今は甘いお芋が好みでも、景色とかで今の感じ方とは違う美味しさがあったんでしょうね。

小学校に上がったら、日差し防止で、ゴーヤのグリーンカーテンを教室の前で作りました。

大人になってからは2ヵ所目のA型で、農業で工賃を稼ごうとしていた時期があって、ほうれん草の袋詰めや、遠出して収穫した柿を入れる箱折り作業なんかに1回ずつ行きました。スピードも重視の中で、私はとにかく作業が一人だけ遅くて、他の方に迷惑をかけました。

今回記事を書いていて、「農園型障害者雇用」には否定的でも、“農福連携”には肯定的な声が多いことに驚かされました。一般とA型などでは、支援の手厚さとか、任される仕事の内容も違いがありそうですし、意見が割れてしまうのは仕方がないことだと思います。

水耕農園はTANOSHIKAを卒業された方で、一般でそちらに就職したって方が多いと聞いていましたし、支援が手厚く、入社希望が多くても、空きがないから現在空き待ちだとも聞いていたので、人気の高さを知っていました。

働く上ではいかに周りの支援や障害に対する理解がいいか、そうじゃないかでそこに働ける長さというものは、私はA型での話ですが身に染みていますし、働くならやっぱり気持ちよく働きたいなと、この記事を書いて改めて確信しました。

美味しそうなトマトのある農園

noteでも書いています。よければ読んでください。

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いちご農園にあるいちご

2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。病気で辞める結果になりましたが、いろんなところに手厚くて働きやすい環境などがあります。一人一人のことをしっかり見ていられることもひとつの安心感なのです。記事を楽しみにしています。

  • ハリネズミ様。
    コメントありがとうございます。

    今から2年前でしたでしょうか、あの当時は仕事をするエリアで、有名な水耕農園に一般就労で行かれる方も数名いましたが、今はそれも聞かなくなりました。

    あの当時から、「人気で、空き待ちの状態」だと言っていましたし、一度入ると手厚い保障から辞める人もほとんどいないと言われていましたし、空きが無いのかもしれません。

    そうですね、働きやすさが大事だと思います。働きやすさがないと、仕事で疲弊してしまいますからね。数年前の私がそうでした。

    また、記事を読んでくださると嬉しいです。

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    左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。