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こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは、「繁殖引退犬」という犬の存在をご存じですか?
ペットショップに子犬を安定的に供給するためにブリーダーなどの繁殖業者が飼育している繁殖犬のことを指し、今「繁殖引退犬」の大半が愛護団体に譲渡されています。
動物愛護管理法の下では、ペット販売員などの繁殖業者は、その後も飼育を継続し、最期まで看取る”終生飼養”と定義されていますが、「繁殖引退犬」を飼うために劣悪な環境で飼育をする悪質業者の排除などを目的として、2019年に法律が改正されました。
十分にエサを食べさせずに、小さな檻の中に閉じ込めて、不衛生で劣悪な環境下で繁殖犬を出産させた悪徳繁殖業者が膨大に摘発されてきました。
2020年、長野県松本市に住むブリーダーが、450頭の繁殖犬に十分にエサも食べさせずに、劣悪な環境で檻の中で飼育していたことで刑事告発されました。
しかも、麻酔を行わずに繁殖犬に帝王切開の処置をしていたという疑惑も浮かび上がり、悪質なブリーダーへの批判が噴出しました。
ブリーダーなどの繁殖業者が経営危機に拍車をかけている原因は、動物の安全や健康を維持することを強く要求し、適正飼育のために細部に渡る数値基準が設置されたことでした。
職員1人当たりが飼育可能な繁殖犬の頭数に制限があります。2年間の経過措置を経て、国は2024年6月までに犬は1匹15頭まで(猫は1匹25頭まで)にすることを要求します。
加えて国は、繁殖犬の生涯出産可能な回数は6回まで、交配として掛け合う時の年齢制限も6歳以下までと決めました。
ブリーダー1人に対し、犬の飼育頭数や生涯出産可能な年齢などに制限が発生すると、経営難に直面し「繁殖引退犬」を譲渡する数が続発しました。
譲渡された犬の仮預かりをするシェルターも「繁殖引退犬」が密集し、山奥に置き去りにされるという現実問題として気がかりな問題です。
今回は、「繁殖引退犬」と繁殖業者に蠢く社会問題について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
「繁殖引退犬」の置かれている現状
女性Aさんは2023年を迎え、20年以上犬のブリーダーとして働き、初めて「経営するにも太刀打ちできずに、20頭の『繁殖引退犬』を愛護団体に譲渡しました。今年はもう赤字続きです」と吐露しました。
2023年までの4年間はコロナ禍の行動自粛でペットを飼いたい人が増加し、1匹当たりの子犬の価格が高騰しましたが、行動自粛が解除され、いつもの日常に戻ると同時に、犬の値段も流動的に下がりました。
さらに物価高の煽りも受け光熱費なども上がり、経営難に喘いでいます。
以前ブリーダーの女性Aさんも150頭ほどを繁殖犬を飼育していましたが、今は職員を含む6人で飼育可能な繁殖犬の数は動物愛護管理法が改正された後は、90頭以下に変更されました。
しかも動物愛護管理法が改正される以前はまだ繁殖犬に該当した犬が、法改正後、頭数に数値規制がかかると繁殖から引退しなければならず、「繁殖引退犬」としてブリーダーの元で”終生飼養“しなければいけない数が増えていく窮地に陥りました。
「繁殖引退犬」を譲渡したブリーダーの女性Aさんは、
「その後も、光熱費や飼育代などが経費でかさみます。今までは子犬を出産した後も、”終生飼養”するつもりでしたが、飼育可能な頭数に上限ができてしまったことで、『繁殖引退犬』を愛護団体に譲渡せざるを得なくなりました。繁殖犬だった子たちには心苦しいのですが、私たちの生活を維持するためには、『繁殖引退犬』を譲渡しないとダメだなと感じています」。
さらに経営悪化などを背景にペット販売業者に譲渡し、立場が無くなり、山奥に数十匹置き去りにされたケースも浮かび上がりました。
女性Bさんは、市外から離れた徳島県と高知県の県境の山奥で、推定年齢4~6歳の、雑種ではない17頭の柴犬を保護しました。
どんな理由でも誰が山奥に純血の柴犬を置き去りにしたのか詳細は定かではありませんが、この10年余りで、野犬の保護活動などに励んできた女性Bさんも、繰り返し柴犬のみが同じ場所で見つけて保護する事態に驚愕しました。
「山の中を自動車で走っていた時に、痩せ細った柴犬がトボトボと歩いていて、オヤツを見せると、人慣れしているのか近付いてきました。推定年齢が5歳前後の柴犬が何頭も山中にいること自体が、自然だとは考えられない光景ですよね。大人の1匹の犬から子犬が産まれてくるとしたら、野生で繁殖したのかな?という考えも浮かびますが。動物病院の先生に診察して頂くと、この柴犬たちは出産経験があるだろうと言われました。保護して、SNSで柴犬の飼い主希望者を募ると、すぐに里親の手に引き取られましたが、酷いことですね」。
現在、こうした繁殖犬の社会問題を打開しようと、ブリーダーなど繁殖業者から買い手の付かなかった繁殖犬や、「繁殖引退犬」を譲渡され、飼い主を紹介する愛護団体もいますが、この過程を経由しても課題が浮き彫りでした。金銭的なトラブルも多く発生しています。
女性Cさんは愛護団体から、「繁殖引退犬」を譲渡されました。譲渡されたメスのマルチーズはキャンキャンと鳴くことができませんでした。
女性Cさんは、
「普通はワンワンと鳴きますが、ハフハフみたいな吐息しか言わなくて。動物病院の先生にも診て頂くと、のどに炎症もなく、恐らく声帯が切られているのではないか?と言われました」。
それでも敢えて女性Cさんは、鳴き声に異変のある「繁殖引退犬」を引き取ることを決意しました。ブリーダーの関係者から、鳴き声がうるさいと苦情に対応するため、声帯を切る事案もあると言われました。
「もっと動物の命を見つめることを、きちんと考えないといけない社会問題だと思います」。
繁殖犬の生涯出産の回数の規制がこの問題の1つの原因で、沢山の「繁殖引退犬」が譲渡される現実にどうやって私たちは対峙すれば良いのでしょうか?実は動物愛護管理法が改正し、繁殖犬の生涯出産の回数の規制を決定した時から、現在の事態は発生し得ることは想定できたと指摘します。
獣医師で帝京科学大学の佐伯潤教授は、
「子犬をペットショップで販売するには、その子犬の親がもちろん存在しますし、『繁殖引退犬』を管理し切れなくなるのは予め分かっていた話でした。どうしようもなくなることを見越して、繁殖犬の生涯出産可能な数値の規制にも2年間という段階的な猶予期間を国は提示して準備しました。
それでもブリーダーなどの繁殖業者の努力の足りなさが、今の『繁殖引退犬』の現状を生み出していると私は想定しています。ブリーダーは『繁殖引退犬』の譲渡先に選択する愛護団体やシェルターが頼みの綱として委ね、繁殖犬を次から次に出産させていますし、譲渡が進まないと、そこから多頭飼育の環境に陥ります」。
動物愛護管理法の改正で、ブリーダーなど繁殖業者に国から要求されていることを説明し、
「飼育される繁殖犬は檻の中だけで過ごし、首輪を着けて散歩をする時もありませんし、生涯の出産回数の数値規制で、早い時期から譲渡される『繁殖引退犬』が増えるとすれば、その内ブリーダーは譲渡などで私たちが飼育可能な様に、トイレや散歩などの訓練を『繁殖引退犬』に行う必要もあります」
と警鐘を鳴らします。
参考:10万頭の犬が行き場を失う?手放される“繁殖引退犬” NHK|WEB特集(2024年)
この様な過酷な環境を打破したいからこそ、ペット業界でも「繁殖引退犬」の存在を一般の人たちに周知して頂きたいという模索も始まっています。
茨城県阿見町にある大型ホームセンターの一角に2023年にオープンしたペットショップでは、子犬の横に並べられているのは「繁殖引退犬」を展示するスペースでした。
ペットを買いたい人が考える時に1つの選択肢に選んで欲しいと考えていたからでした。「繁殖引退犬」の価格は子犬と比較しても、半値から3分の1程の1匹10万円程の金額で購入可能です。
事前に「繁殖引退犬」のマダニや狂犬病対策ワクチンの接種状況や健康管理、そして年齢での病気にかかりやすいリスクなどを、きちんとペットの購入希望者に説明することを意識しています。
株式会社AHB取締役の男性は、
「従来ペットショップでは子犬、子猫のみを販売対象とし、弊社にとって初めての試みです。避妊手術を行う費用や八種混合などのワクチン代を弊社の利益から差し引くと、『繁殖引退犬』の購入では発生しませんが、ペット界を取り巻く社会問題として一般の皆さんに認知して頂きながら、この『繁殖引退犬』に向けて挑戦を推奨していきたいです」で説明しました。
うちの愛犬
私の家で飼っていた愛犬は、保護犬でした。保護犬として保健所に預けられていて、そこがご縁で、家で飼うことになりました。
愛犬は保健所でひもじかったのでしょう。他の犬が食べていないご飯まで食べて、人一倍大きく、初めて犬を買うには結構大きい犬でした。
母はある動物の動画を観るのに、今ハマっているのですが、その時にお母さんがいて、兄弟が出て来ます。
それよりも前に、母が愛犬が生きていた時に「この子には兄弟とか居たのかな?」とよく言っていました。
恐らくいたかもしれませんが、保健所には愛犬1匹しか居ませんでした。保健所に居たことには何らかの事情があって、お母さん達と暮らせなくなったのかもしれませんが、もし兄弟などがいても探すためのつてはありませんでした。
もしかしたら愛犬によく似た兄弟がいたかもしれませんね。愛犬が亡くなって、今年で3年となり、兄弟に会ってみたかったと、よく思います。
参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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