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こんにちは、翼祈(たすき)です。
学校で性別欄記入の廃止が広がる中で、LGBTQの人は社会に出た時に、特にトランスジェンダーの方は、見た目と性別のことで、性別欄を記入する時に、凄く悩むそうです。
内閣府の担当者は「議論の中で一律に要否の基準を表すのは困難だ」と説明し、再度ワーキング・グループ(WG)を設置する予定はないといいますが、WGの参加者で、当事者団体「LGBT法連合会」事務局長の男性は「どれが男女共同参画の資本となるデータになるかという具体例を示めさなくては、自治体などは戸惑います。性的指向、性自認も併せた包括的な統計の在り方を整備すべき、議論を継続すべきです」と言います。
今回は LGBTQの人が直面する、社会に出た時、投票の時の性別欄での悩みについて考えていきます。
LGBTQの人が社会に出た時に悩むこと。
内閣府のWGが行政の資料や書面の性別欄の在り方に関して検討を重ねてきましたが、明確なガイドラインを見出せないまま議論を終わらせてしまいました。LGBTQへの配慮などで、自治体などで性別欄を廃止する取り組みが浸透する反面、「性別が分からないと、男女格差の現状も見えづらくなる」ことへの指摘は解消できないからでした。
「性別欄の記入で毎回手が止まります。性別を聞かれること自体が苦痛に感じ、戸籍上での性別か、僕が自認する性別を記入すればいいのかー」。こう話すのは出生時の性別が女性で、現在は男性として生活するトランスジェンダーのAさんです。
2022年、国家資格試験を受験した時に、願書にどの性別を書くのが良いか問い合わせましたが、回答は「戸籍上の性別」でした。ですが「戸籍上の性別をそのまま書けば、見た目と異なることで試験会場で説明を要望されるのかもしれない」。この様な悩みは日常茶飯事だと言います。
Aさんの住む群馬県は、必要のない性別欄を廃止する施策を加速させています。2020年度より性別欄を廃止していない543の書類を調査しました。2021年11月には、各部署の判断で計284文書の性別欄の廃止や見直しが可能だ、と示すデータを発表しました。公共施設を使用する時の申請書やボランティアの応募用紙などで性別欄を廃止したり、講演会終了後のアンケートは「その他」の選択肢を増やしました。
内閣府の資料によりますと、性別欄の廃止や見直しは日本全国で加速しています。トランスジェンダーの人が差別やハラスメントを受けない様にする為、などが理由です。
ですが、ジェンダー問題に詳しい、独立行政法人労働政策研究・研修機構の副主任研究員は「行政や会社が性別情報を廃止することは、配慮に思えて差別を是正する契機を手放すことになり兼ねません。性別などに当てはまる差別を是正する政策に活かすことで、必要なデータを選択し、慎重に獲得することが重要な課題です」と述べます。
参照:担当者「ん?本人じゃないよね」性別違和を抱える有権者 感じる選挙投票の現実 RBC(2022年)
LGBTQの人と選挙。in沖縄県
参院選公示前の2022年6月、トランスジェンダーのBさんがこう話しました。「投票に行くのが怖い」-。投票する為には本人確認が必要となりますが、見た目が戸籍上の名前や性別と異なる当事者には精神的な負担で、投票に行くことを躊躇う人もいます。トランスジェンダーの人への投票での配慮はどうなっているのでしょうかー?
沖縄県では有権者へ「投票所入場券」で男女の記載を廃止した市町村は全体の4割相当する16市町村でした。本人確認をするための手段の1つでしたが、自認と違う戸籍上の性別が記載されていることに苦痛を感じるLGBTQの当事者もいます。
入場券に性別はどう書くかは市町村の判断に託されており、沖縄市選管では2019年の参院選から入場券の性別欄をなくし、記号で男女を判断します。浦添市は2004年の性同一性障害特例法施行をきっかけに男女表記を廃止しました。与那原町は2022年4月の町長選から「1」「2」で男女を表します。南風原町は記号が有るかないかで性別を区別しています。
沖縄市選挙管理委員会 事務局 事務局長の男性は、「性別に限定せず男性にはアスタリスクで男性だと判断できる様に作成し投票用紙を送付しています」と述べます。
ですが、トランスジェンダーの人は、投票用紙を交付する時に、目前で「男」「女」と区別されるのが精神的な苦痛となります。宜野湾市や石垣市、南城市、豊見城市などは、2022年度から、他の有権者からは見えない様に、男女ボタンが分からない囲いを設置し、判別ボタンの表記を記号に変更し当事者の配慮をし、苦痛を感じさせない様にしています。
那覇市は長い間、入場券に性別を記していません。男女の判断が出来ないケースは、当事者が投票した後に名簿で戸籍上の性別を確認し、集計に反映させます。担当者は「運用次第で工夫可能です」と話します。
沖縄市と北谷町は、本人確認をする時には名前ではなく、なりすましを防ぐために生年月日を尋ねる様にします。性自認に合わない名前を呼ばれることに抵抗感を抱く人もいるので、2021年の衆院選から始動した沖縄市の担当者は「本名を申し出た人にも、誕生日を尋ねて徹底している。問題は起こっていない」と説明しました。
参照:投票に行くのが怖いのはなぜ? トランスジェンダーの有権者 苦痛で諦める人も 市町村に求められる配慮とは 沖縄タイムス(2022年)
当事者の方への配慮は、
選挙管理委員会などによりますと1950年に定義された公職選挙法施行規則に規定され、票の集計は、戸籍上の男女別に実施しなければならず、投票所で性別を訪ねることは、避けられないということです。
沖縄市選挙管理委員会 事務局 庶務係長の女性は、「これまでは青が男性、ピンクが女性と色分けをして投票された人のハガキを区別していましたが、今は全て白で統一しています」と言いました。
この様に対策が取られつつある、LGBTQの方への性別欄での配慮ですが、まだ十分だとは言えません。今後も議論していくべき課題だなと思いました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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