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こんにちは、金次郎です。
新しい肖像画の紙幣が、2024年7月3日から発行開始されました。
新紙幣の発行は、2004年以来20年ぶりの事です。
新紙幣になる事で、銀行のATMは発行と同時に新旧の紙幣の両方に対応することになります。
ATMの制作を手がける機械メーカーでは、工場をフル稼働して準備を進めています。
今回は、この新しくなるお札について書いてみます。
最新技術が、いっぱいの新しいお札
紙幣のデザインを定期的に変える目的は「にせ札作りの防止」であり、最新の偽造防止技術に加えてデザインも一新する事で、偽造紙幣の製造防止を目指しています。
お札を触ったり透かしたり傾けたりする事で、簡単に偽札かどうかが分かる技術や、プリンタやスキャナを使って偽造する事を困難にする技術など色々と取り入れられています。
例えば
1・インクを高く盛り上げて印刷する「深凹版印刷」は、肖像画や額面の文字に独特のざらつきを
生じさせます。
2・光に透かすと模様が表れる「すかし」には、傾けると色や模様が変化する「ホログラム」を
使用していますが、最先端の「3Dホログラム技術」が使われています。
これは、お札を傾けると、3次元の立体画像が回転しているかのように見えるものでして、偽
造を防ぐためにと、お札に採用されたのは世界初です。
また、肖像画の周囲には、緻密な連続模様を施しておりセキュリティアップを図っています。
上記以外にも、
・額面数字の大型化
・「視覚障害の方」のために、識別マークの位置を券種ごとに変えて
分かりやすくする
など、全ての人に使いやすいお札を目指した改良も行われています。
参考:(咲いたま、みっけ!「埼玉りそな銀行」)紙幣の変更はいつから?肖像に選ばれた人物や紙幣の歴史、新札の疑問について解説
お札の肖像画人物と決め方
お札の肖像画人物をはじめ、お札の様式については
・通貨行政担当 : 財務省
・発行元 : 日本銀行
・製造元 : 国立印刷局
の三者で協議して、最終的には日本銀行法によって財務大臣が決めることになっています。
お札の肖像画の人選には、法令等の制約は無いのですが、おおよそ次のような理由で選択されて
います。
・偽造防止の観点から、なるべく精密な写真が入手できること
・肖像彫刻の観点からみて、紙幣にふさわしい品格のある肖像であること
・肖像の人物が国民各層に広く知られており、その業績が広く認められていること
これらを元に、今回の肖像画人物は
1万円札 :渋沢栄一
明治から昭和初期にかけて活躍した実業家です。
生涯で、およそ500もの企業の設立や育成に関わっていまして、「近代日本経済の父」
とか「日本資本主義の父」と呼ばれています。
明治維新の後、当時の大蔵省に入りますが、実業家に転身してからは、
・現在の「みずほ銀行」につながる日本初の銀行「第一国立銀行」
・現在の「東京証券取引所」の前身である「東京株式取引所」
・現在の「東京商工会議所」の前身である「東京商法会議所」
など、数多の企業や団体の設立に携わりました。
5千円札 :津田梅子
いまの津田塾大学を創立したことで知られる、明治から昭和初期にかけての教育家
です。
11年間にわたってアメリカで教育を受けたあと、帰国してからは、華族女学校の教授
を務めました。
1900年(明治33年)に、35歳で女子英学塾(現:津田塾大学)を創立します。
1千円札 :北里柴三郎
江戸時代の1853年(嘉永6年)に、現在の熊本県小国町に生まれ、東京大学医学部の
前身となる「東京医学校」で学びます。
卒業後は、ドイツに留学し、病原微生物学研究の第一人者「コッホ」に師事し、
1889年(明治22年)、当時は不可能と言われていた破傷風菌だけを取り出して培養す
る「純粋培養」に世界で初めて成功し、その治療法を確立するなど、明治から大正に
かけて伝染病の予防などに多大な功績を上げた世界的な細菌学者です。
参考:(国立印刷局)お札の肖像について
参考:(NHK首都圏ナビ)渋沢栄一 津田梅子 北里柴三郎の新紙幣 発行開始は2024年7月3日~一万円札“渋沢”五千円札“津田”千円札“北里”の功績とは~
キャッシュレス決済が流行っている現代
この様に、偽造防止の為に定期的にお札のデザインが変更されますが、現代はクレジットカードやスマートフォンによる現金を使わない「キャッシュレス決済」の時代です。
しかし、キャッシュレス化が進む一方で、「現金派」と言う消費者がまだ35%存在する事です。
この「現金派」の人たちによれば、理由として一番多い答えが
・使えるお金が、どのくらいあるのかを目視で把握しやすい
と言う事です。
ですが、実際は「現金派」だけでなく、「キャッシュレス派」の人ですら31%が現金の利点を認めています。
これは、物理的に現金で支払う方が予算管理に役立つと考えられているからだと思います。
新紙幣発行による最大の影響は、現金を取り扱う機器の更新の遅れです。
ATM・券売機・両替機・セルフレジなど、現金を扱う全ての機器が新紙幣に対応するための更新が必要です。
しかし、この機器更新が簡単ではありません。
日本自動販売システム機械工業会によりますと、新紙幣発行までに準備が整うのは
・銀行ATMは9割以上
・駅の券売機や小売店レジは8~9割
との事です。
方や、財務省の発表によりますと、新紙幣対応の進捗率は
・飲食店の食券機では5割程度
・ジュース等の自動販売機では2~3割
にとどまるという見方です。
この様に、新紙幣への対応が遅れることで、「現金派」が「キャッシュレス決済派」へ移行する可能性があります。
決済インフラやコンサルティングを提供するインフキュリオンの森岡氏は次のように言います。
・「現金利用者が新紙幣を受け付けない機器に直面した時、現金の利便性は損なわれ、キャッシュ
レス決済への転換を促す方向に作用する可能性がある」
経済産業省の調査でも
・キャッシュレス決済利用者の4割が、キャッシュレス決済が使えない店舗の利用を避ける傾向
にある
と言うことが分かっています。
この傾向は、新紙幣に対応していない現金取扱機器にも当てはまる可能性が高いと言います。
参考:(ITmedia ビジネスオンライン)「新札」登場で現金派はどうなる? 券売機のコストがもたらす影響
終わりに
私が現在「切手アルバム」に保存している古いお札は
・ 100円札:「板垣退助(いたがき たいすけ)」1974年(昭和49年)8月1日発行停止。
・ 500円札:「岩倉具視(いわくら ともみ)」 1994年(平成06年)4月1日発行停止。
・2000円札:「沖縄県の首里城守礼門」
※2000円札は、発行停止にはされていませんが、2004年(平成16年)以降は増刷されて
いません。
の3種類です。
この記事を書いている3日(水)から、新しいお札の発行が開始されましたが、ここ九州の銀行では、福岡県福岡市に有る西日本シティ銀行本店で新札を受け取っているニュースが夕方に放送されました。
新しいお札に興味は有りますが、自販機などで使える様になるまでは、持ってても仕方ないかな?
なんて思っています。
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記事を読ませていただきました。新紙幣が発行されたけど、ピンときていないし自動販売機や飲食での券売機にはまだ対応できていないのが現実です。キャッシュレスの時代と言えどもブラックアウトになれば現金が強みになるのです。今のお札より前のお札が良かった。
コメントありがとうございます。私も新しいデザインの紙幣の現物を、未だ見ていないのでピンと来ません。でも勤務地近くのタバコ屋さんに有るジュースの自動販売機には「新紙幣使えます」のシールが既に貼ってます。おっしゃる通り「キャッシュレス」も、現在色々な企業でシステム障害を起こしたりしていますから、いざという時使えない危険があります。やはり現金が一番ですかな。